ついに 日本全国
宣言が出されてしまいました
日々 コロナウイルスの話題が続き
歪んだ報道や
現場で働く方への誹謗中傷や
政治を叩く声など
気分の下がる話を
目耳にいたしますが、、
今、人がやるべき事は
悪者捜しや バッシングではなく
各々が出来る事を
精一杯 確実にやる、
だけの事ではないかと 思います
マスクや消毒、エチケット
人にうつさない、うつされない自助努力
これに尽きると 思うのです
そもそも ウイルスなど
一人歩きは しないのですから、、
モラルやマナーを 守ってさえいれば
こんなに感染が 拡がる事も
なかったわけですからね、、、
己にできる事を 確実にやって
この猛威が 過ぎるのを
じっと 耐えるのみです、、
さて
おうちで過ごす、というと、、
これがもし
江戸時代であれば
電気もネットもなく
娯楽もすべて 人の手によるもので
ただただ まっくらなおうちで
じっとするしか なかったわけですが
その点 現代とは便利なものです、、、
そもそも
スマートフォンなんていう
江戸時代の方が見たら
呪術使いの持ち物とでも思いそうな
魔法の箱(笑)があり
これ一つで
いろんな事が 出来てしまいますし
(僕はよくテトリスをやっています、、)
ネット環境さえあれば
おうちで 膨大な数の中から
映画を選んで 観る事ができるなんて
フィルム作品に 携わっていた
お弟子さん時代の僕に 教えてやったら
目ん玉 皿のようにして驚く事でしょう(笑)
実際
おうちで 過去の映画を見て過ごす、
という方も 少なくないと思います
ので
僕の オススメ作品を
挙げてみたいと 思います、、
オススメというより
ひたすら個人の趣味を
露呈するだけかもしれませんので
悪しからず、、
まずは こちら
【七人の侍】
1954年(昭和29年)
黒澤明監督 の 作品です
さすがに 僕は
出演していません
ご存知の通り
ハリウッド映画
荒野の七人の 原型となったものです
あまりに有名な作品ですから
あらすじ 云々は
多くは 語りませんが
これは 勧善懲悪的な
ヒーロー物要素ではなく
七人それぞれの
個性溢れる殺陣が
大変 魅力です
印象的なのは やはり
後半の 決戦のシーン
野武士(山賊とも言えるかもしれません)たちが
村を襲い
大立ち回りと なるわけですが
これも 有名ではありますが
このシーン
本当に 過酷で壮絶な環境で
撮られているのです
ぬかるみとも 水たまりとも
なんとも 表現のし難い
ぐちゃぐちゃびっちゃびちゃ
もう 本当に
ただただ
”ぐちゃぐちゃびちゃびちゃ”
としか
申し上げようのない 足場
さらに
ここにあの
黒い雨を降らせて
足元の悪さが
尋常でない状況での大立ち回り
まあ~、、
とにかく壮絶な殺陣なのです
僕ら 殺陣人から見ると
あれだけの 条件下で
あれだけの 時間を費やして
あれだけの 殺陣を やるなんて
想像するだに ゾッとします
単純に
ぬかるみの上での殺陣
というだけなら
田んぼの中や
浜辺の波打ち際など
類似の 条件での殺陣は
何パターンもあるので
出来なくは ないでしょう
作業だけなら 耐えうるかもしれません
ただ。
リアリティに拘る事で有名な
黒澤監督は
ほっといても 悪い足場を
悪さレベルを 激増させ
劣悪なまでに してあります
ぬかるみでの 殺陣
基本的な事を言えば
まず、滑ります
通常より
踏んばりがききませんし
その分 腰も 入りづらくなります
加えて
足元が 明確に見えませんので
小石、枝、
何が 紛れているかわからず
思わぬものを踏む危険もあり
踏んでしまえば
一瞬でもバランスを崩しますから
場合によっては
相手とのタイミングにも関わります
あれだけ 劣悪な足元ならば
かなりの危険を 伴うでしょう
その上
僕ら 東映時代劇は
ある程度 流すようにリハをやったら
あとは ぶっつけ本番
少々のハプニングは
アドリブで活かせるものなのですが
黒澤監督
リハに費やす時間が
これまた 普通じゃないのです
今日もリハ 明日もリハ
リハにリハを重ねた末に
やっとやっとの本番、
という方でしたから
あの 劣悪な足場での殺陣を
幾度となく やるわけです
本番にたどり着く頃には
ヘトヘトで、、
その日まで 体が持つかどうか
その体力消耗を考えただけでも
息が上がりそうです(笑)
若い頃なら 耐えられたかもしれませんが
もし今 この話を頂いたなら
丁重にお断りする事でしょう、、、
演じ手さんの 苦労も然り ですが
スタッフさんの 苦労も
尋常でないと 思います
あの雨は
墨汁を混ぜた水を
降らせたと 言われますが
当時は 雨を降らすのは
放水ホース(消防車のアレみたいなものです)で
やっていたので
単純に 考えて
現代なら ガラスやアクリルなどの
水槽があり
それを運べる 重機もありますが
当時の ロケで考えると
ロケ現場に とてつもない穴を掘って
そこに 墨汁ブレンドの大量の水をぶち込んで
そこから 放水ホースで
汲み上げる、といったような
とてつもない作業が
行われていたのでは、、、
と 思うので
スタッフさんは
とんでもない作業と時間を
費やしているのではと 思います
そのほかにも
水、炎、気候など
あまりに過酷な ロケのエピソードは
色々 聞かれるのですが、、
以前 この作品に携わった
ある俳優さんと
少しだけ お話できる機会があり
僕も すごーく興味があったので
当時の 現場の事を尋ねたのですが
その方は
「 このまま ここにいたら
近々 殺されると思い
僕は 途中で離脱してしまいました 」
と 仰いまして、、
色々 語られるよりも
シンプルに 素で
壮絶さを感じたのを 覚えています
いずれにせよ
この映画に 携わった方々は
本当に すごいなあと
頭が下がる思いです、、
こんな作品
現代なら まず無理でしょうね、、
すでに ご覧になった方は
たくさん おられるかと思いますが
このような
過酷な状況であったことを踏まえて
ご覧になると
あの殺陣を あの熱量で
こなされている事が
いかに すごい事か
殺陣の 見え方が
また少し 変わってくるかと思います
是非 お愉しみください、、
黒澤監督の リアリティといえば
ひとつ 思い出すのが、、、
これも 有名な話ですが
【蜘蛛巣城】
の まさにこの顔
これは
黒澤監督が
恐れ戦く 表情を
リアルに 撮りたいと
演出ではなく
実際 矢を放ち
(刺さらない工夫はしてくれたようですが)
演技でなく
素で出た 恐怖の表情だそうです
撮り終わった後
半狂乱の三船さんが
監督の元に
怒鳴り込んだと 言います
本物志向が過ぎるう、、!
僕ら 演じ手には
本当に 恐怖な お話ですが
今となっては
そんな 作品づくりそのものが
コンプライアンス様様で
「ありえない」話 ですから
今 これ
やれたら面白いよなあ、、、
と 思いますね、、