両側に、急峻な山が続く地形で、
遠くからの風に乗って届くのか、
視界には、桜はないにも関わらず、
花びらが降り注いで、足をとめた。
山腹のところどころある
山桜が散らしたものなのか、
谷底を這うような道筋にある
桜が舞い上げたものなのかは、
分からない。
空の旅をする、
花びらの視界を想像したり、
自分の視界にはない
花びらたちのことを想像しながらも、
視界に流れる花びらが、
現実世界での時間の経過を意識させる。
一説にあるように、
彼方側の世界は想像の世界で、
想像が実現する世界なら、
この体験からの、
今は不明瞭な想像を彼方側に持って還って、
光も、風も、薫りも、ゆらぎも、
川も音も、鳥の声も、
俯瞰するように体感したい。
この日もありがとう。
おかげさまに、君に、君たちに、
ありがとう。