"テミーン!テミーン!!"

"あぁ、心苦しいぃぃぃ..."

"うわーん!うわーん!!"






チュソクのプチパーティーを御開きして、ユノヒョンのご両親とテミンが帰ろうとしたら、
アルムはテミンと別れたくないのか、
玄関先でわんわんと泣いた。



いや、なんか...
こんな風に僕のことも想って泣いてくれるのだろうか。
とちょっと不安になってしまった。




"アルムちゃんまた来るからね"

"やくそく..."

"うん。約束"



アルムは小さな小さな小指を立て、
テミンと指切りをしていた。 
その愛くるしい姿にギュンッとした。
どうしよう。
絶対に100%無いってわかってるけど、
もしアルムがテミンと結婚したら....



ないないない!


「考えないようにしよう」






















『あー緊張してきた...』

「スーツ出してアイロンかけておいたよ」

『さすがチャンミン助かるよ』

「今日....楽しみだね」

『どうしよう...だめだったら』

「入賞してるだけでも凄いんだから」

『そうだけど....』




僕との内容を記した"運命"が本屋大賞にノミネートされ今日は大賞発表の日。
ホテルの会場で発表されるから、
ノミネート作家は出席しなければならない為、前日からスーツの準備に追われた。



本屋大賞に選ばれると、
さらに本の売上に繋がるからとテミンも興奮していた。
僕としては、あの内容を更に多くの人が目にすると思うとめちゃめちゃ恥ずかしい。
でもユノヒョンの作品が、
たくさんの人の心に残ると思えたら、
いっかな...と思っちゃう自分もなかなかだけど。




仕事中も発表の時間を今か今かと待ち、
ネットの速報もすぐ見れるようにしていた。
ちなみにテミンが現場に行っているから、
結果をすぐに連絡してくれる。









ピローン




ピローン








はっ!!






「もしもしテミン!」

"わっ!びっくりした..."

「どうだった?!!」

"あー・・・・・"

「え、」



だめだったんだ...












"おめでとうございます!
ユノ先生の運命が大賞です!!"

「え.....」



う...そ.....



"ヒョーン?聞こえてますか?!おーい"

「ホントに?!」

"はい。今からユノ先生は記者会見をされるので、メイク中です。メイクが終われば電話がくると思いますよ"

「.................ッ」

"ヒョン?"

「ッ...よかった.....ほんとに...よかった」

"はい。これからもっとユノ先生は忙しくなりますよ"

「うん。テミンのお陰だ。ありがとう」

"僕はただユノ先生の担当なだけです。
僕よりヒョンのお陰ですよ"

「僕は別に...ただの校正担当だし」

"いいえ。
ヒョンとユノ先生がバカップルだから、
運命は評価されたんです"

「..........ディスってる?」

"誉め称えています"

「........なんだろう。
腑に落ちないけれど、礼は言っとく」











それからユノヒョンから電話がきて、
電話越しで2人して泣いた。
ユノヒョンは本の中だけでも、
同性愛が大衆に受け入れられたことに、
感動していた。




確かに。
本屋大賞は単なるBL漫画やBL小説を趣味趣向に持つ人だけに響いただけでは、
大賞をとることはできない。






ユノヒョンは生放送の記者会見に今まさに出ている。
僕はこっそり会社でみている。


"受賞した今のお気持ちは?"

『そうですね...
数ある素敵な本の中からBLといわれる内容が選ばれたことを単純に嬉しく思います。あとは大切な人たちに喜びを伝えたいです』


"パートナーでもある彼の存在は?"

『無くてはならない存在です。
ありきたりですか?
でもやっぱり僕にとっては酸素です。
そして彼は僕の叶うはずがない夢を叶えてくれました』

"夢とは?"

『彼はノンケ、つまり異性愛者です。
そんな彼を好きになってしまった僕を受け入れてくれました。
そして実際結婚はできませんが、
パートナーシップを取り、今では養子縁組をし親となり子供を育てるという夢まで叶えてくれました』

"すごいですね"

『はい。夢だけ抱き諦めていた全てのことを彼は受け入れ叶えてくれました。
あり得ないことだと思います。
僕は彼を一生愛します』





ユノヒョン....
僕だってユノヒョンがいてくれたから、
スヨンからの子離れもできた。
親代わりとして苦労したことを、
ちゃんと僕の気持ちになって耳を傾けてくれた。
ユノヒョンの優しさに何度も救われたんだから。








"シムさん?"

「先輩...」

"ありがとうね"

「え?僕はなにも」

"シムさんがいなかったら、私はユンホの才能を捨てていたからも知れない。
マイノリティを受け入れず彼を追い詰めていたかもしれない"

「そんなこと.....」

"シムさんには感謝しきれないよ"

「先輩...」

"これからもユンホを頼むね"

「.....はい」










"オッパー!!"

『アルムただいま』

「お帰りなさい」

『ふふ、なんかいいな。
帰ってきてアルムからの全力ハグに、
チャンミンからのお帰り。』

「家族だもん」

『そうだね。幸せだ』





チュッ





チュッ





スーツ姿のユノヒョンはいつも以上に格好よくて、
髪もビシッとしているから、
男らしくてドキドキする。




チュッ






チュッ







"アルムにもポッポ―――!!"

「!!!!!」

『!!!!!』



またやっちゃった。
アルムがいるのに、すぐに2人だけの世界に入る癖を直さないと。



『んー、アルムにもチューウ!』

"キャハハ!!!!"




まぁ、これはこれで僕らの家族の愛なのだからアルムが小さい間は、キスぐらいはいいかもしれない。



って自分に甘いかな。








『そうだ。
子供の話を記者会見でしたからか、』

「ん?」

『次回はアルムのことを含めた内容を書いてほしいって依頼がきたんだ』

「は?」

『チャンミンとのラブラブももっと書きたいな~』

「!!!!!」



今回の運命だけで終わると思っていたのに、あろうことかアルムのことも、
僕とのラブラブ?
あれ以上書くって言うの?






「全力で拒否する!!」

『え~?』







それからユノヒョンが次回作に、
アルムのこと、僕のことを本当に書いたかはそれはまた別の機会に。







「次は校正で全修正するからね!!」







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