E353系電車
『E351系スーパーあずさ』
『E257系あずさ』
を置き換える目的で2017年12月23日に先行車がデビュー。
特にE351系で不評に終わった車両の改善と、高速バス等の交通機関に対抗するため、JR東日本がかなり力を入れて製造した最新型の特急電車である。
E353系の投入によって
『あずさ回数券』
は2019年3月15日で廃止。
今回取り上げる活躍の場を失った悲運な回数券は、この『あずさ回数券』・・・・・・・ではなく
↓↓こちら↓↓
この回数券は
『信州しなの料金回数券』
といって、篠ノ井線の塩尻⇄長野間において特急しなの号の自由席が1回¥520で利用できる回数券だ。
利用区間内であれば、途中下車しない限りどこの駅で乗り降りしても一律1回¥520で利用でき、指定席でも空席であれば利用可能(グリーン車は利用不可)。
4枚セット¥2,080で、JR東日本のみどりの窓口で発売中。
特急しなの号の料金は塩尻・松本⇄長野間で
自由席 ¥1,200
指定席 ¥1,930
となっている。
この回数券は指定席の空席も利用可能なのがポイントで、通常料金の約4分の1で利用できる(ただし、指定券を持っている人が来たら席を譲らなければならない)。
有効期間は1ヶ月であり、期間内に使い切らなくても2回利用すれば元が取れる。
これだけ見ると非常にコスパの高い回数券だが、実はこの回数券は2019年3月15日までは
『信州特急料金回数券』
という名称で発売されていた。
この回数券は、値段が信州しなの回数券とほぼ同額(4枚セット¥2,000)でありながら、乗車可能な列車の条件と乗車区間がチート級の回数券だった。
利用可能だった区間は上図の通りで、長野県内の中央東線、篠ノ井線、大糸線の3路線。
信州しなの回数券と同じく、乗車区間内であれば途中下車しない限りどこの駅で乗り降りしても一律1回¥500で、特急列車の自由席(しなの号は指定席の空席も可)が利用できた。
この回数券の凄かった点
特急列車を乗り継いで利用することができた点
例えば、『富士見』から『長野』に向かう場合、通常であれば『塩尻』又は『松本』であずさ号としなの号を乗り換えなければならず、あずさ号の特急券としなの号の特急券が別々に必要となる。
しかし!この回数券を使うと
1枚の回数券であずさ号としなの号両方に乗車できた
訳だ。
つまり、富士見から長野までの特急料金がたったの¥500というとんでもない回数券だった。
ちなみに当時(2002年参考)の特急料金が
⚪︎あずさ号:富士見→塩尻 ¥730(自由席)
⚪︎しなの号:塩尻→長野 ¥1,150(自由席)
:塩尻→長野 ¥1,660(指定席)
だった事を考慮すると、凄さがわかる。
また、E257系あずさやE351系スーパーあずさが現役だった頃は、大糸線の白馬・南小谷まで直通するあずさ号が準定期列車も含め1日4往復、白馬まで直通するしなの号が準定期列車として1日1往復設定されていた。
当時のダイヤ編成を考えると、長野県内の移動に加え、山梨県の甲府方面と長野北部の相互アクセスにもこの回数券はうってつけ、まさに鬼に金棒だった。
ところが、2019年3月16日のダイヤ改正によってE351系は全て廃車、E257系は中央線特急から撤退し全てE353系で統一。
あずさ号から自由席が廃止され、全車指定席になった事でこの回数券はあずさ号では使用できなくなってしまった。
これにより、『信州特急料金回数券』は利用条件を塩尻⇄長野間のしなの号のみに限定し、しかも実質の値上げもさり気なく行われ、『信州しなの料金回数券』と改名される。
特急列車を乗り継いで利用できるという面白い点を失い、乗車区間も大幅に縮小された『信州特急料金回数券』は、塩尻と長野をしなの号で往復するのが目的の単純な特急回数券に降格されてしまうという末路を辿る事となった。
「中央線が、変わる」のキャッチコピーの元、華々しくデビューした最新のE353系。
しかしその裏で、消えていったE351系や、鉄道旅行の楽しみを増やしてくれた回数券の撤廃など、失ったものも確実に存在する。
中央東線が今後どの様に進化していくか、鉄道ファンの1人として目が離せない。
その2はこちらからどうぞ↓↓
鉄道旅行資金倍増計画
まだ見ぬ路線を求めて、私が取り組んでいる資産形成1つ。