救命救急センターで母の死を告げられ、病院の方から警察が来るから待つようにと言われました。

母の急死に思考が止まってしまっていたので、警察が何故くるのか理解するまでに少し時間がかかりました。

母は主治医の先生がいたものの亡くなった時にその先生に見てもらったわけではないので自宅で亡くなった場合は警察が介入するとのこと。
あぁ、そういえばそんなこと聞いたことがあるな…。

しばらくすると刑事さんがやってきてとてもにこやかにしてましたが、ほとんど事情聴取です。

姉が119番に電話した時間からその前後にどう行動したかまで事細かに質問が及びました。

質問に答える姉の話を聞いて私はやっと状況がわかってきました。

夜型の母の生活。この日も12時近くに姉が仕事から帰ってから入浴したそうです。
姉は、母が入浴中に姉は2時間ほど寝落ちしてしまった。気がついたら母が湯船で動かなくなっていたという説明をしていました。

姉は自分のせいだ、自分が寝てしまったから、私が気がついていれば…を繰り返しながらずっと泣いてます。

私は母の顔を見ながら違うことを考えてました。

霊安室に運ばれてきた母は眠っているようでした。病気が発覚してからいつ見ても眉間に深いシワを寄せて寝ていた母。
でも、この時の母は眉間にシワも無くとても穏やかな顔をしていました。眠っているよう。

2日ぶりにお風呂に入って気持ちよかったんだな…。苦しまないで逝ったんだなと確信しました。

警察からは解剖の話もされました。
私達は出来れば解剖はしたくないと伝えましたが、お風呂場で亡くなった場合は解剖となるケースがほとんどだと言われました。

母が亡くなって苦しいのになんでもっと苦しませるの…とその時は感情的に思いましたが、警察は感情では動きません。それが警察の仕事です。

ある程度の調書が終わってから病院を出た時、外はすっかり明るくなっていました。
6月とは思えない肌寒い朝でした。