悟空といえば界王拳ですが、この界王拳がフリーザの53万発言と並んでフリーザ編の戦闘力インフレ問題の元凶のひとつであったといえると思います。
作中で、悟空は最終的に20倍界王拳まで使えるようになるのですが、20倍の元となる基礎戦闘力値や計算方法次第で、どんなに高い戦闘力も実現できてしまうのです。
悟空の戦闘力考察は、この界王拳の考察に絞って行いたいと思います。ベジータの時とは逆に、うっかり戦闘力が高くなりすぎないように注意しながら考察する必要があります。

界王拳には、上限倍率があります。
この上限倍率は2つあり、ひとつは自分自身にダメージが及ばない安全域での上限倍率と、もうひとつは自分自身にダメージが及ぶ危険域での上限倍率があります。作中の描写によると、危険域での上限倍率のおよそ2分の1が安全域での上限倍率となります。
そして基礎戦闘力が高くなればなるほど、この上限倍率は大きくなります。
以上の特徴を踏まえて、本考察では、界王拳による戦闘力の上昇を以下の2次関数で表すことにしました。

グラフは、例として本考察におけるフリーザ最終形態戦時の悟空の基礎戦闘力を公式に代入して作成したものです。

安全域(グラフの青色部)での界王拳最大倍率による戦闘力を「Mid.MAX.(中間の最大)」、危険域(グラフのオレンジ部)での界王拳最大倍率による戦闘力を「Fin.MAX.(最終の最大)」と表記することにしました。
このグラフによると、界王拳の倍率を上げて上限倍率に近づけば近づくほど、戦闘力の上昇率が落ちていくことが見て取れます。(これは、戦闘力のインフレ抑止には好都合といえます。)
また、界王拳に上限倍率が存在する意味も、上限を超えた倍率を発動したところで、戦闘力は最大値を通り越してむしろ低下していくため、「出す意味がないから出さない」という風に解釈することが可能です。
本考察ではこの2次関数を「界王拳方程式」と名付けることにしました。(笑)
それでは界王拳方程式に従って、悟空の戦いを個別に見てみましょう。

 

  ナッパ戦~ベジータ戦の悟空(NOR.6,700/Mid.MAX.18,900/Fin.MAX.25,700)

まず最初は、地球でナッパやベジータと戦った時の悟空の戦闘力を見てみたいと思います。
悟空の基礎戦闘力は、ナッパと戦った時に気を開放した悟空を、ベジータのスカウターが「8,000以上」と測定したことを根拠にしています。

この時、悟空はナッパに対して「おめえにはまだ界王拳は使わねえ」と言っていますので、この戦闘力は単純な1.25倍法則に基づく最大戦闘力です。本考察では「MAX.8,400」としました。
ここから逆算して悟空の基礎戦闘力は6,700(=MAX.8,400÷1.25)となりました。
この基礎戦闘力を界王拳方程式に当てはめますと、戦闘力は下記のようになります。(グラフは、見やすいように縦軸の縮尺を10倍にしました。)

 

 VS.ベジータ(NOR.16,000/MAX.20,000)

本考察におけるベジータは、前述の通り、地球襲来前も特訓を重ねていたので戦闘力が「MAX.20,000」まであります。
悟空はここから本格的に界王拳を使用します。
1倍界王拳の戦闘力値は13,500。ベジータの基礎戦闘力にも及びませんね。
2倍界王拳の戦闘力値は18,900。かなり拮抗してきましたがベジータの最大戦闘力には及びません。
自分の肉体にもダメージが及ぶ危険域の3倍界王拳の戦闘力値は22,700。ついにベジータの最大戦闘力を超え、ダメージを与えることに成功します。
ちなみにこのとき、悟空の戦闘力を計測していたブルマのスカウター(ラディッツから奪ったもの)が計測限界値を超え、爆発しています。ラディッツのスカウターは旧型の探索特化型だったんですね。(笑)
そして怒ったベジータが繰り出した渾身のギャリック砲を、かめはめ波で打ち返した4倍界王拳の戦闘力が24,900です。
どうでしょうか?ここまでのところ、界王拳方程式はなかなか妥当な数値をはじき出しているといえるのではないでしょうか。

 

  リクーム戦~ギニュー戦の悟空(NOR.22,700/Mid.MAX.180,100/Fin.MAX.240,800)

悟空がナメック星に到着したときの戦闘力を考察してみます。
悟空は宇宙船での100倍重力の特訓によって基礎戦闘力を22,700まで上げたものとします。ベジータ戦時の戦闘力からの成長率は3.39倍になります。まずまず、妥当な成長率と言えるのではないでしょうか。
では、この基礎戦闘力における界王拳グラフを見てみましょう。

早速ですが本考察においては、これから述べる悟空のナメック星での戦いは、すべての戦いにおいて「常時」界王拳を使用していたものとして話を進めます。
作中の描写で、悟空が界王拳特有の赤いオーラをまとっていようがいまいが、「界王拳!」と宣言していようがいまいがにかかわらずです。
私がそう考える理由をお話しします。
まず、あの赤いオーラは、界王拳の最大戦闘力(界王拳の倍率を指定した場合はその倍率における最大戦闘力)に達したときに発せられるものだとします。
経験を積んだ悟空は、ベジータ戦の頃より界王拳を使いこなせるようになっていました。例えば3倍界王拳を使用した場合でも、戦闘力を3倍界王拳の最大戦闘力未満の任意の数値に止めることができるようになっていたのです。

ベジータ戦時の悟空はそれができませんでした。
3倍界王券を発動した場合、戦闘力は3倍界王券における最大戦闘力に達するまで上昇し、その増加を途中で止めることはできなかったのです。そして最大戦闘力に達したとき、あの赤いオーラが発せられていたのです。
つまり、ベジータ戦での界王券グラフは、正確には下記のようになっていたのです。

界王拳を車にたとえてみましょう。

ベジータ戦時の界王拳はアクセルべたふみ状態のマニュアル車だったのです。速度(戦闘力)のコントロールは、ギア(界王拳の倍率)操作によるしか方法はありませんでした。だからベジータ戦での悟空は、界王拳1倍、2倍、3倍、4倍と段階的に出力を上げていったのです。
対してナメック星での悟空の界王拳は、無段階変速ギアを積んだオートマチック車となり、アクセル操作が可能になりました。最高速度(最大戦闘力)までの範囲なら、アクセル操作(界王拳のコントロール)で速度(戦闘力)を調整することができるようになったため、ギア(界王拳の倍率)を操作する必要がなくなったのです。

だから界王拳を使用する際に、いちいち「〇〇倍界王拳!」と宣言する必要がなくなったのです。そして出力が最大戦闘力未満に抑えられている限り、赤いオーラも発生しなくなったのです。
悟空は、リクーム戦からギニュー戦までの間、8倍界王拳を常時使用していたものとします。この時の悟空が出せる、安全域での最大倍率の界王拳が8倍界王拳だったからです。

(後編に続く)