再放送:視覚障害者と言う名の「破壊者」! | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

再放送:視覚障害者と言う名の「破壊者」!

 目が見えない、見え難いのは困った事である。
目の前にある物体を見て確認できない代わりに、聞き耳をたてるか、触って何かを確認するしかない。
 そのために、視覚障害者であるわしは、過去にいくつもの物体を破壊してきた。
 破壊しようと思っていたのではなく、がさごそいじっている間に壊れて行くのである。
 
 十数年前に購入したワープロ。購入したその日に絨毯の上で触っていたのだが、その場所が石油ストーブの前であることが判らず、いきなりスクリーン側のふたがストーブの熱のために、ひんまがってしまった。
鍋に焼肉にと使用していたほっとプレートの強化ガラスのふた。台所の下の扉の中にしまう時に、あまり触って確認しすぎて、スルリと滑って、真っ二つに割れ、そのガラスの切れ端で足先を切って大出血。
 テーブルの上に置いてあるコップや茶碗など、よっぽど気を付けていないと、ひっくり返しテーブルから落としてしまい、その度にふちが欠けたり画しゃんと壊してしまう。
 ちょっと意味合いは違うが、自分がかけているめがねは、柱や壁、ドアにぶつけて、いくつ壊した事か。その度に、おでこをぶつけ、メガネを壊し額や目のふちを切って出血した事か?
 
 しかし、4年前から、白杖を使って歩行&移動をするようになってからは、まだ一度もメガネが壊れた事はない。
 それにもまして、向こう脛をぶつける事がなくなったのは、軌跡に等しい。
 
 妻と買物に行っても、とにかくさわりまくる。
「お父さん、このキャベツはどうかね?」
と、聞かれ、以前はスーパーの農産売場で働いていた事もあり、両手でさっと触って、確認するのである。
 管門売場でも、匂いと、サッと表面を触っただけで、どこに腐っていたんでいる果物があるかなど、わかってしまうのは不思議である。
 
 買うものがキャベツであろうと、パンであろうとソーセージであろうと、その度に必ず触って確かめる。 
 買うものが食品ではなく、衣料品でも同じである。
 しかし、女性の服売場では、変な目で見られるのは嫌で、触って確かめるのをジッと我慢するのである。
 
 これからも触りまくりの人生は続くのであろうが、できるだけ破壊者にならないように気を付けようと思うのであった。

==あれから1年・・・・・。
 今日も買い物に行って、触りまくってきました。
 家電コーナーで、大画面のプラズマテレビを触り幕に。
 スーパーで、こりゃまたキャベツをさわりま国。

 驚いたのは果物売り場。
 もと農産を担当したことがあるとは言え、眼では陳列してある果物の鮮度はわからないのに、果物売り場のトップにデーーンと陳列してあるキウイフルーツ、ちょっと触っただけで、やわらかくなり痛みかけているものがなんと多いことか?
 一番お客様に目立つ箇所なのに、店員は気が付かないのだろうかなぁ?
 まだまだスーパーの現場で働けるかぁ?
 いんやもう売り場では働けませんです。 (学区氏)