主人公・ジャックにはダウン症の弟・ジョバンニがおり、幼い頃こそ弟を"特殊な力のある子"と信じていたが、高校生になる頃にはその存在を疎ましく感じ、彼を恥じて、同級生達、取り分け意中の女子に「弟は死んだ」と言ってしまう。その嘘を守る為に弟のYouTube動画を勝手に削除していまい、自分の所業を隠す為に更についた嘘が、街の騒動にまで発展してしまうが、事の重大さに自分の行いを悔い、ついに彼は全てを告白するのだった。


ダウン症の弟とのショート動画をYouTubeに公開して多くの賛同を得た実在の人物の著書の映画化だそう。これが完全に架空の物語りだったとしても、鑑賞後の感想は同じだったと思いますが、やはりそこには"実話の重み"みたいなものが感じられました。

ジャックが弟に持ってしまう感情も、ついてしまったウソも、等身大の距離感で理解できますし、似たような経験も後悔も、はっきり言ってワタシにもあり、それ故彼の告白には目頭が熱くなってしまったのでした。無論ジャックの行動は短絡的に過ぎましたが、勇気を持ってその罪を告白した彼に対する周りの反応もまた短絡的なのでは無いか…とも感じました。まぁそれは、それなりに長く生きた人間の感覚なのかもしれませんが。

そしてこの映画で一番刺さったのは、ジャックの告白ではなく、それを聞き、即座に彼を許した父母の対応でした。ジョバンニもジャックも"愛する我が子"なのであり、ジョバンニについてはその誕生の時から幾度となく悩み苦しんできた、その二人だからこその、何の迷いも無い許し。今作を"感動の一作"なんて言うつもりはありませんが、多分あの場面はずっと心に残り続けると思います。