2001年9月11日米国同時多発テロ

命の値段

…となれば内容はお察しですね。

その通り、それ以上でも以下でもない映画でした。

敢えて言えば、遺族達と向き合いそれぞれの賠償金の額を決めた弁護士の苦悩と努力、それに納得し難い遺族達が本当に求めたもの、そうしたものがリアリティを持って描き出されています。

まぁ、あれほどの大惨事です。

ワタシの記憶にさえあの日の作り物の様な映像は鮮明に残っています。

まして米国内にわだかまるその陰のような物がいかばかりか、想像に難くありません。

それ故、変な脚色なんかできるワケありません。

無論、描かれている遺族それぞれのエピソードは実話を元に構成されているのでしょうが、何かと制約の多い昨今の事、大変な苦労の末の賜物であると察せられます。

ただし事の顛末には納得したものの(実話なのだし外野から納得出来ないと言っても無意味ですが)、心打たれた、とかではありませんでした。

例えば政府側は「遺族に訴訟を起こされたら泥沼化する」ーそれは国家の威信を傷つきかねないし、経済的損失も膨大になる恐れがあるーので、凄腕弁護士を立てて遺族基金を設立してその中で収めたい。つまりはビジネスライクに。(当然の事ではあると思います)

引き受けた弁護士は、「この件を泥沼化させれば犠牲になるのは遺族である。そうならない為にやらなければならない。厳しい道のりだし、汚れ仕事かもしれないが」が第一義かもしれませんが、「これは自分にしかできぬ。成し遂げた時の効果は計り知れぬ」="野心"が見え隠れします。(これも当然の事ではあるでしょう)

遺族にしても必ずしも純粋な悲しみだけとは限らない、その複雑さも垣間見えます。

こうしたキレイとは言い難い感情も表現しつつ、以外とシンプルな経緯でたどり着いた合意はアメリカの誇りなのかもしれません。


そんな事を思いつつ、同時に

そもそもテロの根源を辿れば、キリスト教対イスラム教の対立・欧米が支配した石油の利権・一方的な正義によるイスラエル建国及び米国の全面バックアップ等、上辺だけしか知らないワタシでさえ思い至る理不尽も想わずにはいられませんでした。

合掌。