漂流・サバイバル18

~無人島,研究と冒険半分半分~

 

 

 

 本編の前に我が家のプチネタ。

 

 今日のお題は「ももた、母ちゃん抱っことそのあと3」

 

 抱っこされていたのに、急にクッションの上に移されるももた。

 

 人間なら「理不尽だぁ~っ!!」と吠えているところでありましょうか。

 

なんでこっちに移されたの?

簡潔に理由を述べよ

 

 写真を撮るためです、ごめんして。

 

 ちゃんちゃん。

 

 

 

 閑話休題。

 

 今回ご紹介するのは「無人島、研究と冒険、半分半分」です。

 

 著者は川上和人さんで、発行は2023年で東京書籍から。

 

 おお、旅読が取り上げる本としては珍しくも新しい本だ。

 

これが表紙です

作中にこんな場面はありません

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

 で、のっけからお断りなんだが。

 

 この本の内容は漂流でもなければサバイバルでもありません。

 

 タイトル詐欺です、ごめんして。

 

 ただまあいくつかの言い訳はあって。

 

 舞台になってるのがホンモノの無人島であり、そのひとつは有史以来ほとんど人間が足を踏み入れたこともないと思われる、かな~りレアな無人島であること。

 

 本格的なサバイバルこそしてないんだが、決してお気楽な物見遊山のお出かけなどではなく。

 

 いろいろな不便やトラブルはあるし、命の危険にさらされたりするようなこともあること…などはあったりする。

 

 ただまあ、ここでこの本を取り上げたくなった一番のわけと言ったら。

 

 この本が結構おもしろいから、ってことになるかな。

 

 著者の川上さんは鳥類学者であり、この本は調査行の様子が書かれているんだが。

 

 この方、文系の素養もあるんじゃないだろうか。

 

 文章が結構おもしろいのだ。

 

 舞台となる南硫黄島の描写はこんな風。

 

 

 2007年6月17日、私は調査船上から初めて南硫黄島を見た。この瞬間、世界に存在するのは青い海と青い空と、海上にそびえる超巨大なアポロチョコレートのシルエットだけだった。それが南硫黄島だ。

 いや、アポロというよりは、どちらかというと「きのこの山」のカサ部分に似ているかもしれない。(中略)

 南硫黄島の地形は極めて単純であり、かつ特殊だ。島の周囲は数百mの崖で囲まれており、難攻不落の天然の要塞を形成している。身長1万mの巨人が標高1000mの山を使って山崩し棒倒しゲームをしたら、三手目ぐらいできっとこんな形になるはずだ。そして崖の周囲には、ちょっとしたおしゃれなメロンパンの周囲に垂れたわずかなクッキー生地のように、奥行き20mほどの海岸が張り付いている。

 

 

 なぜこの島が人跡未踏なのか、の説明も兼ねて長めに引用させてもらった。

 

これが南硫黄島です

TDLの7~8個分の広さがある

撮影:halfway様感謝です

 

 この、ちょ~っと独特な感じのする比喩表現が最初っから最後まで頻出して来るのだ。

 

 中でも、旅読がさいっこうにホレてしまったのが、この表現。

 

 

 クロウミツバメとオーストンウミツバメは全身が真っ黒な小型海鳥で、姿がそっくりだ。チップスターとプリングルスぐらいそっくりだ。

 

 

 ただしプリングルスはプリングル「ズ」だけどね。

 

 ではでは。

 

 この本の中で旅読が気になったところを紹介していこう。

 

 まずはテントに襲来するお邪魔虫。

 

 最初の夜、崖下のわずかな海岸部分にテントを建てて寝ていた著者。

 

 波打ち際で人魚と戯れるという、不謹慎な夢を見る。

 

つまり、どういうことかと言うと

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

 夜のうちに満潮となり、実際に著者の足元までパシャパシャと海水がやって来ていたのだ!!

 

 あとはまあ。

 

 海鳥の楽園ってとこなので、もちろん海鳥は入って来るし(しかも中でギャーギャー騒いで暴れまくる)、スベリイワガニは顔の上を横断していく(しかも手で振り払おうとするとハサミで挟んでくる)。

 

 こりゃあスイミン不足にもなるわなぁ。

 

 

 濃密なハエ。

 

 島の山頂部にはおびただしい数の鳥が生息しており。

 

 当然ながらかなりの数の鳥の死体が落ちている。

 

 辺りには肉食動物はおらず、死体の分解はもっぱら昆虫やらカニやらにゆだねられる。

 

 それはもちろんものすごい数のハエをも培養してるわけだ。

 

 夜間調査の場合、特にその跳梁跋扈の具合がものすごいらしく。

 

 「顔の周囲で数千のコバエが雲のようにまとわりつき、呼吸とともに口内に侵入してくる」とある。

 

 筆者はヘッドランプをつけてるので、なおのことハエが群がり寄って来るのだ。

 

 地獄絵図とはまさにこのこと。

 

夜間調査をする筆者

飛んでくるのは海鳥だけではない

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

 南硫黄島は日本の中では最も原生的な自然が残された場所。

 

 なので、調査にもいろいろな配慮がなされる。

 

 まず、島に持ち込む荷物は出来る限り新品にする。

 

 無理な場合はアルコール洗浄をし、一定期間冷凍したりなどする。

 

 最終的には目視チェック。

 

 荷造りだってクリーンルームの中で行う。

 

 上陸時にも荷物は一度海水につけ、表面をきれいに洗い流す。

 

 人間も海水に頭のてっぺんまでつかるのだ。

 

 ゴミも当然持ち帰り。

 

 トイレだって、大の方はきっちりとお持ち帰り。

 

 大変なのだ。

 

島の生き物紹介1

これはシロハラミズナギドリ

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

島の生き物紹介2

これはオガサワラオオコウモリ

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

 山頂への山登り。

 

 もちろん著者は専門の鳥類学者であるため、登山は専門外。

 

 なので事前にクライミングジムに通い、水泳訓練をし、ジョギングに励む。

 

 直前には登山家について、実際に即した訓練も行う。

 

 そのうえで、本番の南硫黄島では、プロのクライマーたちが事前に作っておいてくれたルートに従って登っていくわけだ。

 

 それでもか~な~り危険。

 

 一番の危険は落石だ。

 

 古来ず~っと崩落し続けているような場所なので、落石の危険は常にある。

 

 もし落石を起こしてしまったら、最後尾でない場合は即座に後続に注意だ。

 

 「ラァ~ック!!」

 

 落石を省略した言葉らしい。

 

 先に紹介したようにユーモラスな文章で書かれてはいるんだが、この山登りの部分だけはかなりな緊張感が伝わって来る。

 

 これ、もしかしたら専門の人から見たら、たいしたクライミングじゃないのかもしれないけども。

 

クライミングを練習する著者

「落ちたらサメ」と暗示をかける

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

 …ということで。

 

 あんまりこの本のサバイバル的なところ(たとえば歯磨き粉の代わりにコケを使うとか)は紹介出来なかったんだが。

 

 まあとにかくおもしろかったんでオススメです。

 

 最後にオマケ。

 

 左ページの端っこにパラパラ漫画がついていて、それがちゃんとストーリーになってるのでちょこっと笑えます。

 

 ひとコマだけだけどご紹介。

 

崖を登ってますなぁ

このあとどうなるのでせうか??

(©川上和人/倉本トルル/東京書籍)

 

 

 

 今日はここまで。

 

 次回のうpはまだ未定です。

 

 たぶんブックレビューにはなると思います。

 

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