高校の頃、電車通学で使っていた私鉄は単線で2両編成が当たり前、なんなら1両編成の時もあった。
鹿が線路上に居るからとか、踏切に耕運機が立ち往生したとか平気で停車していた。
帰宅時の車内、いつもの仲間達といつもの牧歌的な風景を口を開けて眺めていると「私ごとですがこの電車を持ちまして43年の勤務を終えます。本日のご乗車誠にありがとうございました」とアナウンスがあった。
駅に着くと同僚の拍手の中家族とみられる方達から花束を渡されていた。
私はそのシーンに感動した。
花束を胸に抱える車掌さんの前を通り過ぎる時、「ご苦労様でした!」と私達5名は頭を下げた。
車掌さんは不良達の出所祝い風の挨拶に驚いていたがすぐ笑顔に戻って「ありがとう 君達もしっかり勉強して高校卒業して下さいね」とありがたい答辞までたれられた。
先日友人の墓参りの帰り、久しぶりに見た電車は相変わらず2両編成で黄金色の中を元気に走っていた。