思いついたらドラマ日和85
~攻殻機動隊Sを語ろう19~
本編の前に我が家のプチネタ。
今日のお題は「ももた、うとうと2」。
パシャパシャ撮ってると、さすがに目を覚ますももた。
て言うか、やっぱワンコの眠りってきっと人間よりもずっと浅いんだろうなぁ。
目は開けたものの…
かなり細目に開けてるな
やっぱり眠いのか?
それとも太陽がまぶしいのかもしれん。
「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」のレビュー19回目。
第19話「偽装網に抱かれて」についてやります。
ロシアの北方マフィアによる集団拉致事件をすぱっと解決するお話。
…と書くとなかなかに爽快感のあるお話なのか、って感じだが。
旅読的には、結構ミステリアスな犯行のやり口が最後まで分からずじまいだったんで。
ちょ~っと消化不良の回でもありましたぁ。
草薙素子姐さんが活躍しさえすればそれで満足って人ばっかりじゃないんだぞう。
この謎解きがキレイにはまれば、結構好きな方の回になったかもしれんのだが。
その意味では残念回だったとも言える。
今回の攻殻機動隊よもやま話は特にテーマなし。
今まで説明し残して来たことを、思いつくだけ拾っていきたいと思いまぁす。
まずは内務省。
公安9課が所属してる国の行政機関。
感覚としては総務省と法務省の一部を合体させたようなところだ。
なお、この攻殻機動隊世界で、「法務省」というのは別にある。
自衛軍。
憲法の改正によって、自衛隊が軍隊となったもの。
荒事が多い公安9課とはどうしてもかかわりが多くなってしまう。
協力し合うこともあれば互いに微妙な綱引きをし合うこともある、って感じ。
陸上・航空・海上の3つに分かれているのは現在と同じ。
アニメの中でよく出て来る装備は、装甲車、多脚戦車や自動爆撃ヘリなど。
たぶん軍人さんたちはほぼみんな義体化してるんだろ~なぁ~。
播磨研究学園都市。
兵庫県南西部の播磨地方にあるらしきテクノポリス。
公安9課の特徴的な装備であるタチコマを開発した剣菱重工の本社があるらしい。
当然モデルは「播磨科学公園都市」なんだろう。
ちなみにそこに三菱重工の工場などはありません。
知らない人のために付け加えておくと「剣菱」は、500年以上の歴史をもった、兵庫県の有名な銘酒。
「ライ麦畑でつかまえて」。
J.D.サリンジャーが1951年に発表し、世界的ベストセラーとなった青春小説。
「笑い男事件」を中心に、内容の一節が引用されたり登場人物と同じ名のキャラが出て来たりするので。
攻殻機動隊世界を理解するための、重要なキーのひとつだ。
あまりストーリーらしきものはなく、主人公のホールデン・コールフィールドが大人や社会の「建前的なもの」になじめず、ぶつくさ文句を言い続ける、という感じの内容。
実際にこいつを読もうとすると、長いこと野崎孝訳の白水社(独占権を持ってるらしい)のハードカバー版しかなく、大学図書館にあるやつはかなりボロボロになっていて手に取る気が起こらず、貧乏学生にはなかなかに手を出しにくいアイテムだった。ちょ~っと無理をしてそのハードカバー本を手に入れた思い出がある。
ちなみに作者のJ.D.サリンジャーは、第14話に出て来た個人投資家よろしく、ずっと人目を避けた生活を続け、2010年に亡くなっている。
19話のストーリーに移ろう。
何人もの娘たちが、人通りもある街中で不意に消えたようにいなくなってしまうという事件が続けざまに発生する。
3日間のうちに29人も。
「被害者がそこにいるのを見た」という目撃情報はあるものの、まさに「消えた瞬間」を見た者は誰もいない。
被害者の中には、なんと神崎元総理大臣の娘も含まれていた。
監視カメラ映像
このあとちょっと画面が乱れ
赤い傘の娘が消えてしまう
(©神山健治/Production I.G)
こういう謎、結構ワクワクする。
「目隠しイワン」というのは、構成員何万という巨大な北方マフィアのひとつ。
集団拉致をして何をするのかというと、臓器の密売だ。
おぞましい。
以前にも同様の手口で大勢をさらっているらしい。
しかも。
こいつらはロシア政府黙認の存在であり、当時ロシアと仲良くしときたかったのであろう、神崎元総理もその存在を知りながらも、集団拉致疑惑を公の場ではっきりと否定している。
ということは、今回の誘拐ってどういうことなんだろう?
巨大組織なもんで、組織の下っ端は、神崎元総理の娘であることなど知らずにさらってしまったってことなのか?
とりあえずその線で捜査を進めることにする公安9課。
元総理に面会する荒巻
元総理は荒巻を信用しない
(©神山健治/Production I.G)
バトーとトグサ
二人組で捜査中だ
(©神山健治/Production I.G)
二人に指示を出してるのは草薙。
臓器密売組織なので、どこかで拉致って来た人間を処理するだろうと踏んでの指示だ。
「即物的だなぁ、少佐(草薙のこと)は」とつぶやくトグサ。
そして…。
「こ~んな分かりやすいところに隠れてるかねぇ」と言いつつ、訪ねて行った最初の場所で見事にビンゴ!!
まあテレビだからね。
別に隠れるでもなく、のそ~っと門から中をのぞいてみるバトーとトグサ。
ちょうど眼帯をしてる主犯格の女と下っ端の男、それに仲買人のような感じの背広の男が言い争っていた。
で、即見つかってしまい、銃撃戦。
トレーラーの中
連れ去られた娘たちがいる
(©神山健治/Production I.G)
別に隠れてもいないので
犯人たちと顔を突き合わせることに
(©神山健治/Production I.G)
下っ端の男はバトーがやっつける。
主犯の女(クルツコワ)と対峙したトグサは、全身を義体化している相手に苦戦。
娘たちを乗せたトレーラーに乗って逃げられてしまう。
トレーラーの開いた扉から
運よく?3人が投げ出される
(©神山健治/Production I.G)
バトーによれば。
主犯のクルツコワは前世紀からロシアの特殊工作員として活躍していたとのこと。
つまり。
全身義体化して若づくりしてはいるが、その中身は80歳台のおばあさんてことだ。
義体化ってコワイ!!
…で、このあとどうする!?
「状況が変わったな、わしに考えがある」と荒巻。
状況に即対応する思考力、決断力がすさまじい。
これが荒巻Gさんの真骨頂!
超能力と呼んでもいいくらいだ
(©神山健治/Production I.G)
荒巻は「報道管制を解き、今まで隠して来た情報を逆にネットに流してやる」ことを神崎元総理に提案する。
情報はすぐにネット上に広がり、自分たちが知らずに神崎元総理の娘を誘拐してしまったこともすぐにクルツコワの耳に入るだろう。
そうなると元ロシア政府の忠実なイヌであったクルツコワは支援や助言を求めて必ず政府に、つまりロシア大使館に助けを求めようとするに違いない。
そこを押さえようという考えだ。
神崎にとってはずっと主張して来た存在しないハズの集団拉致がちゃんとあったこと。
ほかならぬ自分の娘がその被害に遭ってしまったことが公になってしまうことになるんだが。
悩み、逡巡し、決断する神崎。
ロシア大使館前
今回最後の戦闘だ
(©神山健治/Production I.G)
荒巻の読み通り。
神崎の娘を連れ、ロシア大使館に駆け込もうとするクルツコワ。
しかし彼女の目の前で大使館の門は閉じられてしまう。
荒巻が、神崎を動かし、ロシア大使館に手を回していたおかげだ。
そこに駆けつける草薙とバトー。
全身に仕込んだ武器を使って応戦するクルツコワだが、9課の誇る義体使い二人がかりでは相手になるハズもなかった。
一件落着。
娘の無事を聞かされ、安堵した神崎は、それまでロクに相手にしてなかった荒巻に対して背中でぼそっと「感謝するよ」とつぶやく。
草薙の運転する車に乗り込み、「彼に感謝されて損をすることはあるまい」と荒巻が言い、車が走り出したところでエンディング。
…結局、白昼、衆人環視の中で人が消えてしまうっていうミステリアスな失踪の謎解きはなかった。
ただし。
これ、ただ普通に誘拐しただけです、目撃者全員の記憶をただ消しただけです、監視カメラ映像は肝心のとこだけカットしたんですぅ~。
なんていう謎解きじゃ、全然謎解きって感じにゃならないんだけど。
まったく電脳の世界ってば、人の記憶が簡単にイジれちゃうんで。
犯罪のミステリアスなところも消してしまうんよなぁ。
今日はここまで。
次回のうpはたぶん今回の続きです。