治療を受け
身体も時間も
自由がきかぬまま
入院生活 3か月目、、、
正直、1か月そこらで
解放されると思っていたので
相変わらず
ままならない足に
仕事に行けないブランクに
焦りもストレスも
徐々に 増してきていました
そんな中
だんだん 踵に
とんでもない痛みが出てきました
日に日に
痛みが増します
時間が経つほど
痛みが増すって
どういう事や、、??
もしや 治療が
上手く行ってへんのか、、?
不安になって
医師に 相談したところ
骨が 形成されてきて
踵のクギが 押し出され始めたんですね
身体が
もうコレいらないよって
言ってる証拠ですから
そろそろ 外しましょう
、、との事で
ギプスを 取る事になりました
久しぶりに
素足に なれて
医師から
立ってみていいよと 言われました
久しぶりに 立てるとなり
心が躍ります
この日の為に
今日まで
毎日 筋トレをしていたのです
ぱっ と立ちたい
逸る気持ちを抑えながら
ベッドから
ゆっくり 足をおろしました
床に
爪先が 触れた瞬間
キーーーーン!!!
すぐさま
足から 脳天まで
痛みが 走り
慌てて 足を止めました
、、なんやコレ、、、
もう一度 ゆっくり
そ~っ、、と
足をついてみましたが
やはり 同じく
爪先 ちょっとついただけで
電流が突き抜けるかの如く
衝撃的な痛みが 走ります
そして
結局 その日は
立つ事が できませんでした、、
改めて まじまじと見つめた
己の 足、、
マッチ棒みたいや、、、
すっかり 筋肉がおちて
右足の
半分くらいに見えます、、
ぞっとしました
3か月たって
今 この状態とは、、
先の見えない
不安に 襲われます
それから さらに
時を経て
やっとの 思いで
立ち上がれたのは
入院から
5か月も経っての事でした
痛みを こらえながら
やっとやっとで
立ってみたものの、、、
ゴジラの赤ちゃんみたいに
よろよろ 歩くのが
精一杯です
その上
正座が できませんでした
正座をすると
踵付近が 痛くて
1分と 持たずに
関節部分が
ひどく腫れ上がるのです
正座、、
時代劇には 必須の動きです
正座が出来ないと
お侍はできません
現代劇は 歩ければ
なんとか なるかもしれないけれど、、
撮影所から 時折
仕事 復帰できそうか?
と 声かけも ありましたが
正座が できない間は
復帰しますとは
とてもじゃないけど 言えません
まして
これじゃ 殺陣も
まだまだ
とんでもない 話です
すぐ復帰できそうです!
次の舞台あたり 行きたいです!
くらい 言いたいのですが
復帰はおろか
歩くのが やっとで
返答のしようがありません、、
1分間
正座できるようになったら
仕事の話をしよう
と決め
お風呂で 湯船につかり
浮力を借りて 正座をして
そのまま 湯をぬいて
徐々に 自力で正座にし
耐えてみる
このリハビリを
毎日 やりました
それから
ただ ひたすら
リハビリに励む毎日、、
歩きたいのに
思うように 歩けない
自分の足なのに
自分の意思で 動かない
もう二度と
殺陣、できないかもしれない、、、
初めて この怪我が
自分の役者人生に
とんでもない影響を
与えた事を痛感し
泣きそうになりました
怪我を した日の
カメラマンさんとの
出来事を 思い起こし
たったあれだけの事で
カッカきたばっかりに
冷静さを欠き
いつもできてたはずの
動きも できずに
こんな事に なってしまうなんて、、、
情けなくて 情けなくて
悔やんでも 悔やみきれない
一生の 不覚でした、、
結局、、、
やっと
正座ができ
ほぼ平常の動きが
できるようになるまで
実に
10か月ほども かかりました
殺陣ができたのは
それより さらに
数か月 後の事です
初心者の
慣らし稽古みたいな 殺陣
使い物には なりません
こんな 長期の入院も
こんな 長期のブランクも
この仕事についてから
初めての事です
徐々に
焦りに 拍車がかかり
やがて
恐怖に 変わっていきました、、
殺陣も ぼちぼち
やり続け
何とか 形になってきて
周囲のみんなも
すごいやん!
だいぶ できるようになったやん
ようそこまで 頑張ったな!
と
言ってくださるものの、、
なにぶん 踏ん張りがききません
腰が入らねば
どんな形も 整わない
踏んばりを支える 踵は
やはり 殺陣には
使わず避けられる
パーツではありませんでした
しかも
ちゃんと出来ていた時に比べ
間合いも 取れなくなっていて
じれったいほど
タイミングが 合わない、、、
殺陣が
僕自身
まったく納得のいくものではないのです
あまりにも 不十分。
僕の中では
こんなの
殺陣とは言えないレベルでした、、
初めて 思いました
役者、
辞めた方がええやろうか、、
40代
転職は かろうじて叶う歳です
今から探せば
何とかなるでしょう
でも、、、
橋蔵先生に 弟子入りしてから
今日まで
たくさん 教わった事
たくさん 学んだ事
たくさん 励んだ事
恩師の教え
認めてくれた 先輩
支えてくれた人たち
橋蔵先生のようになりたい
同じやるなら
一番になってやる
全身全霊 尽くし続けた
大好きな 殺陣、、、
もう少し、、
もう少し 頑張りたい。
もう少し やってみよう、、
その時の僕は
すぐに
辞めると言う選択肢は
受け入れられませんでした
もう一回
もう一回だけ やってみて
辞めるかどうか
それから 決めよう、、、
確信も 確証もないままに
漠然と 自分に
言い聞かせました、、
続きは また次に、、