前回紹介した城下町の中央部(西)に続いて、今回は旧日光脇往還を挟んだ東側の中央部(東)の紹介です。東の端は館林城の大手門跡の三角公園になります。城下町もここまでですね。

 

(西)では大辻から西に延びる竪町の通りと館林郵便局から西に向かう塚場町の通りの間の町でした。それぞれの通りは旧日光脇往還を通過すると連雀町と並木町の通りに名前を変えます。

 

①足利町

今は本町一丁目と名前を変えましたが、旧日光脇往還の両側に栄えた町です。脇往還では北は台宿、南は谷越町に続き、館林郵便局から台宿方面に少し進むと小柳清水の流れが通りを横切るように、旧町名表示板のある交差点付近は南北より少し低い土地になっています。唯一、大手門跡の三角公園方面だけ下り坂で、他はゆるやかな上り坂です。

館林では現在、旧日光脇往還の拡幅工事が行われており、足利町の町名表示板も移動することになります。移転先は決まっているというような話も聞きましたので、その点は安堵しています。(移転しなくても良いのかな?とも感じていますが。)

町名表示板前から見た台宿方面ですが、拡幅対象になった交差点付近の建物は既に撤去されています。交差点の先に見える古い建物はかつて肥料店を営んでいた住居ですが、明治時代には郵便局としても使われた建物です。

こちらは谷越町方面になります。信号機の先に止められた白い車の所に町名表示板が立っています。道路の両側の家の移築が進んでいますが、今まであったお店が新築されて営業が継続されるとほっとします。町名表示板から道路を挟んだ向かい側にあった書店は閉業してしまいました。館林では少なくなった地元の書店だっただけに残念です。

この辺りがどのように姿を変えるのか楽しみのような、心配のような...折角、道路を広げて利便性が高まるわけですから、賑わいを取り戻すお店の増加や仕掛けを期待しています。

ところで、町名表示板の手前に見える四角い井桁のようなもの。最初の写真で良くわかると思いますが、上下水道かマンホールか何かの蓋でしょうか?とても歴史を感じるものですが、”頑丈な井桁”のような形ですね。これは何らかの形で残してもらえると嬉しいですね。(とりあえず、もう一度、詳しく見て、改めて紹介します。)

天正18年(1590)に館林の城主として入封した榊原康政が、小林彦九郎を町割代官に任命して城下町の整備にあたらせたのは文禄2年(1593)のことです。小林彦九郎は日光脇往還を整備し、人々の流れを城下に導くことで城下町の賑わいを実現したということです。”第二の小林彦九郎”の出現が待たれます。

 

②並木町

足利町の町名表示板が建てられている交差点から、館林城大手門跡の三角公園に向かう道の両側が並木町でした。名前とはうらはらに江戸時代も現在も並木はありません。館林城の前身である青柳城の城下町にあった町名で、そこに住んでいた人々が移り住んだとされています。

この通りを東に向かい、三角公園を過ぎると大名小路になります。大名小路は江戸時代のメインストリートですから、そこに繋がる並木町の通りはもう少し賑やかでも良いのですが、今は静かな界隈です。

館林には麦落雁を商品として製造・販売する三枡屋さんが2軒あります。三枡屋總本店と三枡屋總本舗です。並木町にあるのは三枡屋總本店で、その店先に町名表示板が立っています。後ろのなまこ壁のデザインととても良くマッチして、江戸の風情を感じさせてくれます。

”分福茶釜の茂林寺”がある館林ですので、それに因んだ狸と共に町名表示板があります。いたずらでもしそうな狸像です。

 

③片町

片町については2021年11月24日~12月3日の間に、「片町と広小路その1~その4」で詳しく紹介していますので、興味のある方はそちらをご覧ください。

概略を言えば、大手門の前の広小路は東がお城で西が城下町です。この広小路を城方と町方が分担して管理を行っていましたが、その町方の町内が片町になります。また、広小路の片方だけが町方なので「片町」というわけです。

片町の町名表示板は、上の城下町図の連雀町の通りと広小路が接する南西の角に立っています。この交差点の右に行く方が連雀町の通りで、正面の通りが広小路跡で金山方面に続いています。

町名表示板の立てられた敷地にある商店は、建物の色が塗り替えられたので随分と雰囲気が変わりました。こうして街は変わっていくのでしょうか。

他の町名表示板と比べると高く、見やすい位置にあります。

 

紹介したように片町の町名表示板は大手門前の広小路跡である片町の通りと、連雀町の通りの交差点にあります。そうであれば、城下町の中央部(東)の中で連雀町の町名表示板の紹介も当然するべきと思われるでしょう。今回、連雀町の紹介を行わない理由は次回にお話ししたいと思います。

 

 

写真撮影:2024年1月7日

参考文献:

  館林市史 特別編 第2巻 絵図と地図に見る館林(館林市史編さん委員会編)

  館林市史 特別編 第6巻 館林の町並みと建造物(館林市史編さん委員会編)

  館林地名散歩(川島維知著、聚海書林)

  地理院地図/GSI Maps(国土地理院)

  館林古環境復元図 館林城郭・城下町図 第3版

         (館林市教育委員会 文化振興課 編集・発行)