そんなある日、、


退院から
1年も経ってなかった頃でしょうか


一本の 電話が、、電話



「ランタン 足の具合、いかが?」


 

 

朗らかな 優しい声、、、オカメインコ

 



高橋英樹さんの奥様

 

から でしたびっくり



ええ、おかげさまで
ぼちぼち、、あせる


なんて
お話をしていく中で


奥様が 不意に仰いました



今度 また明治座で


旦那様、舞台をやるんです


ランタン 
一緒に行ってもらったらと


旦那様が 言っていて


私も どうかなと思うのだけど

ランタン、いかが?




、、、ぐすんあせる

 


 

リハビリ期間中


すでに
英樹さんの舞台を
二回は 欠席していました




もう、舞台へのお誘いは
かからないやろうなあ、、



と 思っていた自分に


こんなお誘いを 頂いて


僕は その場で
泣いてしまいそうに 嬉しくて


声になりませんでしたぐすん



ぜひお願いします!


、、、と

即答したいのですが


いかんせん この足です


舞台に立って

果たして
殺陣ができるものかどうか、、、ショボーン


そして


一か月という 長期

果たして

この身体で
持つものか どうか、、、ショボーン



大事な 英樹さんの舞台を

 

僕の参加によって
 

無様なものに 

するわけに いきません

 

殺陣は 

 

阿吽の呼吸で

芯と絡みで つくるもの

 

 

斬る側の方に

 

気持ちよく

斬って頂けなければ

 

 

観る手にも

爽快に 見えないのです、、ショボーン

 

 


返答に 詰まる僕に



ランタンが
来てくれるなら、と思ってね

ランタンの席 

いつでも 空けてあるのよニコニコ





奥様が
さらにお声かけくださいました、、




僕の席、、、ぐすん

 

 

 


沁み入る言葉に
胸が 震えます



ついて行きたい、、
舞台、立ちたい、、、!




ダメモトでも
行っていいだろうか。


行ってはみました、
役もらいました、
やっぱりできません、


そんな事をしたら
 

それこそ

泥を塗りに行くようなものです。



行かない方が良いのでは、、




でも、、、、



瞬時に 頭の中で
葛藤 起こしまくりました、、、





「 行かせてください 」


気づいたら
そう言っていました。



電話を切って
しばらくしてから


ひしひしと

恐怖と プレッシャーが
迫ってきました



大変な お仕事を
受けてしまったのではなかろうか、、




でも


受けたからには
絶対 泥は塗りたくない



この日から また

一から 仕切り直し


心と 体を
鍛える日々となりました、、、プンプン




これでよし!



納得のいく形に ならないまま


僕の 不安をよそに


すごい速さで
舞台の日は やってきました



稽古も こなせ
なんとか 形になり


これなら大丈夫かな、と
 

少し
自信も持てるまでになっていました




クライマックスの
立ち回りのシーン


一通りの チャンバラのあと


最後に 僕は


英樹さんに
バサッと 斬られて 倒れる



という
手が ついていましたナイフ



英樹さんに

気持よく 斬って頂かなければ、、、。

 

 

 

もう 二度と

 

あの日のように

焦るまい

 

 

落ち着いて 臨むのだと

決めましたプンプン

 

 

 

ドキドキしながら
挑んだ 初日、、、


殺陣の 途中で


ピリピリと 

痛む事はあったのですが

演じる事は できましたアップ



お客様も 拍手喝采拍手

大変 喜んで頂けて


芝居も 殺陣も
無事 やり切ることができましたキラキラ



何事もなく
舞台を終えられる事の
なんと ありがたい事か、、、
ぐすん



いくつも 舞台を踏んできて


こんなに しみじみ

それを 感じたのは
初めてでした、、



徐々に 体も
馴染んできているし


千秋楽を 迎える頃には

今より もっと
いい形のものを 観て頂ける、、筋肉



公演回数が 増えるごと


徐々に 自信も
回復してまいりましたアップ




いつもの 大立ち回り

いよいよ クライマックスナイフ

 


英樹さんに

一つ目 斬られ


リアクションで

 

足を引いた 

 

 

 

その瞬間




ビリィッ!!!!雷




忘れかけていた 

あの電流が
脳天まで 響きましたガーン



同時に


一瞬にして 足から


すべての力が 奪われました



この時の 舞台は
とても 狭い舞台で


はみ出す事すら
できないような 状態


そこで倒れれば 

即 舞台から 落ちる位置です



しかし



もう 力が入らず

踏んばれず、、、



、、、落ちる、、、!!


 



思った 瞬間、、、

 

 

ドスッ!!



英樹さんが


咄嗟に 

 

突きの一手
僕に 放ったのです!



僕も 反射的に

その刀を
握りましたグービックリマーク


 

顔を 上げると


眉を 吊り上げ

鬼の形相の 英樹さん

(おなじみ 桃太郎侍の あのお顔です、、(笑))

 

 

 

迫真の 演技を

されながらも

 



いいから
そのまま 来い!




僕を凝視する
英樹さんの 目が


そう 投げかけています



僕は その刀を握ったまま



ぐぐぐっ、、
 

 

 

英樹さんに
力を借りながら

 

 

元の位置まで
身を 引き戻し

 

 

腹から 刀を

抜く 芝居をしながら


ゆっくり ゆっくり


抜けていく
足の力に まかせ



ズズズ、、、
 

 


バタンDASH!



倒れることが できました



お客様の 目には


脇腹に刺された
トドメの 刀に

渾身の力で 抵抗しながら
力尽きた



という手に
見えたはずです目



この日も

お客様から


大きな拍手を 頂いて
舞台は無事 幕、、、拍手




助かった、、、汗



英樹さんの
咄嗟の機転に 救われたものの



あわや 

舞台から転落


大失敗の 醜態です


やっぱり ダメだったか、

がっかりされたかもしれませんショボーン



完全回復するまで
養生した方がいい


途中降板を
申し出るべきかな、、
ショボーン



とにかく
お礼と お詫びを、、、



英樹さんの元へ 参りました。





「 失礼します、、、 」

 

 


訪ねるや


僕の顔を見て



英樹さん 開口一番、、 




「 いやぁー、俺びっくりしたよ!あせる
 
 でも よく持ちこたえたな、
 落ちなくて よかったな!
ゲラゲラ 」




、、、いえ、、、

すみませんです本当に、、ショボーン


詫びることしか できません汗



やはり 明日から

代わりを 立てて頂いた方が、、

 

 

 

言おうとしていた 僕に



続けざま 英樹さん 



「 あそこな、突こう!

 明日から 突きにしよう! 

 俺、殺陣師に 言っとくから!」




 

ニカッゲラゲラ

笑ってくださったのです、、






目頭が 熱くなりますぐすん
 

 

 

 

僕、、、

 

 

明日からも 

 

舞台、立てるんや、、、、ぐすん

 

 

 

 



「 、、ありがとうございます、、 」



 


ただ、



ありがとう


しか 出てきませんでした、、えーん






翌日から 



英樹さんの 咄嗟の突きは

正式な 手となり



斬り殺されるはずだった僕は


英樹さんに


刺し殺され続ける事となりました、、(笑)




そして

ミスも 怪我もなく


無事 

千秋楽を迎えました拍手キラキラ






その後、、

 

 

 

僕の

 

 

足の傷も

 

殺陣への 自信も

 

 

現場の 場数を 

踏ませて頂く事で

 

 

どんどん 回復し、、、







 

いつしか また

 

 

思うように

動けるようにも なって

 

 

納得のいく 殺陣も

 

できるように なりました、、、ほっこりキラキラ

 

 

 


あの時

英樹さんの あの

咄嗟の 突きの一手がなければ


あのまま 倒れ
 

失敗に 終わり



逃げ帰った僕は 

 

そのまま

 

転職を 選んでいたでしょう




僕が 今日に至るまで

役者として
生きているのは


あの日

 

英樹さんに

救われた お蔭なのです、、ぐすん



このお話は

以前 あるバラエティ番組で


英樹さんへの 
感謝のお手紙として

披露した事が ありますが


バラエティなのに
僕 ぼろぼろ泣いてしまって、、、あせる


ええ おっちゃんやのに、、(笑)



一生 いえ

死んでも 

この御恩は
忘れる事は できませんぐすん



一度 死んでしまった

役者 峰蘭太郎に

 


あの日 

英樹さんから 与えて頂いた
 

役者としての 命

 

だからこそ

その 大切な時間を
ひと時も 
無駄にはできませんプンプン




自分にできるだけの
精一杯の 精進をすること


そして


自分の後輩が

あの日の僕のような事態に陥った時


あの時の 英樹さんのように
 

 

さっと手を差し伸べられる
役者であることパー



それが


英樹さんへの
ご恩返しと心得て


僕は生涯

勉強をして まいりたいと
思うのです、、、ほっこり

 

 

 

 

 

 

 

歳を 重ねるごと

 

 

 

人は 一人で生きているのではないと

実感させられます

 

 

 

仮に 

 

一人暮らしの方が

 

己の稼ぎひとつで

生計を立てていたとしても

 

 

己が生きるのには

必ず 人の力を借りているものです

 

 

暮らしに 必須の

水ひとつでさえ

 

 

その 水を

供給するお仕事を

してくださる方の おかげです

 

 

突き詰めていけば

 

 

その範囲は

限りないものです

 

 

 

そのぶん

 

 

己の行動が

影響を 及ぼす範囲も また

 

 

己のものさしでは

 

計り知れぬ 

可能性があると言うことです

 

 

 

自分だけなら いいだろう

 

 

そう思って した事が

とんでもない結果に 繋がる事

 

 

たくさん たくさん

あります、、、

 

 

 

己が 在る事への 責任と

己が 在る事への 感謝を

 

 

忘れてはならないと

 

 

僕は この経験から

思うのです、、ほっこり

 

 

 

今日も こうして

 

 

己が 在る事に

 

感謝、、、お願いキラキラ