生まれつき心臓に難病を抱える娘の為に、知識ゼロから人工心臓の開発に挑み、結果的に当時輸入品に頼っていた不完全なバルーンカテーテルを完全な物に改良した男の、イヤ、家族の物語。
開発者・筒井宣政:大泉洋
その妻・陽子:菅野美穂
余命宣告を受けた次女・佳美:福本莉子
長女・奈美:川栄李奈
三女・寿美:新井美羽
これは諦めなかった家族の物語である。
1970年代から90年代にかけての実話で筒井宣政と言う名前も実際の開発者のもの。驚きの実話ですが、実話でなければ映画に出来ないくらいにウソの様な話でした。
一心不乱に走り続ける夫婦と健気な娘達。涙なしには観られません。
特に印象深かったのは妻・陽子の肝の座り方。それをサラリと演じた菅野さん。
日和見のくせに偉そうな教授の光石研さん。誰でもそれなりの数の人と共同作業をした経験があれば、必ずこういう人物って居るものです。
そうなんだよいるんだよこーゆーヤツ。そんであーゆーヤツは大体あんな顔してんだ!(んなわきゃありません^_^)
そのくらいハマってました。
感心してしまったのは、時代設定に合わせた建物から台所用品に至るまでのセット。街中の自動車なんか当時そのまんま。比較的近い過去の物なので揃えやすかったのかも知れませんが、その分観てるこちらの記憶も鮮明で、まるで当時撮影したフィルムを見ている様でしたね👏
当時使われていたバルーンカテーテルは外国製で、そもそも日本人の体にはサイズと柔軟性が合わない、と言う事が一番の問題だったらしいのです。つまり、血管を傷つけてしまう、と言う事です。ならば素材の工夫で改善出来る余地はあるはずなのに、当時の日本医学会は「ある程度の失敗が出るのは不可抗力だ」「これを改良して使用に耐える物にするのはリスクが大きすぎる」などと、まぁ事なかれ主義と言うヤツですね。
筒井が何度もテストして作り上げた試作品に対する反応も、如何にも"あの頃"の空気を感じさるもので、いくばくかの郷愁さえ感じました。
それに比べたら今は大分マシになった様に思われ、「あゝ少しは進歩してるなだなぁ」なんて思ってみたりして。
感動的な物語です。実話ですから変に脚色は出来ないでしょうし、人なら必ず持って居たであろう負の部分も盛り込みにくいでしょう。この作品はそれで良いのだと思います。
そうではありますが、どうしても「劇場版 プロジェクト-X」的な鑑賞後感が…。