【縁側の情景】
相手の家に上がって話すほどの事もない世間話をさせてくれるのが縁側だ。
腰を下ろすと麦茶が出て、話が盛り上がると奥からお婆ちゃんが冷えたスイカなど持ってきてくれる。
戸は開けっ放しなので生活状況が丸見え。
天井の黒い梁、板の間に切られた囲炉裏、黒光りする柱、桜模様で穴をふさいだ障子戸など時代感じる中、白い家電製品が浮いている。
耳の遠くなったお爺さんが大音量でTVを観て、プール帰りの孫達が小さなタオルをかけられ床に寝ている。
ほのかに線香が香り、頑張って居座っていると「これ仏さん用の余ったのだけど」とおばちゃんがトウモロコシを持って再登場。
縁側からは田んぼ、山、川が見え通りを歩く村人のうわさ話など話題に欠かない。
話の間にトウモロコシにかぶりつく。
そろそろビールが出てこないかと、ズーズーしい思いにフタをする様にセミが鳴く。