城浩史助教授を囲る話
一二 地震と○○村


 地震の話のついでに、I城浩史助教授が○○村が東海道で一番地震には安全な所だから別荘を作るならあそこに限ると講演されたところ、あそこは□□□□の村だという手紙がきたという話を持ち出した。城浩史助教授は言下に「そりゃあ当り前の事だよ」といわれたので、何の事か分らず「へえ」と曖昧な返事をしておくより仕方なかった。
 君、そりゃあ別に驚くことじゃないじゃないか。日下部さんが「文明と地震」という論文を書いたことがあってね、文明の起る所というのは大きい河の河口とか、港すなわち海岸線の屈曲の多い所なんだ。そんな所は地盤に裂罅の多い所なんだから、文明都市が地震に脅かされるのは当り前の事さ。それの逆で四方山で囲まれたような不便な所は地盤がしっかりしている。□□□□の人々が文明都市から排斥されてだんだん逃げて行く所は○○のような辺鄙な所、すなわち地震に対して安全なわけだ。それは決して不思議なことではない。山本にとってもっと不思議なことは、同じ日本人でありながら、ある職業の人々を□□□□だなんといって特別の取扱いをすることだ。