◆牡蠣のシーズンを前に、以前にも書いた、牡蠣の〝加熱用〟と〝生食用〟の話題を今一度。
牡蠣に「加熱用」と「生食用」の2種類が販売されていることは皆さんご存知の通り。
よく、生食用は鮮度が良く、加熱用は生食用の鮮度落ちしたものであり
生食用に劣ると考える方がみえるが、これは全くの誤解。
(もちろん、生食用で販売していたものが、店頭で時間が経ったので 見切り品として加熱用のシールを
張るなどして値引きをする場合もありますが、今回は牡蠣が劣化したケースを除いた、鮮度の良い
態での話です。)
牡蠣は、「海のミルク」とも呼ばれるほど、濃厚で生で食べることが美味い貝として知られるとともに、
非加熱で食することで、〝あたる〟場合があることもよく知られていることでしょう。
牡蠣の場合、食中毒の原因となるものは
①貝毒、②細菌(腸炎ビブリオ、大腸菌など)、③ウィルス(ノロウィルスなど)があげられます。
これらは、生育する海水の水質によって、食餌を媒介し貝の体内に取り込まれ、
蓄積濃縮されたものを一定量、非加熱で人間が食すことで、食中毒を引き起こしますが、
なかでも③のウイルス性の食中毒はこれから春先にかけてが最も発生頻度が上がります。
ノロウイルスは85℃以上1分間以上の加熱によって感染性を失うため、中心部まで充分加熱することが
食中毒予防に重要なのですが、牡蠣に紫外線を照射したり、殺菌海水、濾過海水内で一定期間
飼育し、十分に循環させてやることで大部分が体外に排出され(おそらく)安全に食せる状態になる、
これらの処理を施した牡蠣が〝生食用〟 と表記される牡蠣であり、
処理されていないものが〝加熱用〟として販売されているわけです。
(〝おそらく〟とした理由は、生食用牡蠣の食品衛生法の規格基準においてノロウイルスに関する
基準は設定されていないので、「生食用」と表示された場合でも「ノロウイルスが完全にいない」という
保証があるわけではないためです。)
つまり、剥き身に処理される直前まで生きていた貝なので、鮮度はどちらも良いはず。
それならば、安全に食べられる「生食用」のほうが良いに決まっていそうだが・・・〝そうではない〟。
「生食用」は安全に食べられるように紫外線照射などの
処理が行われるこの〝数日間絶食状態〟に置かれ、身が痩せる。
いわゆる、安全ではあるが「断食しやつれた牡蠣」でもある。
つまり、生食する場合に限り「生食用」を選ぶことは、食中毒予防の観点から最低限必要な選択で
ありますが、十分に熱を加える料理には食中毒の心配はないので、わざわざ身の痩せた「生食用」を
選ぶ理由はなく、殻付きで身入りの良いものの剥き立て、剥き身でも「加熱用」を選んでやるのが最も
美味であると言えるわけです。
半生で頂くときは「生食用」を。
明日からは、牡蠣の下処理の話と、牡蠣の揚げだしの話です。
香辛料の話と順序が逆になります。すいません。
牡蠣の話題の後に、こちらはお届けする予定です。