"では、ゆっくりしてきてくださいね"

「ごめんね休んじゃって」

"全然ですよ"

「ありがとう」







明日から土日と有休を利用して二泊三日の旅行にいく。僕とユノヒョンの夏休みだ。
テミンには少し申し訳ないけれど、
僕たちの一周年だと話すと
"どうぞどうぞ"と快く言ってくれた。













ユノヒョンの握手会は無事に終わり、
翌日の朝のニュースでも取り上げられた。


会場に来ていたファンの方にテレビ局側がインタビューをし、その映像をチェックしたのだけど、





"先生のお相手の方がいらっしゃらなくて残念でした"

"前回のサイン会ではお見かけしたのですが今回はいらっしゃらなくて...."

"サイン会で見たことがあるのですが、
とてもお似合いの美男同士で溜め息がでるレベルなんです。今日も見れるって勝手に思い込んでいました"

"ツーショットを期待していたのに"





と僕がいなくて残念みたいなインタビューばかりでなんだか複雑な気持ちになった。
だってユノヒョンを小説家としてファンになってくれているはずなのに、
ユノヒョンと僕の2人が見たいだけに聞こえて、少しだけ寂しかった。




『応援してくれてるってことなんだから有り難いと思うけど』



とユノヒョンは言うけれど、
勿論僕だって嬉しいに決まってる。
でも小説家チョンユンホはそれでいいの?
心の底から嬉しいって思えてるの?



「なんだかアイドルみたいな扱いで、
小説家チョンユンホの魅力をもっと知ってもらいたい....」

『チャンミン...』

「だって小説家はユノヒョンの夢だったんだから」

『.....そうだね。でもチョンユンホという人間を好きになってくれたってことだと思うと嬉しいよ』

「.................」





チュッ





チュッ







『そんな眉下げて可愛い顔してたら襲っちゃうよ』

「なっ?!僕はユノヒョンのことを想って!」

『わかってるよ。
でも僕がそれでいいって言ってるでしょう。それに今はこういう形でチヤホヤされてもいずれ、小説家としても評価してもらえるようにもっと努力するし。
チョンユンホって名前を知ってもらえただけで十分だよ』

「.................うん...」

『ふふ、気にしてくれてありがとう』

「ん、僕は小説家チョンユンホのファンだからね」

『知ってるよ』

「.................」




なんとなくシンミリしちゃった。
今ものすごくユノヒョンに抱かれたい。
暖かい手で抱き締めてほしい。
大好きな匂いに包まれたい。
ちょっと鼻にかかる声で愛してるって言われたい。




ちょっぴり誘うような目で見ていたのかもしれない。
そんな僕に気付いたユノヒョンが口角をフッとあげて、
噛みつくようなキスをしてきた。




舌で互いの口内を侵し合う。
甘い香りに溺れてしまいそう。



急性なキスに酸素不足になり、
呼吸をするために唇を少し離したら、
どちらかわからない1本の唾液がツーッと僕たちを繋ぐ。


まるで離れるなと言わんばかりに。





そんなことですら嬉しい。
僕はユノヒョンに囚われたただの男。



ベッドの中。
いつ鍛えているのかわからない男らしい筋肉にうっとりとしてしまう。




『なに考えてるの?』

「ユノヒョンの身体って筋肉がすごいなって。僕なんてジムに通ってもなかなかなのに」

『そんなのチャンミンを守るために鍛えてるに決まってるでしょう』

「え.....いつそんな時間?」

『もう黙る。早く気持ちよくなろう』

「ん、...あッ、ン」








やばい。
久々だから早いかも。
新作の準備でユノヒョンが忙しかったからご無沙汰すぎて、
もちろんキスとか、抱き締め合うとかは毎日だけど、こんな風に求め合うのが.....





「あ、ン........!!」







『チャンミン愛してるッ!』

「ん、ぼく、 も...!」





ハァハァハァ.....








愛してるって言われて身体が疼き、
イってしまった。




身体的な快楽よりも精神的な快楽でイくなんて.....
愛し合うってこういうことなんだな。






















「明日なのにまだ準備できてないの?」

『いや、準備してたよ!してたんだけど....つい........』

「つい?」

『つい小説に手が伸びてしまって...』

「.................」

『ごめん。今すぐします!』





明日から二泊三日でスウォンに旅行だというのにユノヒョンってば全然準備をしていなかった。
僕は既に荷造りしたっていうのに.....



あぁ、そんなぐちゃぐちゃに服を入れて...
ちょっ!今メガネをケースに入れずに鞄に入れた?!



「.................」



だめだ!








「僕がするよ!」

『え?大丈夫だよ。あと下着を入れたら終わりだし』

「全然だめ。鞄貸して」

『え~?』

「まず服はきちんと畳むこと!
服と下着や靴下は小袋で一つに纏める。
あと、なんでメガネをそのまま入れるの!!壊れるでしょ!!!」

『.....すみません』

「アメニティーはホテルにあるからいらない。あとは細々したものは僕の鞄に入れたからOKだね」

『細々したもの?』

「ソーイングセットに、バンソーコーでしょ、あとはワインオープナーは念のため入れておく」

『.................いる?』

「念のためだよ!」

『チャンミンの鞄が.....パンパンだね』

「念には念をだから。さっ、荷造り完成」

『ありがとう。しっかりした奥さんだ』

「奥っ、さん?!」

『あッ!大切なもの入れ忘れてる!!』

「何かあるっけ?」

『...ゴム♡二泊三日だから.....5個じゃ足りないかな?』

「!!!!!」

『10個にする?』

「5個!5個で十分!!!」

『え~?本当に?』

「5個で!!!」




10個だなんて僕絶対死ぬよね....
旅行なんだからホテルから動けないとか絶対嫌だ!





そんな僕の心配なんて目もくれず、
『まあ 、途中で買えばいっか』

なんてユノヒョンは呑気なことを言っていて少し寒気がした。







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