再放送:伊達めがね | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

再放送:伊達めがね

 わしは正真正銘の視覚障害者である。よって、メガネをかけようがかけまいが視力の回復はほとんど望めない。
 まだよく見えていた頃は、メガネをかけることで、裸眼で0.3くらいの視力が1.0くらいまでにはなっていた。
 最近は、かけてもかけなくてもさほど変わらないので、自宅にいる時や会社でパソコンに向かっている時はめがねを外してすごしている。
 昔は、黒縁のメガネが、わしのトレードマークだったので、しばらく会っていない人には、わしの姿がピンとこないかもしれない。 

 つい先日、会社からの帰り道、いつもどうにか見えていた街頭の明かりがぼんやりとしていて、白杖をカンカンしているとは言え、何か危なっかしい感じである。
 目元に手をやると、外を歩く時はかけているメガネがない。会社の机の引き出しにしまったままであるのに気がつく。
 0.01の視力であるとは言え、少しはメガネをかけることで、視力が回復している事に気が付いたのであった。

 RP患者の間では、肝細胞を網膜に移植することで、新しい視神経が増殖し、視力の回復が望めるのでは?との話題が聞かれるようになった。
 10年後くらいにはその治療法が確立するのでは?とも言われている。
 もしそうなれば、もう一度、自動車免許を再発行して、自分の運転でドライブをしてみたいものである。
 果たして、10年後の未来派どうなっているのやら?

 ※あれから1年・・・・・。
 相変わらず、通勤時以外はメガネを外してすごしている。
 まだ少しは視力は残っているとはいえ、ものを見ようとする意思があまり働いていないようである。
 今日、目の調子がいいので、テレビに出演している人の顔を確認してやろうと、メガネをかけて横っちょの視野で見ようと試みた。
 かすかにその人の顔の一角が見えたが、逆に、
「これが人の顔なのか?」
と不気味に感じてしまった。
 このままいくと、医療が進歩して、視力が蘇った時には、どうなっちゃうんでしょうねぇ?
 人の顔を認識できるのでしょうかねぇ?