2017年1月15日、入門のお許しを頂いた。
師匠・立川談笑、その弟子の育成方針は、一般的に「落語家の修行」と聞いて思い浮かべる物とは恐らく違う。
まず、優しい。
厳しい小言、説教、無理難題、雑用など。
それら一切が無い。
「その時間は自分の落語にあてな」
「好きな物を増やしな」
入門して多く言われたのがこの2つ。
ただし。
師匠に対し弟子として難しい立ち回りを求められる事はないが、入門して即、前座の頃から1人の落語家として主体性を求められるという意味では、厳しい。
入門したら勝手に落語家になっていく訳ではない、自分で考え動き、前座の頃からお客さんに楽しんで頂く。「それが難しそうなら、辞めて貰うからね」面接の際にそう言われた。
そうして始まった前座生活。
お言葉を額面通りに受け取り、前座の頃からとにかくやりたい噺を覚え、作り、そして自らの会を開いた。
勿論、各楽屋での前座仕事が暮らしの中心ではあるが、それでも通常の前座ではあり得ないほど自分の事に時間を使った。
そして入門から1年が過ぎた頃。
「必要不可欠な期間が終わったら二ツ目に上げるから、逆算して準備しておいてね」
そんなお言葉を頂いた。
それから時々。
定期的に何度か同じお言葉を頂いた。
で。
なった、二ツ目に。
…という。
勿論嬉しかった。勿論それはそうだが、先にも書いた「厳しい小言、説教、無理難題、雑用をこなし耐える期間」ではなく、ただ「やりたい落語を覚えまくり考えまくる期間」であった前座生活は、そう苦しい物ではなく。
なので勿論嬉しかったけど、落語業界ではよく言われる「二ツ目になり釈放された」といった類いの喜びは無かった。
さらに。
そうして決まった二ツ目昇進、その披露目の落語会、チケットはすぐ完売した。
師匠の独演会も手掛けている会社。
そこにお願いしてあったチケットは、販売方法や販売先も分からないうち、あっという間に無くなっていた。自分の手で販売したり、誰かを招待したり、そういった事はほぼ無かった。
前もって仰って頂いていたおかげで準備すべき物は揃っており、チケットは完売し、何一つバタバタする事なくあとは披露目の当日を待つだけとなった。
が。
これ、今にして覚えば、それはそうで。
何も自らの人気があって「談洲の披露目」にお客さんが集まった訳では無く、恐らく「談笑一門の新二ツ目の披露目」のチケットが完売しただけで。
優しいけど厳しい談笑一門の方針、新しい弟子は定期的に入るもしばらくしては去り、二ツ目に昇進する者が長らく居なかった。
そこに数年ぶりの新二ツ目。
鮮明に覚えているのは、披露目当日、高座に上がった時に感じた空気。「お祝い・応援」というより圧倒的な「初見・興味」だった。
勿論「初見・興味」で来て下さっているのも、ありがたいには違いない。何ならお祝いの気持ちで集まって下さったのだと思う。そこに関し、心から感謝しているし当然のこと不満もない。
しかし翌日。
ご来場者にお礼の連絡をする訳でも無く、感想なんかの連絡が来る訳でも無く、事後処理的な物も何もない。
任せきりの企画・運営・販売、そして自分のお客様ではなく、師匠が築いてきた空気とお客様で満員の会。今にして覚えば当然。終えたのち「自分の糧となった」という感覚はほとんど残らなかった。
2027年1月15日、入門して10年が経つ。
当然、とんでもなく辛くしんどい苦しい事、大変な事、沢山あった。
「前座生活はそう苦しい物ではなく」なんて書いたけど、多岐にわたる場でそれなりにはあったし、自分に使った時間はのっぺり怠けた訳では断じてなく、その分めちゃくちゃなペースで落語を覚えて覚えて作って作った。
それこそ、披露目直後コロナが広がり、昇進して「さあこれから」という正にその時に落語界自体がストップした時は絶望した。
それでも、どこか「恵まれた環境に頼ってここまで来た」という感覚がある。
それは色んな理由があるが、その多くが「自分の師匠が立川談笑である」という事に起因すると思っている。
入門から10年。
生涯現役ともされるこの世界。入門から「たかが10年」と心得ております。ですが「されど10年」とも考えます。
これからの糧となる何かを拵えたいと思い、2日間にわたり、節目となる会を行うことにしました。
チケット1000枚、プレイガイドでの吸売はせず、自分の手で販売します。常にチケットを持ち歩いております。お目にかかった際には是非お声掛け下さい。
立川談洲
◆ 立川談洲10周年落語会◆
◆『棒手売 -ぼてふり- 』◆
2日間公演
【第一夜】1月14日(木)
【第二夜】1月15日(金)
開場18:30/開演19:00
会場 なかのZERO小ホール
手売¥2,000/当日¥3,000
全席指定席
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mailto:dancetatekawa@gmail.com
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