時代劇の衣装といえば、
お殿様から侍、忍、町人、、
と、
御馴染の姿が連想されます
先日、ブログにも書いた、
甲冑なんかも そうですね
そんな中
にわかには連想しにくいけど、
そういえば
「あるある」 だな、
ってな 衣装もあります
そのひとつ、
修験者
しゅげんじゃ
と読みます。
山へ籠って修行をする、
修験道
に従事する者です。
時代劇がお好きな方なら、
この説明だけでも、
あ~、あれねと
姿を連想できるかもしれませんね
前頭部に
六角形の頭襟(ときん、兜巾と書く場合もあり)
胸に丸梵天、
手には錫杖(しゃくじょう)。
錫杖、とは
六角の棒で
先端には複数の金属の輪っか
地に突くと
チャリン、チャリン、と鳴る、あれです。
この姿を見れば、
あ~、おるおる!よく見るわあ、、
と、お判り頂けますね
修験者そのもの、
悪い人ではないはずなのに、
時代劇では
なぜか十中八九、
悪者として登場します。
失礼な話ですねえ、、(笑)
時代劇では悪党なので
写真のように、
腰に 下げ太刀(さげたち)を
携える事もよくありますが
仕込み杖のように
この錫杖の中に
刃が仕込まれている事が 多いのです。
ただの修験者と見せかけて、
すれ違いざま襲撃、、!!
ってな具合ですね。
この写真は、
1992年(平成4年)
将軍家忍び旅Ⅱ
僕、44歳の時に
やらせて頂いた悪党です。
林を抜ける侍を
群れで襲撃する
修験者の殺陣シーン。
リハーサルも済み、
本番、よ~い、スタート!
通りかかる侍に襲い掛かる
逃げる侍を追う
木々の間を走り抜け、
四方八方から
錫杖で甚振り
刀で必死に躱しながら逃げる侍を
さらに先回りで待ち受け
ついには
仕込み刀を抜き
斬りかかる
侍は追い詰められる、、、
追い詰めた侍に
とどめを刺すべく
僕、侍の刀をはね飛ばし、
仕込み刀で
いよいよ最後の一撃、、、
、、、というその時
おでこの頭襟がずり落ちて
前が見えない、、
この高~い鼻に
ずれた頭襟が
ひっかかってる有様に
一同、大笑い、、、
一番キメのええとこやったのに、
かっこ悪う、、
気を取り直してテイク2
同じく林を駆け巡り、
とどめの一撃、、、
と、、、
今度は錫杖が
これまた上手いこと
広袖に すぽっと入り込み
修験者フラッグの出来上がり
はい、NG、、、
今度こそはのテイク3、
胸の丸い梵天が
木々の枝にひっかかり、
僕、竹に捕らわれの身になり
またNG、、、
なんちゅう難儀な衣装やねん、、、
折れてる場合じゃありません、
気合い入れてテイク4
走る、攻める、
走る、追い詰める、
今度は思い通りに動けました
先ほどまでが嘘のように
気持ちいいほど
サクサク立ち回り
ついにトドメの一撃!!
これで侍の命も監督のOKも頂きや、、
侍の刀を
チャリーン!と
勇ましくはね飛ばした瞬間
目頭に激痛が走りました
首に下げた ぶっとい数珠を
一緒にはね上げ、
勢いついた数珠が
目頭を直撃していたのです
痛いッ!!
、、、とか言えないので、
そのままバツゥッ!!と侍を斬り、
悪党らし~いキメ顔、、
カットー!!オッケーーーーイ!!!
見事、監督のOKを頂きました
、、、が
殺陣師さん
「ああ?ランタン、
涙流してどないしたん?!」
僕の目からは大粒の涙がぼろろっ、、
そら、むっちゃ痛かったもん、
涙も出るて、、、、
殺陣師さんの声に振り向き、
僕を見た後輩たちも
「わあ、、峰さんが泣いたはる、、!」
またまた一同、大爆笑、、、
せっかくOKもらったのに、、、
衣装はなんか厳ついのに、
なんとも締まらぬ悪党だったのでした、、、
今は
衣装の様式にかかわらず
殺陣ができるようになりましたが
若い頃は
やはり苦労しました。
殺陣の稽古は
ジャージや作務衣など
動きやすい服装で
行う事が多いのですが
難儀な衣装でも
難なく刀を扱えて
やっと
人前に出せる殺陣になるのです、、、
やはり
精進あるのみ、ですね、、、