再放送:ドラムシキ洗濯機 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

再放送:ドラムシキ洗濯機

先日洗濯機を買い換えた。
 従来の渦巻き式からドラム式の最新機種を購入したのである。
 以前使用していた洗濯機、脱水の時に、「ガタガタ」とものすごい音がして、選択時間も早くなったり遅くなったりと調子が悪かったのである。
 今回購入したドラム式洗濯機、テレビで宣伝していたこともあり、選択・脱水時の音の静かさと、感想もできる代物である。

購入したドラム式洗濯機が我が家に届く火に、ひと悶着があった。
 今までの洗濯機と比べると幅・奥行きとも随分大きく、洗濯機を設置する御風呂・トイレ・洗面台がある部屋へのドアを通過することができるかどうかが微妙であった。
 設置業者が訪れて、そのドアの幅をメジャーで計り、持ち込んだ洗濯機の幅を計り、
「これはきわどいな。ギリギリ入るかもしれないけど、ひょっとしたら洗濯機とドアの両方に傷がつくかも?どうされますか?」
とのたまった。
 しばらくの沈黙後、答えを出せずに躊躇していた後ろで、
「とにかくやってみてください。」
と、奥さんが言った。
 後から聞いたところでは、遠めに洗濯機の幅とドアの幅を見比べて、野生の感で、
「こりゃ、通る。」
とひらめいたそうである。
 こんな時に、視覚障害のわしは、手で触って入るかどうかなんてわかる訳でもなく、判断する事ができなかったのである。
 
 その結果、お見事、何の問題も無くスーーと洗濯機は通過した。拍手。
 あの心配は何だったのだろう?
 
 翌日、早速朝の選択の時、どのように動くのかをじっと洗濯機の前にかがみこんで見ることにした。と言うよりは聞くことに下。
 今までの渦巻き式と違い、ドラムの開店する小さな音と、洗濯物が中でグルグル回り上になり下になり斜めのドラムの中で落ちていく「パタパタ」というかすかな音しか聞こえない。
 脱水時には、「ヒューーン」という小さめなジェット音が聞こえ、
「スゲーー!」
と思わず大声で叫んでしまった。
 視覚障害のわしには、ドラムの中で開店する洗濯物を直接見ることはできないが、音を聞くだけでこの最新式の洗濯機クンの素晴らしさが想像できるのである。
 
 奥さんも、子供たちも、
「お父さん、まだ見とるん?そんなにおもしろいかね?」
と、あきれ顔で聞いてくるが、洗濯機事態を目で確認できないわしにとっては、選択できている事が音で確認できる洗濯機は実に興味深い存在なのである。
 次の日も、その次の日も、洗濯機が回りだすと、じっと黙って洗濯機の前にかがみこみじっと音を聞いている自分がいるのであった。

 ※あれから1年・・・・・。
 相変わらず、わしは、洗濯をするのが好きである。
 1年前に購入したこのドラムシキ洗濯機は、毎日一生懸命仕事をしてくれている。
 これから何年働いてくれるのか?
 末永く大事に使っていこうと思う。