塾帰りのお迎え | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

塾帰りのお迎え

 いつのまにか、元の口調に戻ってしもうた。
 まあ、ええか。
 
 わしは、いつも週3回、下の娘の塾の帰りのバスのお迎えに行っている。
 つい最近、連続して、小学一年生の女児の殺人事件がおこっているが、ずーーと前から心配でお迎えに行っているのである。
 塾の帰りのお迎えもだが、学校の投稿・下校、そして、友達の家へ遊びに行く時なども心配である。
 嫌な世の中になったもんじゃ。
 
 けんど、傍から見ると挙動不審なおっさんが、白杖をカンカン・スリスリしながら、道路の傍のバス停近くにボーとたっているのだから、そんなわしが、不信人物に見られんかと心配である。
 おまけに、時間を知るために、携帯の音声時計のスイッチをポンと押し、
「ポーーーン!只今より7時35分をお知らせします。」
などと、音声を耳元で聞きながら、溜息をついているのだから、余計に怪しい。
 
 バスが着き、そこから一緒に腕を組んで帰るのだが、わしは変な人がいても見えんし、娘の目だけが頼りである。
 けんど、塾の帰りのお迎えに行き、そこから家路までの5分間はなぜかうれしい。
わし:「今日の塾はどうじゃった?」
娘:「おもしろかったよ。ねぇ、お父さん。お父さんの子供の頃の好きな漫画は何じゃったん?」
などと、家にいる時とは違った雰囲気の会話ができるのがなぜかうれしいのである。
 
「 娘よ。お父さんが、いつまでも守ってあげるけんね。」