わしの老後 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

わしの老後

 今日の朝、寝床で妻がつぶやいた。
「お父さん、仕事は楽しいかね?」
 わしは、今現在は、自分の仕事については、視覚障害者ということを抜きにして、精一杯やっているつもりである。
 目が見えにくくなり、スーパーの売場で働けなくなり、本社の人事部に移り一から出直した。
 あれから早、4年が経とうとしている。
 このまま、今の仕事でやって行くしかないと思ってる。
   そして、定年が近くなれば、老後はどのように過ごせばいいのか?
 子供達は独立していくだろうし、わしと妻の2人でどこに永住の地を求めればいいのだろうか?

 わしは、もともとの本籍は山口県である。
 両親も山口県埜萩市に住んでいる。
 本家ではないが、土地も家もそこにはある。
 わしはわしで広島県に持ち家のマンションを保有しているが、現在はそこは賃貸に出して、ここ関西の社宅に住んでいるのである。
 
 妻は、将来はわしの両親が住んでいる実家にて、老後を過ごしてもよいと言う。
 今の家をリフォームして、傷害年金と少しのアルバイト収入とで、畑でも耕しながらのんびり過ごしたいと言う。
 正直言って、妻がそのように考えているとは思わなかった。
 わしにとってはありがたいことである。
 姉は嫁にいってるし、長男のわしがいずれは両親の面倒を見なければとも思ってたし、両親の墓守もしなければいけないとも思ってた。
 今後、どのようになるかはわからないが、今は、妻に感謝の気持ちで一杯である。
「ありがとうね。お母さん。」