皆さんこんにちは、門松建男です。

芦原妃名子先生の死から半月以上が経過しましたが、ようやく、日本テレビからの反応がありました。

 

日テレ【コメント全文】「セクシー田中さん」問題「社内特別調査チーム」で「真摯に検証」を明言(よろず~ニュース) - Yahoo!ニュース

 

正直なところ、どこまで信用してよいのかわからない内容です。

とりあえず、外野の声がうるさいから調査チームを作って言うてお茶を濁そう、という感じにも受け取れますし、何とも言えません。

ただ、これによって原作者周りの環境などが少しでも良くなってくれれば、と願うばかりです。

 

先日、小学館のコミック編集部が声明を発表しましたが、その声明に納得した人もいれば、そうではない人たちもいらっしゃる様です。

 

『セクシー田中さん』問題、小学館の編集者一同の「泣ける声明」でも鎮火失敗のワケ(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース

 

私は正直、後者の立場です。

個々の編集者がどうこう、というより、小学館の社風、会社全体の考え方がこれでは変わらないから、ということです。

そのことは、複数の漫画家さん(特に、過去に小学館ともめた経験のある漫画家)がSNS等で発信しています。

 

「悪しき慣習が漫画家の首を締めています」 発言続ける現役漫画家・新條まゆさん、「業界最大の問題かもしれない部分」に提言(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

 

漫画家・新條まゆ氏 小学館批判で知人漫画家から「取引先に根回し」され憤り「さすがにやり方が汚い」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

 

また、こういった流れの中でも、出版社側に立つ作家と、そうではない作家、無反応の作家さんもいらっしゃいます。

出版社側に立つ作家さんは、恐らく自らの出版社内での立場を守るために、出版社寄りの立場を表明したり、出版社側を擁護する様な動きをしているのだろうな、というのは容易に想像できます。

 

これはここまでの話と若干変わる話にはなりますが、日本テレビにしろ、小学館にしろ、この状況で単純な損得を考えた行動ができない、というのはちょっと経営者の能力を疑うレベルです。

どう考えても早めに反応した方が良いし、どう考えても早めに対応した方が会社として得だとわかっているのに、何故何もせずにいたのでしょうか?

それこそが最も損をする選択なのですが。

現在の60代~70代の世代(バブル前後)がいかに時代の流れについていけていないか、いかに社内政治のみに長けていて経営能力、意思決定能力が無いかを世界中に発信している様なものです。

 

また少し話が変わりますが、岡田斗司夫さんも先日のYoutube(限定版)で本件について触れていました。

その趣旨としては、今後、漫画原作のドラマが作りにくくなるだろう、という話です。

 

著作権には著作人格権と著作財産権があります。

昨今の報道や、小学館編集部の声明などでこの言葉を目にした、耳にした方も多いのではないでしょうか?

 

小学館、今後の映像化は「原作者をお守りすることを第一」(オリコン) - Yahoo!ニュース

 

岡田氏の予想としては、今後、出版社は漫画家に対してこの著作人格権を停止させる契約を結ぼうとするのではないか、と。

著作人格権を原作者から奪うことはできないので、「著作人格権を行使しない」という契約書を原作者に結ばせて、原作を改変する権利を得ようとするのではないか、と。

そして、そんな契約を結ぶ漫画家は少ないと思われるので、結果的に漫画原作のドラマが減るのではないか、との予想でした。

また、その中で漫画をそのまま映像化できない、という話をされていました。

確かに、漫画の表現をそのままアニメや実写で表現することは不可能です。

だから、「漫画そのままに映像化してくれ」という原作者の要望がそもそも無理筋である、という趣旨です。

 

 

その点に関しては確かにそうなのですが、そもそも、今回の事件の論点はそこではありません。

以下は削除されたブログからの引用です。

 

 

つまり、漫画としての表現ではなく、キャラクターの設定や物語の根幹にかかわるセリフ、出来事等といった部分が大幅に改変されてしまった為、「これはセクシー田中さんではない」という芦原先生の叫びにつながったのだと思います。

これは表現が云々の話ではありません。

 

森川ジョージ氏 漫画の映像化企画で高まる〝原作重視〟の風潮に「改変無しのメディア化はあり得ない」(東スポWEB) - Yahoo!ニュース

 

脚本家の相沢友子氏は、一連の騒動を見て、全部を知らなかった、とインスタグラムに投稿しています。

しかし、コミックスの第7巻には、ドラマ化に際しての芦原先生のコメントが記載されています。

昨年10月に発売された為、既にドラマの放送は始まっていましたが、その時点ではまだ最終回の製作は途中だった可能で胃があります。

そのコメントの中で、芦原先生はドラマ化に関して苦しんでいる、苦労している旨の発言をされています。

まさかとは思いますが、自分が脚本を手掛けている作品の単行本を読んでいなかったのでしょうか?脚本家だけではありません、スタッフは1人として読んでいなかったのでしょうか?

それとも、読んだうえで「漫画家ごときが何か言ってやがる」とでも思っていたのでしょうか?

 

セクシー田中さん脚本家「初めて聞くこと」に古市憲寿「単行本読んでなかったのか」(まいどなニュース) - Yahoo!ニュース

 

クリエイターとして下の下だと思うのですが、それでもこの相沢友子という脚本家は業界では人気の人の様です。

 

「セクシー田中さん」相沢友子氏の本当の評判 原作クラッシャーでも“ご指名”されるワケ(東スポWEB) - Yahoo!ニュース

 

ドラマ化経験の重鎮漫画家「芦原さんの拘りを承諾したことに問題」 出版社とテレビ局は「WIN WIN」指摘(よろず~ニュース) - Yahoo!ニュース

 

根本にあるのは、映像業界、というよりも、マスコミの持つ「選民思想」だと思っています。

自分たちはエリートである、という思想です。

 

かつて、テレビは映画やラジオ、新聞よりも下に見られていました。

「テレビなどという低俗なもの」という差別です。

差別というのはどうやったら無くなるのでしょうか?簡単です。

別の物を差別すればよいのです。

 

アメリカでは、最初に移住してきたイギリス人が、後から来たドイツ系やイタリア系の住民を差別していました。

彼らは、黒人を差別することで「差別される側」から「差別する側」になることができました。

今度は、同性愛者や共産主義者を差別することで、黒人も「差別する側」になることができました。

そして、「移民」を差別することで、同性愛者も「差別する側」になることができました。

 

この様に、テレビ局も、自分よりもヒエラルキーの低い何か「インターネット」や、「漫画家」等を差別することで、出版社やラジオ局、映画業界から「差別されない側」になることができました。

これがまだ生きているのだと思います。

 

彼らは選民思想が強くて他社を見下し、差別しますが、自分たちではお金を稼ぐことができません。

仕方が無いので、インターネットや漫画(オタク文化全般)を「利用してやる」ことでお金を稼ぐ様になりました。

テレビ側としては、仕方なく使っているだけなので、そこには敬意等はありません。自分たちより低俗な文化を、テレビ様が放送してくれてやっているのです。

泣いて喜べ、と思っているでしょう。

これが根本にある問題ではないか、と思います。

 

ですから、私は今後、契約が厳格化されることを望みます。

それによって、漫画原作のドラマや映画は減るでしょう。

そして、漫画原作よりも面白い脚本が書ける脚本家は日本には数えるほどしかいません。

ですから、日本のテレビドラマ文化はどんどん衰退していくでしょう。

しかし、私はドラマに興味が無いので、一向にかまいません。

その中で、きちんと契約を結んで、原作を尊重します、という方たちだけが映像化すれば良いと思います。

漫画は実写化される為にあるのではないのですから。