1969年(昭和44年) 9月放送

 

銭形平次 「荒海の虹」

 

 

 

このお話で

 

僕は 漁師の若者

 

 【磯吉】

 

というお役を 頂きました。

 

 

ある事件の手がかりを追って

漁師町へやってきた平次親分。

 

僕はその漁師町の若者。

 

 

その時のやり取りから口論となり、

 

ヤス(魚獲りの道具)で

平次親分に突っかかる、、

 

というシーンがありましたひらめき電球

 

 

その台本を頂戴し、

 

 

先生と殺陣ができるという事で

 

嬉しさと緊張で

気が高ぶりました照れ音譜

 

 

 

当時、銭形平次は

 

 

ロケも比較的、

京都の中で撮られていましたが、

 

 

作品のバリエーションや、

新しいアイデアの発見などを求め、

 

 

徐々にロケ地を

京都以外へも

移すようになっておりました。

 

 

 

そしてこの時は

季節も 夏、、、晴れ

 

 

いつも頑張ってくださる

スタッフさんのリフレッシュも兼ね、

 

日本海の方へロケに行こう、

という話でしたキラキラ

 

 

日本海でロケかあ、、、キラキラおねがい

 

 

京都生活では、

日頃、海を見る事がありません。

 

 

港町生まれの僕は、

海が見られる、というだけで

嬉しかったのです音譜

 

 

楽しみだなあ、、、照れ音譜

 

 

 

 

思った矢先。

 

 

橋蔵先生から 放たれた一言。

 

 

「 ランタン、

  今度の役は海の男だからね、

 

 泳げなきゃあダメですよ 」

 

 

 

・・・ガーーーーーーンガーン!!

 

 

 

そう、僕、

 

金槌 だったのです、、、汗

 

 

 

そうや、、

泳げへん漁師、ありえへん、、、汗汗

 

 

 

一気に暗雲に囲まれる僕、、ガーンガーンガーン

 

 

 

 

夏はと言えば、

 

 

 

橋蔵先生は 毎年、

 

撮影や舞台の

超多忙の合間を縫い、

 

短いながらも休みを取って、

 

 

お弟子さん、

運転手さん、お手伝いさん、、

 

 

日頃関わる皆を

 

夏休みの小旅行に

連れて行ってくださっておりました新幹線キラキラ

 

 

この夏も、

二日間ではありますが、

 

皆で海へ行くとの事 波浮き輪

 

 

 

どうやら、

今年の夏休みは正念場やな、、、ガーン

 

 

 

この夏休みが終われば、

 

 

例の 【磯吉】

撮影入りが予定されています。

 

 

何が何でも、この二日間で

 

【 脱・金槌 】

 

をキメなければなりません。

 

 

こんなに腹を括った夏休みは初めてです(笑)

 

 

 

そんなこんなで、

やってきましたバケーション晴れ

 

 

 

いつもより開放的。

 

 

先生もお弟子さんたちも、

みんな海辺で

キャッキャと楽しんでいます音譜

 

 

 

実は橋蔵先生、

 

泳ぎが物凄~く達者 

な お方でしたアップ

 

 

河童も土下座の泳ぎ上手イルカ

 

 

 

泳ぎだけでなく、

飛び込みの美しさったら、ないのですキラキラ

 

 

身体を捻っての一回転飛び込みや、

背面飛び込みまで。

 

それも、岩場の高い所からびっくり

 

 

どのスタイルも

人のものとは思えぬ美しさなのですキラキラキラキラ

 

 

もしかすると、

 

人魚伝説は

 

橋蔵先生の飛び込みを見た人の

勘違いかもしれません(真顔)

 

 

 

躊躇いなく

トッ、と岩を蹴り、

 

 

空へ飛び立つかのように舞い上がり

 

 

逆エビ反りで

真っ直ぐ海中へ飛び込むと、

 

 

水飛沫も上げず

吸い込まれるように

 

ストッ と海中へ、、、キラキラキラキラ

 

 

海に向かって走った

流れ星のようです流れ星キラキラ

 

 

先生の美しい飛び込みは

目に焼き付いて離れません目キラキラ

 

 

はあ、、きれいだなあ、、、キラキラ

 

 

と、

目で追っていたその先生

 

 

浜にあがり、

 

ニコニコと僕に近づいてきた、、、

 

 

「 さ、ランタン。泳ぎましょうか 」

 

 

 

・・・ガーンガーン

 

 

そうやった、

見惚れてる場合ちゃう、、

 

僕、

脱・金槌の使命があったんや、、、ガーン

 

 

 

まず、浅めの所に連れていかれ

 

 

先生が、

軽くクロールや平泳ぎを見せてくださいます。

 

 

 

スイスイ進みます。

いとも簡単に。

 

 

僕も真似てみます。

 

 

ブクブク沈みます。

いとも簡単に。

 

 

そもそも

水が怖くてへっぴり腰なのですから

 

基本が形にならないのですガーン

 

 

 

水が怖いのか、、、。

 

と、お察しになったのでしょう。

 

 

 

「 ランタン、あっち行きましょう 」

 

 

 

連れていかれたのは

 

 

 

先生が飛び込みをされた

岩場の方でしたガーン

 

 

 

もちろん、

先生がされていたより

うんと低い所でしたが

 

 

僕にとっては

清水寺の舞台、どころじゃありません汗汗

 

 

 

目だけ達者に泳ぐ僕アセアセ汗

 

 

 

おかまいなしに先生からの指令です。

 

 

 

「 ランタン、僕についといでッ! 」

 

 

 

そう言い放つと

 

先生、海に飛び込みました。

 

 

 

ええぇぇ?!叫びガーン

 

 

 

怖いけど、

お師匠さんの仰る指令です

 

 

早ぉ行かな!あせる

 

 

体が自然と、

慌てて先生についていきました。

 

 

 

初めて海へ飛び込みました。

しかも、頭から。

 

 

鼻から口から、容赦なく塩水が流入して

痛いのなんの、、、えーん

 

 

目を白黒させて

浜に上がった僕に、

 

 

先生は

 

こうね、体を真っ直ぐにしてね、、

 

 

と、軽~くアドバイスをした

 

 

かと思いきや

 

 

「 さ、おいで!! 」

 

 

駆け出してぴょーん、ザブッ!

 

 

ま、待って、、、!!

 

 

慌てて僕も、

ぴょーん、ドボーン汗

 

 

延々と、この繰り返しです。

 

 

鼻から入る、腹を打つ、水を飲む、、

 

 

あまりの苦しさに、

 

 

次は打つまい、

次は飲むまい、、

 

 

と、

必死でついていったからでしょうか

 

 

 

いつの間にか

水への恐怖心から

意識が離れておりましたひらめき電球

 

 

そして、

 

 

気が付けば、

高い岩場にいましたびっくり

 

 

 

先生、

僕の慣れる様子を見ながら

 

徐々に高さを

上げられていたようです。

 

 

 

腹も打たず、

真っ直ぐ落ちていける自分に気づき

 

 

よっしゃぁ~!アップ

 

 

と、勢いつけて飛び込むと、、

 

 

海底の砂にズボッ

 

 

慌てて必死で浮き上がりましたが、、あせる

 

 

ケガはなしDASH!

 

ホッとする僕を見て

先生がクツクツと笑っていますにひひ

 

 

先生、

僕のこれも見越して

 

海底が砂地の所を

選んでおられたんだそうで、、、えっ

 

 

お見通し、

まんまのダメな弟子でスミマセン、、、ガーン

 

 

 

そうして水に慣れたところで、

先生は、泳ぎを教えてくださいました。

 

 

時代劇には

 

【 抜き手 】

 

という、

クロールに似た泳法があります。

 

 

今のランタンでは

抜き手はちょいと難しいね、、

 

 

と、

 

飛び込みから平泳ぎで

何とかそれらしく見えるよう、

 

「手」をつけてくださり、、、

 

 

わずか数メートルながら

泳げるようにはなり

 

 

短い夏休みが終わる頃には

 

 

「 うん、撮影にはなんとかなりそうだね 」

 

 

先生から、

合格を頂けました笑い泣きキラキラ

 

 

 

夏休み明け、

 

挑んだ 銭形平次。

 

 

誰にも

金槌だと気づかれずに

 

 

無事、撮影を

終える事ができました、、笑い泣きキラキラキラキラ

 

 

先生の 愛の鞭と

泳ぎを学んだ

 

嬉しい 懐かしい

海の 思い出です、、、ほっこり音譜