母の病院に毎週付き添っていたのは、一人で行かせるのに不安があったからです。
 
行き帰りも混雑している電車に乗れるだろうか?から始まり、自分の状況を冷静に伝えられるだろうか?先生の話をきちんと聞けるだろうか…などなど沢山の不安がありました。
 
でも私には同じくらい大事なことがありました。
 
それは、通院の行き帰り、診察・治療の待ち時間に母と様々な会話をすることと帰りの晩御飯の買い物に付き合うこと。
 
この時間が一人きりなのと誰か一緒なのでは、気持ちがだいぶ違うんじゃないだろうか?と考えてました。
 
母の若い頃の話から、芸能ネタ、先生の悪口まで…その他愛もない話ネタは毎回違ってました。
 
母はいつも、
「あなたも体調悪いのに、やること沢山あるのに一日を無駄にさせてしまって申し訳ない…」と言っていました。迷惑かけてごめんねと。
 
迷惑だとは一度も思ったことはありません。
でも、あまりに母が毎日言うもんだから、ある時私はこう言いました。
 
「じゃあさ、体調が良い時に毎回ついていったご褒美に高野フルーツパーラーで豪華なメロンパフェご馳走して」と。
 
母は笑いながら、
「そんなのお安い御用よ。メロンなら私も食べれるかも。じゃあ奢ってあげる」と。
 
私は葬儀の時、母に言いました。
 
「メロンパフェ、ご馳走してくれるって言ったのに…。一緒に行こうって言ったのに…」
 
メロンパフェ食べながらまた他愛もない話をしたかった。
こんな簡単な約束も母は果たせないで逝ってしまいました。
 
いつの間にか、桃のメニューに変わってました。メロンの季節がまた巡ってきたら、一人で行ってみます。