「感情に振り回されてしまう」
「冷静になりたいのに、できない」
「頭では分かっているのに、同じことを繰り返してしまう」
こうした悩みを抱える人はとても多いけれど、
それは性格の問題でも、意志の弱さでもない。
実は、感情そのものに“段階”があり、
今どの段階にいるかによって、
世界の見え方がまったく変わるだけなのだ。
①反射的に動く段階
人はまず、強い刺激に触れたとき、
考えるより先に体が反応する。
怖い、焦る、興奮する、
今すぐ何かしなければいけない気がする。
この状態では、
「感じたこと」と「行動」がほぼ同時に起こることもある。
例えば、感情の回避行動、感情の条件反射
後から振り返って
「なぜあんなことをしたんだろう」と思うことも多い。
これは未熟だからではない。
命を守るために備わっている、ごく自然な反応だ。
ただ、この状態のまま
お金・判断・人間関係と向き合うと、
感情が揺れ動き、
不安や恐れなどだけを感じてしまうから
どうしても消耗が増えてしまう。
なんだか疲れが残るという段階。
②現実とルールを見る段階
そこから少し距離が取れると、
人はようやく「今、何が起きているか」を見られるようになる。
感情が消えるわけではない。
ただ、感情と行動のあいだに、
ほんのわずかな“間”が生まれる。
感情と行動の境界線
事実は何か。
相手は何と言ったのか。
言葉を言葉のまま受け取り、
深読みせず、淡々と選択できる。
この状態に入ると、
行動に安定感と再現性が生まれる。
多くの人が「なりたい」と思うのは、
実はこの段階だ。
ただ、ここで多くの人がつまずく。
感情を抑え込んで、
無理やり冷静でいようとすると、
内側に未消化のものが溜まっていく。
そして、これだけでは自分の人生を歩むことができない。
外側に自分の人生を預けてしまっている場合が多く
心が満たされないから、不足感も残る。
③考えて整える段階
そこで必要になるのが、
一度立ち止まり、考えて整える時間だ。
何が起きていたのか。
なぜあの選択をしたのか。
別の可能性はなかったのか。
この段階では、
言葉にすることが大きな助けになる。
振り返り、調整し、
次に向けて整える。
ただし、ここに長く居すぎると、
人は疲れてしまう。
考え続けることは、前に進むこととは違うからだ。
思考ばかりがグルグルと周り、
結局解決できないから、
思考の疲れ、ストレスが溜まってくる。
さらにその先で、
人はもう一つ深い感覚に触れることがある。
④の「深く感じる段階」
疲弊しない生き方
私らしい生き方。
自分軸が整った生き方
ができる。
④:深く感じる段階
言葉にならない違和感や、
空気の変化、
相手の本音。
説明できないけれど、
「分かってしまう」感覚。
この段階に入ると、
共感力や創造性が大きく開く。
誰かの話を深く受け取れたり、
言葉や表現に魂が宿ったりする。
ここで、気を付けたいのが
この感覚を行動のハンドルにしてしまうと、
現実とのズレが生じやすくなる。
つまり感覚だけが先をいって、
現実がついてこないという状況。
「今回は特別な気がする」
「なんとなく、いけそう」
そうやって、
ルールや土台を飛び越えたくなるからだ。
ここで大切なのは、
どの段階が正しいか、ではない。
順番だ。
多くの人は、
感情に振り回される段階から、
直接、冷静さを目指そうとする。
けれど実は、
深く感じる段階まで一度しっかり通った人ほど、
静かな冷静さに戻ることができる。
感情を知らないから冷静なのではなく、
感情を知り尽くしたから、冷静を選べる。
うまくいっている人たちは、
ずっと冷静でいられる人ではない。
何度揺れても、自分に戻ってこられる人なのだ。
感情は敵ではない。
ただ、使いどころを間違えると、
日常生活、人間関係、仕事、家族・・
少し苦しくなる。
もし今、
「なぜかうまくいかない」
「同じところでつまずく」
そんな感覚があるなら、
それはあなたが未熟だからではなく、
段階の途中にいるだけかもしれない。
自分が今、どこに立っているのか。
それに気づくだけで、
世界は静かに、でも確実に変わり始める。
