ある日私は、噂話を耳にした。

”誰も近寄ることのできない墓石がある”
その墓石は槍の穂のように尖っていて、その周りには更に鋭い針が
びっしりと生えそろっているらしい

墓の主は不明

突如出現したものらしい

私は興味が湧いたのでその墓石のところに

行くことにした

誰も近寄れない?それは普通の人間だったならね

私の肉体は呪いの類を受けている

その呪いは肉体を液体のように溶けてしまうものだ

昔ある魔女から受けた呪いだ

その魔女は私の幼馴染であり

親友だった

しかし突然呪いの力を私に刻んだのだ

そして彼女はその日以来姿を見せなくなった

 

そしてこの呪いのおかげで墓場に入れたのだ

…皮肉な話だ

墓場にはとある文字が刻まれていた

どうやら、本人が死ぬ直前に刻んだ魔法の文字だ

そして墓石にはこう書かれていた

”一人の魔女、魔女狩りにより焼かれ

ここで眠る

 

私は罵られ、迫害され、いつも孤独だった

ただあなただけは手を差し伸べてくれた

呆れ、憎しみ、怒り、私はこの感情しか知らなかった

しかしあなたと出会い

心を光で満たされるような味わったことのない感覚を感じたのだ

あれからという日々は本当に楽しかった

そんな幸せも束の間

世間は魔女狩り

私の命も残り僅か

死を察した私は

あなたに呪いをかけた

すべてはこの文字を読ませるために
呪いをあなたにかけた私には死がふさわしいだろう

その運命を受け入れます

赦しは請いません

私の暗い暗い闇に光をもたらしてくれたあなたにこの言葉を送ります

ありがとう

愛しき私の想い人よ”


すべてを読み終わったころには私の枷が

外れたように感じた