意見陳述 | 建て替え住民投票の会 改め・・・2015~建て替え綾子のブログ 

意見陳述

意見陳述終わりました。
100名以上の方がかけつけて下さり、
傍聴席は満員で、立ち見や、傍聴席の外のモニターをご覧になってくださっていた方もいらっしゃったそうです。
本当に有難うございます。

明日の委員会は、住民投票に関係する請願が7件あり、それについて審議したあと、
参考人として出席した私の意見陳述を5分。その後、総務委員会の議員さんの質問を
受けることになります。

委員会は8時半からです。

委員会の傍聴は、市役所第一庁舎の7階、議会事務局にて受付をする必要があります。
受付開始は、8時からということです。

委員会は、本会議のように、放送されることはなく、
数ヶ月後に出る、議事録でしか、やりとりを確認することができません。

本会議とはまた違った感じも、市民にとっては、ちょっと面白いところですので、
ぜひ、足を運んでください。

本日の、意見陳述を以下に、全文掲載致しますので、
文字にて御覧ください。




平成23年 8月10日 長野市議会本会議にて。


意見陳述

長野市条例制定 請求代表者の山岸綾子です。
まずはじめに、この場をお借りいたしまして、本日まで、当会の活動に関わってくださった全ての皆様に、心より御礼申し上げます。

 私が代表を努める、市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えの是非を問う住民投票条例の制定を求める会は、平成23年3月24日に発足いたしました。長野市在住の主婦8名のグループが活動の中心を担い、「市民が必要な情報を得て、意思表示する場を求める」という趣旨に賛同する個人、団体に広く、参加を呼びかけてきました。いわば勝手連とも呼べる団体ですが、署名収集を行った受任者は800人を超え、22843人の方が署名をしてくださいました。

 署名収集をしてくださったお一人お一人が、両施設の建て替えに賛成か反対か、ということについて把握はしておりません。しかし、どちらのご意見の方もいらっしゃったということは間違いありません。「建て替えることに反対。」「建て替えることには賛成だが、時期や規模などを見なおしてほしい。」「自分は計画には賛成だが、市民合意が不十分だと感じるので住民投票をしたほうが良い。など、いろいろな意見の方が署名集めを担ってくださいました。

 両施設の建て替え計画は、長野市の将来の姿と、私たち市民の生活に多大な影響を及ぼす重要な事業だと認識しています。だからこそ、どのような計画になるのか、関心を持って見てきました。わたくしは、市の説明会にはできる限り出席し、市からの配布物や新聞の関連記事もできるだけ読むようにしてきたつもりですが、それでも市民にとっては議論の経過がよくわかりませんでした。同じように、多くの市民が、市民合意が十分でないまま計画が進んでいくことに、不安や納得のいかない思いを抱いているというのが、今の長野市の実情だと感じています。
 例えば、署名を集める中で、このようなお話をかなり頂きました。「これほどの災害があったんだから、あの計画はなくなったんでしょ。」「市民会館のファイナルコンサートの時、市長さんが、さよならじゃなくなるかもしれませんて言ってたわよ。」「新聞に、市長さんが地域のエゴばかり通すわけにはいかないと言ったって書いてあったから、あの計画はストップしたんでしょ。」などです。市民に正確な情報が伝わっていないことを改めて実感しました。
 また、8月1日発行のながの市議会だよりを読ませていただいたところ、「市役所第一庁舎及び長野市民会館特別委員会のうごき」として、「4月上旬、第一庁舎・長野市民会館建設基本計画が正式に決定されましたが、震災の影響で国からの財政支援が不透明となったことから、5月9日に開催した委員会では市長に出席を求め、両施設の建て替えに関する考えを確認しました。市長からは『国では、現時点で既存の起債について見直しの議論は無いと聞く。両施設の建て替えは必要かつ重要な事業。これまでの議論や検討の積み重ねを重視し、基本計画に沿って進めたい』との考えが示されました。」と書かれていました。
この内容を聞いて、「大丈夫なんだ。」と安心する市民はいないと思います。「万一、国からの財政支援が予定通り受けられなくなったらどうするのだろう、仮に合併特例債は変わらないとしても、交付税の額や、その他の補助金など、国は今まで通りの水準を維持することは難しいのではないかしら?」と考えるのは普通のことだと思います。

 これは、署名を集める中でよく話題になったことの一つなのですが・・・それは、これから人口が減っていき、しかも15歳から64歳までの生産年齢人口が大きく減って、反対に高齢者の方が増えることについて、市や議会では、どう考えておられるのか、ということです。
仮に今、財政が安定しているからといっても、今後30年間の人口動態の予測を見れば、安心していてはだめだということは市民にもわかります。
また、人口の減少は、ホールなどの稼働率にも影響するのではないでしょうか?人口予測から想定される財政やホール稼働率への影響などについては、当然検討されているものと思いますが、私たち市民にはその情報が届いていません。

 さらに、私たち市民は、新しい市民会館の管理運営にかかる費用がどれくらいなのか、わからないまま計画が進むことへの不安もあります。おそらく多くの方が同じような思いを、」いだいていることと思います。
市民ワークショップや建設検討委員会においても、ソフトに関わる予算はどれくらい確保できるのか、ということが、常に話題になっていたようです。
署名を集める中でも、文化芸術に関わる予算をもっと厚くするべき、とお考えの方が多いことを実感しました。
これから先、どれくらいの文化予算の増額が見込まれるのか?それは将来にわたって可能なことなのか?また、その根拠は何なのか?新市民会館の管理運営費は今よりも、どれくらい増えるのか?ホールや練習室の使用料は今よりどれくらい高くなるのか?など、私たち市民が知りたい情報は、残念ながら私たちのもとへは、届いていません。

 そして、長野市がどのようなまちづくりを目指しているのかが見えない。という声も多く聞かれました。
中心市街地活性化のために権堂地区に建設されるはずだった市民会館が現在地に建設されることになり、権堂地区には賑わいを生み出すための新たな公益施設が計画されていることに、多くの市民が違和感を持っています。
中心市街地に人の流れを集中させるために、これまで多額の投資をしてきたはずなのに、なぜ、中心市街地から外れた現在地に、あえて、市民会館を持って来ることになったのか、その経緯が、私たち市民には見えてきません。



私は、イトーヨーカドーさんの参加が得られず建設予定地が権堂東側に変わった際の市民説明会に参加しました。その時の説明では、権堂東側での計画は西側の計画にくらべて何ら遜色はなく、現在地での建設では様々な不都合が生じる、まちづくりへの効果も期待できない、という風にお聞きしました。
その後、議会の意見によって、現在地に建設されることとなりましたが、あんなに現在地では良くないと説明を受けたのに、そこに建設するとはどういうことなのか、理解できないまま今日に至っています。
現在地での合築案が決まってから開かれた最後の市民説明会でも、会場から「現在地に建てることの優位性は何ですか。」という質問が出されましたが、参加者の方から、納得できる答えは、えられなかったと聞いています。また、「機能が違うものを合築すると、それぞれの施設の改修や取り壊す時に問題が生じるのでは?」という質問に対しても、明確な答えが得られなかったとも聞いております。

 第一庁舎については、なぜ耐震改修ではだめなのかがわからない、という方が多いと感じました。それは、耐震改修には合併特例債は使えないのかしら、市の説明では、耐震改修をしても耐用年数は60年から伸びないと、きいたけれど、他の自治体ではどうして長く使えるのかしら、長野市の第一庁舎と他の自治体とは一体、何が違うのかしら、などといった疑問です。
建て替えがダメだということでは決して、ないのです。ただ、正確な情報が知りたいと考えるのは、市民として当たり前のことだと思うのです。
 本庁のワンストップサービスや防災拠点の整備も必要だと思います。でも、長野市は広いのだから、高齢者の方が増えていくこれからは、本庁まで行かなくても相談や手続きができるようにして欲しい。とか、防災の機能分散について、市はどのように、考えているのか聞きたい。という方も多いと感じました。
 平成21年9月には、議員さんの提案によって、長野市議会基本条例が制定されました。その前文には次のように記されていました。
「議会は多様な市民の意見を把握し、議会における審議および審査を通じて地方公共団体の運営に反映しつつ、地方公共団体の意思の決定を行う機能と首長その他の執行機関の監視を行う機能とを担っているが、十分にその機能を果たしていないのではないかとの指摘もある。住民を代表し、これらの機能を担う議会及び議員は、その役割及び責務を再認識するとともに、その機能を充実強化し、住民の信託にこたえることが求められている。」と。
 明日、総務委員会で、私たちが制定を求めた、条例案の審議がおこなわれると伺っております。その審議の中で、ここまでに、申し述べたような、市民が知りたいと願う情報について、明らかにしていただけるものと期待しています。
 また、議員提案により、新たな条例案が出されると聞いています。私たちの条例案との違いは、第一庁舎と市民会館それぞれについて賛否を問うとしていること。住民投票の実施時期は、周知期間を設定し、条例施行の日から90日以内とすること。投票総数が有権者の2分の1に満たない時は投票が成立しないこと。ただし、その場合でも、開票を行い、結果を告示すること。の3点であると思います。
私たちの条例案が、「2つの施設について一括して問う」としているのは、市の計画が両施設の合築案として示されていたからです。それぞれの施設ごとに賛否を問う形でも、「この計画をこのまま進めることについて市民の意思を確認してほしい。」という直接請求の趣旨は十分に生かされるものと思います。
 住民投票の期日を9月18日としたのは、住民投票を実施するためにかかる経費を少なくできると考えたからです。また、3月定例会で、市民会館解体の費用がみとめられましたので、住民投票の前に解体されてしまっては困るとの思いもあり、9月に設定したものです。周知期間をとり、住民投票の期日を先送りすることは、市民が情報を得るための機会と時間が与えられるということなので、歓迎すべきことと思っています。
 成立要件を設定することについては、前回の市議選や市長選の投票率が2分の1に満たないことを考えると大変に厳しい条件だと感じましたが、その趣旨は理解できます。
ただし、成立しなかった場合でも開票し、結果を告示するということは、市民のいろいろな意見を把握し、その後の市民合意を形成していく上で必要なことであると思います。

昨日の一般質問のやり取りの中では、鷲澤市長は議員の皆さんに対して「関連事業の可決を経てきていることを踏まえて議論を」と求めておられました。正直、市民感覚との大きなギャップを感じました。


社会の状況は刻々と変化しています。その変化に応じて市民の利益にかなう最善の判断をしていただく能力を、私たち市民は議会に強く期待しています。未曾有の大災害という大きな状況の変化に対し、「一度決めたことだから」と対応できない議会では、市民の付託に応えることはできないと思います。

 今後のまちづくりを担うのも、文化芸術の振興を担うのも市民です。両施設建て替えの結果を引き受けるのもまた、市民です。でも市民には、条例を制定する権利は与えられていません。市民に選ばれた議員の皆さんにだけ、条例を制定する権利が認められています。
 
 私たちは今後数十年間、誰も経験したことのない人口減少、少子高齢化社会を生きることになります。それでも東日本大震災や原発事故からの復興を成し遂げ、子供たちに少しでも豊かな未来を手渡すため、主体的に市政に関わりたいと思っています。
どうか、この市民の意志を無駄にしないでください。この長野市に芽生えた市民の力を、市政発展のために生かしてください。
 市民の付託を受けてここにおられる40名の議員の皆さん、お一人お一人に、22843名、あるいはそれ以上の、署名をされた市民を代表してお願いするとともに、住民投票条例の制定を心より願って、わたくしの意見陳述を終えます。
 長野市条例制定 請求代表者      山岸綾子