本日は
美空ひばりさん の
お誕生日ですね
ご存命なら 83歳のお誕生日、、でしょうか。
きっと、おいくつになられても
凛として ぱきっとして
潔く 美しい方で在りつづけたのだろうなあ、、
なんて思います
【 お嬢さん 】
の愛称でお馴染で
その呼び名が
まさに ぴったりの
可愛らしさと威厳を併せ持つ
人並外れた存在感の
素敵な お方でした
もうご逝去なされて31年、、、
存在が 偉大過ぎて
まだ ずっといらっしゃる気がしますねえ、、
思い起こしても
まだ 記憶が鮮明に蘇ります
僕、、20代後半頃、と記憶しておりますが
ひばりさんと
初めて 舞台をご一緒させて頂きました、、
ひばりさんは ご存知の通り
トミイ＆マミイ
と 世間でお馴染のように
お若い頃から
橋蔵先生と 幾度となく共演もしておられ
僕も もちろん
その認識はあり
お姿を拝見するのは
初めてでは ありませんでしたが
僕自身が お仕事をご一緒するのは
初めての事でした
ひばりさんの 一か月公演。
一か月公演を 連続二回
計二か月 ご一緒する事に。
レギュラーで行っていた
僕と同年代のメンバーが 参加できなくなり
その代走として
殺陣師の菅原さんが
僕を ご推薦くださり
東映剣会メンバーとして
参加させて頂くことになったのです
それまでの ひばりさんのご活躍を
数多く拝見し
その技術や 技量に
何度となく 感服しておりましたので
そのひばりさんと ご一緒できるという事で
とても嬉しく 胸が躍りました
しかし、その一方、、
お嬢さンとこへ行くと
母上の目がべらぼうに厳しくて
舞台をくまなく見られて
出演者の一挙手一投足
厳しくチェックされて
お眼鏡に適わなきゃ
もう来なくていいから。
つって
公演半ばでも
お払い箱になった人がいるらしいよ
なんて
背筋も凍るような 恐ろしい噂を
かねがね 耳にしていたもので、、
願わくば千秋楽まで残りたい、、、
生き残りをかけた
リアルなサバイバルゲームに参加してしまったような
複雑な思いになったりして、、、
舞台への意気込みと
生き残りをかけた勝負（？）の思いと
色んな緊張感で迎えた 稽古初日。
まずは お嬢さんへのご挨拶。
どんな顔したらええんやろ
何て言うたらええんやろ
心臓バクバクしながら
ご挨拶にまいります。
殺陣師の菅原さんを先頭に
みんなで揃って ご挨拶。
僕は 初参加という事で
別途 菅原さんが
お嬢さんに 紹介してくださったのですが
あれだけ あれこれ考えあぐねたのに
この度は参加させて頂きまして
ありがとうございます
宜しくお願いいたします
なんとまあ、、
腹壊しそうなくらいの緊張感から
今時のＡＩでも もう少し抑揚つけられるんちゃうか、
ってくらいの
見事な棒読み挨拶になりました(笑)
お嬢さんはおそらく、
よろしくね…ってな事を仰ったはずなのですが
これも緊張のせいで
記憶が 真っ白に吹っ飛んでいます
ですが
名前は何て言うの？
と聞かれた、事だけは
なぜか はっきり覚えてまして、、
峰蘭太郎です！
と 答えると、すかさず
「 みんな ランタンて 呼んでます」
と 菅原さん。
、、あ、そう、、
お嬢さんは ふふっ、と、笑わはって。
長居も出来ず、そこまででそそくさ退散。
まだまだ続く緊張感。
思うように 刀振れるやろか、、、と
不安を抱きつつ 稽古に入りました。
我々の出番は
第一場から すぐでした。
我らが嫌がらせをしていると、
ちょいと待ちな、と花道から声が掛かり、
お嬢さん登場。
お客様から
「 待ってましたァ！！ 」
の お声がかかる
主人公 登場シーンです。
立ち回りのキッカケに
よくあるシーンですね
ここで一旦 芝居を止め、
殺陣師さんが 殺陣の手順を付けます。
ここでは 菅原さんが
お嬢さんの役となり
動きながら 我々に手を付け
お嬢さんは 正面で
演出の 沢島先生の横に座りながら
それを見学。
その時、、、
「 あのね、みんな、東映剣会から来たの
ウチの子よ、、 宜しくね 」
お嬢さん、稽古場の皆さんに
我々の事を 紹介してくださいます。
その声を受け
我々も 一旦動きをやめ
皆さんと 正座にて一礼交わします。
ご挨拶しながら
僕の耳に さっきのお嬢さんの言葉が
リフレインしておりました
” うちの子よ ”
うちの子、、、
何て素敵な響きでしょう
なんてことない 一言ですが
どこか ほわっとするこの言葉に
ガッチガチの緊張が 少し 和らいでいきました
翌日、稽古 二日目。
お嬢さんと、僕ら剣会メンバーでの稽古です。
殺陣の手順も、
ほぼラストまで肉付けされ、
動きのスピードも徐々に上げつつ
リハーサルを重ねていきます
お嬢さんは
剣会メンバーの先輩方を
ニックネームで呼び
その やり取りが 羨ましくて
その レベルに 追いつきたくて
僕は 必死になって
自分の手を こなして行くのですが、、
この日の稽古は
名前も呼ばれぬまま 終了
少々 落胆しつつも
まあ、、
とは言え 稽古二日目やし、、
帯締め直して 明日からが勝負やな！
と 思った時。
「 ランタン、ランタン 」
思い焦がれて 幻聴が発動でしょうか
お嬢さんの声で 呼ばれた気が、、
振り返ると、
「 ねえ、ランタン？
あの、ほら 西やんと、ランタンの二人掛かりで、、
ランタンの刀を左手で止めたところね、、 」
、、、
ご本人登場やないか！！
びびる僕に おかまいなく
続ける お嬢さん。
「 ランタンの身体が、私より前に出てるから、
上手（かみて）のお客様から見ると
私の姿が、ランタンに隠れて見えないのよね 」
、、、
確かに、、。
ステージは半円形に
客席の方へ せり出しており
お嬢さんの左真横に 僕が位置取ると
上手のお客様には 僕のお尻しか見えない、
という構図です、、
「 はい！ 」
「 頼むわよ 」
すぐに 菅原さんが代わりに立ち
再度 位置確認。
立ち位置修正作業にかかります。
もちろん 真面目に聞いてはいるのですが、、、
ランタン、ランタン、、
お嬢さんの声が 頭の中にこだまし続けています。
ニックネームで 呼んでもろた、、、
万座の中での注意ではあったものの
ランタン、と呼ばれたことが
僕の頭上に ほわほわと花を咲かせます
なんだか 先輩方と
一線に並べたように思え
僕も「うちの子」になれたんやろか、、
なんて
少し、誇らしさを感じたものでした
うちの子…と 仰るだけあって
お嬢さんは ご自宅にも
剣会メンバーをよく招いてくださいました。
まるで家族のように
お食事やら、お話しやらと
色々 可愛がっていただき
サバイバルの大ボス、
くらいの存在を想像していた
あのお母様も ご一緒に
和気あいあいと 過ごされて、、
（大変失礼な予想でした）
本当に 剣会メンバーを
「うちの子」
のように 愛しておられるご様子で、、
剣会の先輩方との
繋がりの深さを感じました
そして
こんな まだまだ未熟な僕も
剣会メンバーとして
先輩方と 同じように
優しく接して頂いたこと
嬉しくて 嬉しくて、、、
迎えた 舞台本番、、
公演期間中
素晴らしい技術や歌唱は もちろんなのですが
僕が一番 感服したのが
お客様第一 という
お嬢さんの 徹底した姿勢でした
いつでも どんな場面でも
常にお客様目線で 熟慮され
何より 観てくださるお客様を最優先にされる
その 徹底した姿勢に
僕は 舞台人としてのプロ意識を
まざまざと みせつけられ
大切なことを 勉強させて頂きました
参加する前、、
あそこは怖いとか
脱落者が出るとか
色々と聞かされたりして
肝を冷やしておりましたが、、
確かに 本当に本当に
徹底して厳しくはありましたが
このニか月連続の公演は、
学ぶ事だらけで
舞台に立てる事が とても楽しかったです
ランタン、ランタン、、
と呼んで頂いて
僕も ちゃんと
剣会メンバーとして関わってくださった事
とても 誇らしく
この時の思いは
いつまでも 大切に
胸に在り続けました
幼い頃から 芸達者で
国民的な 人気をお持ちだった分
芸事、舞台、休むことなく
常に厳しく 臨んで来られたのだと思いますが
おうちで 剣会メンバーと 共に過ごす
あの リラックスした
とても楽しげな表情
あの大スターとしての顔とは また違って
とても庶民的で 可愛いらしく
素敵なお方だなあ、、と感じました
映画で見ていた あのお嬢さんに
舞台でご一緒でき
殺陣で 掛からせて頂けたこと
ずっとずっと 大切な思い出です、、
お嬢さん
お誕生日 おめでとうございます、、