新人専任教師のカーラは7年生(中学一年)のクラスの担任をしている。ドイツの学校(多分公立校)は多人種である。カーラも両親はポーランド人らしいし、職員室もルーツは様々だ。もうこの時点で、遠い昔に学生だったワタシには計り知れない世界、しかしそれでも学校と言うものは世界共通、社会の縮図なのでした。


そこで盗難事件が頻発する。疑われたのはカーラのクラスの生徒。証拠はない・校長と学年主任(らしき教師)のクラス委員からの聴き取り調査と、少々強引な持ち物検査によるもの。彼の両親は中東からの(多分)移民。コレだけで充分ややこしい学校の現状が描かれる。両親との面談で彼の嫌疑は晴れ、カーラが思い付きで、自分が職員室の席を離れる間、上着のポケットに財布を入れPCのカメラを起動させたままにしておくと、そこには特徴的な服の左腕とそれを着た人物がカーラの上着をまさぐる様子が記録されていた。

その日、そんな柄の服をきていた人は、視界に入る限りでは一人だけ。当然疑いはその人へ。それでもカーラは穏便に済ませようとするが、容疑者は激しく反発。悪い事に容疑者の子供がカーラのクラスに。そうなると自体は外部に漏れ始め学生が運営している新聞が取材を始める。校長は教職員の団結を呼び掛けるが、己の意見が最優先の者も出てくる…

学生達は案の定、ガキンチョ丸出しの生意気さ。

父兄も子供側の意見を無条件に支持。

カーラはあくまでも生徒を守ろうとするが、それ故に孤立してゆく。


物語りとは言えイライラします。

ワタシなら直ぐにケツまくってあんな場所捨てますね。

それにしても驚いたのは、盗難が頻発する中、PCのカメラを起動したままにした事が、盗撮に当たるとして弾劾された事です。別に公開した訳でも無いし、誰の顔が映っていた訳でも無い。まぁそれをして一般人が何人かを断罪する事は出来ないかも知れませんが、それでも容疑者がキレ散らかす理由にはならないでしょう。コレは最近個人的に良く見るYouTubeの、アメリカの警察官による交通違反者などの逮捕劇(警官が携帯している記録用カメラの画像)の逮捕者達と瓜二つ。更には学生達の物言いも、あのチャンネルに時々出てくる若者達と瓜二つ。

西洋社会は何かが間違ってしまっているのでは無いか?と思わずにはいられません。同時に日本は大丈夫なんだろうか、と本気で心配になったのでした。


監督・脚本のイルケル・チャタク氏はトルコ移民の2世だそうで、より一層物語に真実味が加わります。こんなのが「ありふれた教室」なんて…っと思いましたが、原題直訳したら「教員室」でした。大分印象が変わります。勿論監督の了解は取った上での改題でしょうが、ワタシはちょっとミスリードされた気さえします。確かに「ありふれた教室」の方が興味は惹かれるかも知れないけど……どうなんでしょうね。