傍線一報220 共同取材 見たくない思想的現実を見る | 自遊人のブログ

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大澤真幸: 代表という制度の危機ですよね。だれもが自分が代表されている感覚をもつことができないのが、この国の現在の困難。それを強く思ったのは一九九五年の参院選で、初めて国政選挙で投票率が五割を割った。なぜ投票に行かないかというと、自分たちが代表されている、代表され得るという可能性を信じていないからです。東京都では青島都知事が生まれた年であり、大阪では横山ノック府知事が生まれた年。いわゆる無党派層が「自分たちの代表されていないという感覚を代表してくれる人」として青島さんを選んだ。石原慎太郎さんはそれを受け継いでんですが、ここにも考えなければいけない重要な転換があると思うんです。

 つまり青島さんが「意志の不在」しか代表していなかったのに対して石原さんは意志をもっていて、今まで空虚だったものが、突然、積極的な何かに変わるんですよね。青島さんは代表からあふれた余りの部分を集約しただけだけど、その部分に何か強い意志があるかのような印象を与えるカリスマ性や技術を石原さんはもっている。これはファシズムが生まれる時のメカニズムに似ていて危険なものを感じるんです。今どこかに正しい理念やイデオロギーがあって、それによって政治が導かれるはずだという感覚自体が失われている。そういう真空地帯の政治の危険を、僕らは歴史の教訓として知っている。

 

金子勝: 処方箋はただ一つ、徹底した分権しかないというのが僕の意見です。つまり身の回りで解決できる問題を身の回りで決定できるような領域、公共的空間を作っていく。

 すべての人が政治的チャンネルを失っていると感じるのは、社会システムが会社や村や業界ごとに分断されていて、皆が共有する公共的基準を作ってこなかったためではないか。

 

お任せ民主主義に寄り掛かっている限り、自治は実現出来ない。

社会制度に関わる部分を拡大する、自分の頭で考える、つまり思考の外部委託を止めることが大切だ。