3日目はシチリア随一のリゾート地、タオルミーナに滞在。
中でも映画「グランブルー」の撮影に使われた高級ホテルに宿泊。
そこでまさかのロシア人スパイに出会った。
ディナーのため、ピアノ生演奏の流れる、海にせり出したオープンテラスに向かった。
高級ホテルらしく、ゆったりとして潮風に吹かれて素晴らしい雰囲気。
しばらくすると、痩せて、青い目が鋭くギラリと光る白人の爺さんが注文をとりにやってきた。
恐ろしく冷たい目をしたロシアのプーチン前大統領のような形相。
ロシアKGB出身 プーチン前大統領
お酒の飲めない私の為にイヌガサが
「ソフトドリンクってなにがあるんですか?」
と聞いてくれた。
すると爺さんは迷惑そうに
「。。。。。。。コーラとか。。。オレンジジュースとか。。。。。
知るかよ。そういうのだろ?普通わかるだろ? 何が欲しいんだよお前ら」
と言った。
まさかリゾート地の高級ホテルのロマンチックな夜のテラスにこんなホスピタリティーのかけらもない爺さんが面倒くさそうに働いているとは。
適正に合わない仕事とはこのことを言うのだろう。
でも私はこの爺さんを一目で気に入った。
いつも日本の大げさな接客に、なんだか申し訳なくなってしまうから。
しかし彼の一ミリも笑わない根性や、佇まいを見る限り只者ではない。
それ以来私は
彼の名はボリス。KGB(ソ連国家保安委員会)所属のロシア人スパイだと思うことにした。
滞在中の2泊3日、すっかりボリスを気に入った私はわざとボリスの店で忘れ物をしては彼の気を引いたり、イヌガサも彼がフロントに現れると
「おさん。ボリスがいるよ」
と教えてくれるようになった。
あのホテルを去った今も、あのシチリアで諜報活動中のいまいち接客業に馴染めず正体がバレてしまうロシア人スパイのことを毎日思い出す。
部屋からの眺め
ホテル内の天然の洞窟を歩きます
洞窟を抜けるとプライベートビーチ
朝食はこんな眺め
こんな素敵なホテルにボリスは潜伏しています