TSUTAYA CREATOR'S PROGRAM 脚本賞受賞の映画化。

これまでTCRの意義については大いに賛同するものの、作品にはイマイチ乗れなかった(全部観たわけではないのですが)

何かキワモノぽくってサ。

…で、今作。

来ました。ドンピシャこんなのを待ってました。

静かに淡々と展開するストーリー。

ありのままを映し出す映像。

上手くいかない人生。

孤独な主人公。

通り過ぎる好意、悪意、無関心。

ほんの少しの希望。

こうして思いつくままに羅列しても、地味です。

そして、主演:菊地凛子。

言っちゃ悪いけど、地味です。

実力派ですが初主演だって。

まぁ、ワタシはそこに強く惹かれたんだし、派手な才能を発掘するのも良いけど、一見地味だけど良いものを結実させてこその"CREATOR'S PROGRAM"でしょ、とワタシは思うのです。


コミュ障の陽子(42才)が20年間断絶していた父の葬儀のため東京から青森までヒッチハイクで向かう、いわゆるロードムービー。

こう書けば、「あゝなるほど、その途中で出会う人々によって心開いてゆく…ってヤツね」と、ほぼ皆んな予想するでしょう。

その通り。そう言う話です。


登場人物はそれ程多くなく、当然それぞれに人物名の設定もあるのですが、陽子以外の名前はほとんど印象に残らない、イヤ語られてもいない。って言うか、そんな事、実は大した問題じゃない。実際、歳取ると若い時に増して人の顔と名前覚えられなくなりますが(ワタシ的感覚です。政治家なんかは絶対そんな事はないのでしょうけど)、対して困ることもない。そうなんです、そんな事は大した問題じゃない。

ワタシにはそう言う展開が心地良いのでした。

それにしても陽子、映画終盤まで殆ど喋りません(独白は少々)。時々現れる死んだ父(オダギリジョー)も一言も発しません。回想シーンも無い。

説明臭い展開一切なし、です。

余り良い父親ではなかったようです。

だから陽子も18で家を出た。

それでも父娘の情はあったのだと、きっと笑い合った時もあったのだと伝わって来ます。

(オダギリジョー、こう言う役ホントはまる)

ヒッチハイク中、一番絶望的な状況の時に拾ってくれた老夫婦(風吹ジュン・吉澤健)。どうやって拾ってもらったのかは一切語られていません、いきなり車に乗っていて、一瞬アレ?って思いましたが、取ってつけたような場面見せられるよりずっとイイ。

そして老夫婦の暖かさ。

世話焼きのおばちゃんの柔らかさと無骨なおっちゃんの思いやり。正直ちょっと泣きそうになりました。

他の人達の、優しいんだか冷たいんだかわからない感じもイイ。実際こんなもんでしょ。

だいたい、あの陽子に同乗頼まれたら、ワタシなら逃げる照れこえ〜もん。

陽子の弱みにつけ込むクズみたいなヤツもいる…。

でもそれでも!

拾う神もある!

小さな勇気と小さな思いやりが誰かを救う事もある!

それがヒトの世ってものであって欲しい。


TSUTAYA CREATOR'S PROGRAM 

なかなかやるじゃん👍