私は、野田佳彦先輩に憧れて、松下政経塾の門をたたきました。それまでの地縁、血縁に頼った政治ではなく、信じる政策を地道に訴えることで自分は政治をするんだと言っていました。覚悟を持って政治を志す野田先輩の姿勢に感銘を受けたのです。

野田先輩、どうしちゃったんだろう。とうとう本当に官僚に取り込まれてしまったんだろうか。


昨日、野田財務大臣が閣議後記者会見で「日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行(JBIC)について、「より機動的に仕事をするために分離する」と述べ、公庫から分離・独立させる方針を正式表明した」(読売新聞)との報道をうけて感じた率直な気持ちです。


小泉時代、私は関係閣僚の一人として郵政民営化をすすめました。これはつまり、財政投融資制度の「お金の入り」の部分の改革でした。一方の「出」の部分の改革が、政策金融改革です。


これは、私の16年間の政治家の経験の中で、もっとも官僚の抵抗がすさまじかった3つの改革のうちの1つだと間違いなくいえます。なぜなら、これが財務官僚のおいしい天下りポストを取り上げることだったからにほかなりません。


政府は、「日本政策金融公庫に統合されたままでは迅速な意思決定ができず、十分に機能を発揮できないとしてJBICを日本政策金融公庫から分離する方針を決めました」(NHK)。


もしも、十分に迅速な意思決定ができておらず、機能が発揮されていないのだとすれば、それは単に日本政策金融公庫のガバナンスの問題です。なぜ、「分離・独立」が必要だという方向に行くのか。説明責任を十分果たせていると思えません。


財務官僚の覚えがめでたい大臣になってしまったことはとても残念です。激しい官僚の抵抗を抑え込んで政策金融改革を取り組んできた理由を、改革派の大臣として自らの手で検証をしてもらいたかったです。小泉改革を否定するだけの政治をやっていたのでは、日本の成長力の強化やこの国の活力を引き出す改革には結びつかないと思います。



さて、昨日は、経済同友会で社会保障の話をさせていただきました。改革の中身の話というよりも、改革を前にすするためにどうしたらいいのかという同友会の方々の問題意識に対して私見を述べさせていただきました。


伊藤達也ブログ【調布市・三鷹市・稲城市・狛江市選出】

質疑応答の際、ある年金制度の専門家の方から、「政治家の(改革に取り組む)覚悟を促すためには、どうしたらよいか」という質問をいただきました。そのときはあえて申し上げませんでしたが、そもそも票を失ったとしてもやらなければならない改革をやりとげるのだという『覚悟』のないものは政治家になってはいけないのだと思っています。