Cside
「ん、」
この身体の気だるさ....
久しぶりに感じた。
「ユノの匂いがする」
いつも一緒にいるユノの匂いですら、
久しぶりに感じた。
そんな気がする。
僕たちは久々にセックスをした。
最近ユノは僕が眠る頃にはまだ作業部屋で仕事をしていて、
僕はこの大きくて広いベッドで一人で眠っていた。
クゥーン
「ポッチがいなかったら僕は消えてしまってたかも」
僕のワガママだってわかってた。
だからユノには言っちゃだめだったし、
負担にも思われたくなかった。
でも、
"愛情を感じられないのなら、
チャンミン...そなたは消えてしまうぞ"
夢なのか、現実なのか定かではないけど、
神様の声がして僕は焦った。
「僕は.....愛情.....感じてますよ。
だから神様、僕を消さないで下さい」
"愛情とは心で感じるものだ。
今のそなたは頭で愛情だと思い込もうとしていないか?
果たしてそれは真実の愛なのか..."
「真実の愛....
神様、僕はいったいどうすれば...」
"................."
「神様?」
"................."
「神様?!」
神様からのお返事はなかった。
「消えたくないよ...
せっかく人間になれてユノのそばにいることができたのに....」グスッ
クゥーン
「大丈夫だよポッチ、僕は大丈夫」
クゥーン
焦っていたんだと思う。
あんな風にユノの気を引こうとして。
あんな家出みたいなことをして。
でも
「ユノは来てくれた」
心配もしてくれたし、
額から汗が出ていたから走ったのかな、
焦ったのかな、
そう思ったらちょっと不謹慎かもしれないけど、
嬉しかった。
外なのに抱き締めてもくれた。
ユノの匂いは僕を安心させる。
あぁ、この匂いに包まれたら、
僕は大丈夫だって思える。
単純だな。
でも愛って難しいように思えて本当は単純なのかも。
身体中にあるユノから与えてもらった紅い花弁。
それだけで愛情だと思えちゃうんだから。
「キスマークなんてモデルとしては失格なんだけどね」
Yside
『いい匂い...』
チャンミンが朝御飯を作ってくれている。
見なくても分かる。
匂いがそうだから。
グーッ
昨日は晩飯も食べずにチャンミンとヤったから、めちゃくちゃ腹へった。
朝起きて隣にチャンミンがいないのは寂しいけど、
俺のために少し早く起きて朝御飯を作ってくれてるって思うと俺ってものすごく幸せ者なんだな。
それなのに、不安にさせてたなんて。
何度でも謝るし、何度でも後悔する。
『本当はこの家から出したくないほど、
チャンミンを独占したいと思ってる』
でも俺はデザインを考えたら集中型で、
周りの目とか、空気が見えないみたいだ。
でもそんなことでチャンミンを悲しませたくない。
『たくさんスキンシップしないとな』
"馬鹿者が...."
『!!!!』
"反省しても実践できてないと意味がない。次また同じようにチャンミンを不安にさせたら..."
『えっ?!!か、神様?!!』
"チャンミンは消える....."
『え、』
"肝に命じておけ!"
『ちょっ、なんでですか!
そもそもチャンミンはもう人間です!
俺たちは想いが重なったんですから!!』
"..........大馬鹿者。
いいかチャンミンは愛から生まれたと思いなさい。愛がなければ生きられない。
つまり消えるということだ"
『.................』
"愛し合うことは容易いことではない。
存在を当たり前と思わず常に感謝と愛を与えること。そうでなければ、愛などすぐに消え去る"
『俺とチャンミンの愛は消えません!』
"初めは皆そう思う。
しかし現に別れたり離婚がある。
誰もが陥る可能性があるということだ。
そなたとチャンミンにもな"
『.................』
"いいか、当たり前なんてものはない"
『............はい』
神様の声は消えていった。
当たり前と思わずか....
チャンミンごめん。
俺、チャンミンはずっと傍にいてくれると、俺から離れるなんてありえないって思い込んでいたけど、
もっと、愛を伝えていくよ。
俺たちの愛は奇跡だったな。
忘れかけてたよ。
『愛してるよ』
俺は無性にキッチンで朝御飯を作っているチャンミンに会いたくなった。
ほんのさっきまで抱き合い、
キスをし、セックスをしていたっていうのに....
『チャンミン!』
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