期待値高かったっす。高過ぎたかも知れません。勧善懲悪では無い方向の時代劇、人の世の清濁を併せ飲み、殺陣も結構リアルで…そういうヤツを監督・キャストから予感していたのです。

「碁盤斬り」とは必殺剣に違いない!

分厚い碁盤さえ一刀両断する一撃必殺!

それを白石和彌監督が撮ればこりゃ相当な事に!

なんてね。


盛大に間違ってました😥原作は落語なんだとか。「柳田格之進」とも「柳田の堪忍袋」とも「碁盤斬り」とも言われ、謹厳実直さ故に同僚に疎まれ、あらぬ讒言で藩を追われた格之進は、囲碁仲間の大店、万屋の主人と対局中に、万屋の50両が紛失した為、窃盗の疑いをかけられ、これの立て替えの為に一人娘のきぬは自身の身を吉原に預ける…。

こんな感じの人情噺だそうです。


噺自体を聴いた事がないので、劇中の格之進と万屋の出会いが映画の演出なのかどうか分かりませんが、少なくともその描かれ方は不満でした。それは格之進の人と成りを描いているのかも知れませんし、江戸時代の価値観なんだから…と言う事かも知れませんが、ワタシには「自己満のアホじゃん」としか映らず、まずここで主人公への共感が、引いては作品への信頼が削られたのでした。格之進と万屋の交流と格之進の娘(清原果耶)と万屋の継子(中川大志)の交流もそれぞれもう少し上手に見せて欲しかった。最終的な大団円が素直に呑み込み難いのは、その辺からの説得力の不足があると思うのです。落語で語られる分には気にならないかも知れないけど、映像で見せられると、「ムムム?」な展開でした。


碁の対局の場面などの屋内シーンでは、無駄な光を入れておらず、とても雰囲気のある画面でしたし、二度あった格之進と仇の対決もシンプル&シャープで、流石の白石監督だっただけに非常に残念😢と言わずにはいられません。