東京での桜の開花を待たずに、田舎へ移動。

 

朝早く到着したので、ウチへ戻る前に

喫茶店でモーニングパンコーヒーを食べる

ことにした。

 

すると偶然、同じ便に乗り合わせていた

かなり高齢の女性も入ってきた。

 

女性はこの喫茶店の常連らしく

マスターと親しげに話していたが

ほかに客がいなかったせいか

コチラにも話しかけてきた。

 

さて、ここから彼女が田舎に来た目的と

人生譚を聞くこととなる。

 

彼女は80歳で、現在は埼玉県在住。

 

ご主人は元ロボッ工学の研修者で

ご主人が作ったロボットは

世界中にあるという。

 

それほどの成功者であるご主人は

最高額の年金を受給していて

資産も相当あるそうだ。

 

また、彼女のほうも

国が介護サービスを始めると同時に

介護ビジネスに着手し、

多い時で50人のスタッフを抱えるほどの

事業を展開していたとか。

 

そんな二人がリタイア後、

終の棲家として選んだ場所が、

彼女の実家があるこの市だった。

 

ところが、何がどうしたことか

ご主人の財産を付け狙う輩が登場。

 

そいつらは、ご主人を認知症に仕立てて、

この市の介護施設に閉じ込め

彼女との面会を認めず、

家族(一人息子あり)の同意もいっさい取らずに

財産管理をすべてこの市の弁護士に

委任する策に出たのだそう。

 

おかげで、彼女の金融資産まで

勝手にご主人の名義に書き換えられ

弁護士の管理下に置かれてしまったとか。

 

その輩というのは、

地元の人なら誰でも知っている企業で

市に多額の税収をもたらしているであろう会社だ。

 

そんな企業の陰謀と戦うため、

そして、ご主人と財産を取り戻すために

彼女は毎月この市を訪れているのだそうだ。

 

もちろん、市役所や警察、県の弁護士にも

相談に掛け合っている。

 

だが、一向に埒があかないらしい。

 

なぜなら、この市は、役所も警察も

すべてがその企業に牛耳られているからだそう。

 

県選出の与党議員とも顔見知りらしく

永田町まで陳情に行ったが、

多忙で面会ができなかったとも言っていた。

 

彼女はそのほかもに

自分の武勇伝を滔々と述べた後、

この戦いの次の策を実行するために、

そそくさと喫茶店を出て行った。

 

もし、これが本当の話なら
一大スキャンダルで、
マスコミが放って置くはずがない。

彼女が去ったあと、

「この話、どこまでがホント?」と

マスターに尋ねると、マスターは

「いつも聞かされるんだけど

わからないんですよ。

息子さんからお母さんこそ認知症だと

言われたとも言っていたし…」

 

認知症…というより、

もしや彼女は女ドン・キホーテ?

 

話の内容は、矛盾や不可解な事だらけだったが

大きな風車に戦いを挑んでいる彼女は

実に勇ましかった。

 

こうなったら、自分も女サンチョとして

付き添ってやろうかな…笑い泣き

 

移動手段をロバにしたら、言うことなし。

 

はてさて、真相やいかにニヤリ