怪我の手当てに
病院に行きましたが
もう次回で 抜糸できそうなくらい
傷が治っていると、、
(見立ては全治2週間)
驚異の治癒力だそうで
まだまだ頑張れる気がしてまいりました(笑)
道すがら
人通りも 少なく
穏やかそ~な 公園に
お堀のある 庭園があって
ちょっと 気分転換に
てくてく
中を通り抜けて 行きました
お堀には よく肥えた鯉、、
所々に 亀が混ざって
鯉に ゴツンと突き飛ばされながらも
我が道行かん、と
のほほーんと 泳いでおりました
いい 佇まいだなあ、、、
結構 高い石垣に囲われていて
その断崖から
お堀を眺めたのですが
こんなお堀を見て
僕が 一番に思う事
うん、、
ハマるにはちょっと浅そうやな、、
ハマり仕事を
連想せずにはいられません(笑)
水中に 飛び込む芝居を
ハマり
と 言います
川、海、池、沼
小さいものから大きなものまで
ハマれと言われれば
どこなりと ハマります
真冬の極寒の水中や
どろどろの 汚い水など
うわあ、、
ハマりたくねえ、、、
ってな所も 多々ありますが
当時は ハマりをやると
【ハマり手当】
が 頂けましたので
若い頃は
すすんでハマりに行きました
当時 一万円
すごい高額、、、
だと 思うでしょう??
これ、
一人 一万
ではなく
一回 一万
なのです。
一撮影に対し
予め
一万円のハマり手当がつけられている。
何人で行こうが
一万円。
と、いうことは、
現場に行って、
3人ハマれとなれば
一万÷3で
取り分 3千円ほどです
2人なら ÷2。
なので
現場行って
今日は一人でいいや、ってなったら
よっしゃぁあ と
内心 小躍りです(笑)
しかし
手当を頂戴できるのは
嬉しい事では ありますが
やはり この仕事には
それなりの
危険と覚悟が伴います
今時は、どんな撮影でも
事前にスタッフさんが
万全の安全確認をしてくださいますが
当時は 今ほどチェックが綿密ではなく、、
浴槽のお湯 混ぜるみたいに
長い棒で ハマる水域を
じゃーっと 手探りしただけで
「 大丈夫、いけますわー 」
との 判断がくだるのです
ええ~、そんだけ、、、
もっと底の方に
棒とか岩とか ないの、、
戦々恐々としているところへ
監督さんの あの
魔の一声
はい よ~い、スタァート!
がかかれば、やはり
はあーーーい!!
とスタンバイ。
今日のお手当
生きて 受け取れるといいな、、
なんて 思いつつ
本番に 臨んでおりました
実際
表向き 何もなくても
底には
瓦とか杭とかでっかい岩とか
なかなかの凶器が
息を潜めていた事が
幾度となくあったものです
皆様 よくご存知の
映画村の お堀では
(ネッシーさんが居るアレです)
底に
大道具固定用のフックがあります
あのお堀に 桟橋などをかけた時に
動かないように するためのものです
ここに 思い切り飛び込むと
フックに激突し
非常に危ないので
後輩くんたちには
ここにハマる時は
飛び込み方に よくよく留意をと
教え込みますが、、、
教えた しりから
勢いよくドボーン!!と行った
威勢のいい後輩くんが
額から流血し
血みどろで浮かんできて
ギョッとした事があります
命は 大切にしなきゃね、、
ハマりに 行くのは
お金の問題だけでは ありません
若手の頃は
まだまだ 殺陣で目立てる技術もなく
キャリアも浅く
先輩方のように
監督さんから
○○ちゃん、頼めるか!
なんて、
名前で呼ばれる事もなく
どうすれば
少しでも監督さんの目に留まり
名前を覚えてもらえるか、、
なんてのが
結構な 課題でしたので
名前と 顔を売る
手段として
ハマりは 重要だったのです
厳しい条件下で ハマった時に
監督から 名前で呼ばれ
寒いのにありがとうな!
なんて 御礼を言われた時は
心底 ジーン、、、
お金以上に
この 報酬が
何より 嬉しいものでした、、
しかし
この報酬を得るのは
そう簡単な事では ありませんでした
先にも書いた 危険な事も
多々ありますし
まあ~、、
ラクな仕事ではないのです、、、
真冬、極寒のオープンセットで
凍てつくような水温の池にハマった時
拍子抜けするくらい
冷たさ 寒さを感じなかったので
びっくりしました
なんだ、意外とこんなもんかあ、、
ざぶざぶ 泳いで
岸に戻り
「 よし、今日はもうええぞ、
はよ 上がり 」
お声がかかり
ありがとうございまあす、と
上がった
途端
ピキーン!!
殺人的寒さに 襲われました
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる、、、、
己の歯で 舌噛み切りそうなくらい
激しい震えが来ます
ここから
俳優会館に戻るまでの道のりの
何と 長く辛い事か、、
俳優会館の灯りまで辿り着けば
御釈迦様に 対面してしまうのでは、、
なんて 不安になるほど
体が冷えて 動きません
もしも地獄に落ちて
極寒地獄ってのがあったら
こんな感じなんやろうなあ、、
涙も凍る思いで
じりじり 歩いて帰りました、、
戻って
俳優会館の お風呂に
あわてて飛び込んで
冷えた体を 温めて
ふぅ~、、やっと生き返った、、、
なんて 思っていたら
後から入ってきたスタッフさんが
かかり湯した 瞬間に
うゎあ熱っっつ!!!!!
ようこんなん入ってんな!!!
浴槽から 飛びのきました
えぇ、、?
言われて
湯からあがってみたら
首から下 ヤケドしたみたいに
まっかっかです
ハマりで 冷え切った体は
熱い冷たいの感覚も 感じなくなるほど
麻痺していたようです
冬のハマりは
本当に キツい、、
ならば 夏なら楽勝か?
確かに 水温的には
きつくはありません
が
その分 手当も
お安い です
その上 頼む方も
冬ほど気兼ねせず
気安く頼めるので
ハマって どろどろになって
上がってくるやいなや
「 なあ、衣装替えて
もう一回いける? 」
、、、
大安売りの 大サービスです(笑)
夏場には
得体の知れんような生き物も
おったりするし、、
けして 楽には飛び込めないのです
みなさんには
鬼平犯科帳なんかで おなじみの
近江 八幡のお堀
いいですねえ
美しい景観
風情ある 佇まい
ハマりも サラっといけそうです
と、思うでしょう
ヘドロが多いのです、、
あそこは 飛び込みたくない
ワースト上位に入るかもしれません、、
陸での撮影だけ 参加したかった、、(笑)
、、と、まあ
監督さんに 覚えて頂き
名指しで
お仕事頂けるようになるには
こんな 代償もあったのです
そんな こんなを乗り越えて
後々 監督さんから
ご贔屓に して頂けるようになり
たくさんの お仕事が
できるようになってから
しみじみと
苦労は買ってでもした方がいい
とは
よく言ったものだなあ、、
と 感じました、、
下積み時代には
泣きたくなるような
出来事もあるし
泣きたくなるほど
何もない日が続く事もあるし
不安で 心が折れる事もあるけれど
己の やれる事
やれるだけの 精一杯で
努力、精進を続ければ
頑張った分だけ
己に残るものは 増えるものですね、、
もし今 ハマれって言われたら、、
あの頃より 怖いし
とりあえず
家族に遺書 書くかもしれへんけど、、
監督の
「 よ~い、スタァート!!」
が 聞こえたら
僕 やっぱり
はーい!
で、飛び込むんやろうなあ、、(笑)