文明の衝突と21世紀の日本/ Samuel P.Huntington 鈴木主税 訳 集英社新書
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0015-a/
p.130
領土が文明間の断層線を跨ぐ分裂国は、統一の維持という特別な問題に直面する。
グローバル化が国境という縛りを解き放つのは、平和の実現には、或る意味いいことだと思っていたら、とんでもない事態が顕著になってしまった。
国民というアイデンティティを喪失した人は、文明・民族・言語・宗教という、国とは別個の括りに所属し、他のグループと国内で争いを起こしてしまった。
事が一旦始まれば、国を超えて支援するグループが出て来て、戦火が拡大する。
結果、国土は荒廃し、国民は深い溝で分断される。
失ったものの大きさに気付いた人は悲嘆にくれ、気付かなかった人は、排除の意識を強くする。
対立だけはなくならない。