香魚 | Ta助の厨房

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料理人 Ta助が
真の「食」を求める旅録

◆鮎 香魚 年魚【アユ】

   学名:Plecoglossus altivelis altivelis (Temminck et Schlegel, 1846)

   分類:サケ目アユ科

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  【 名称の由来 】

  「アユ」の由来には数多くの説があるが、出典が明らかでないものも多い。

  ・産卵のために川を下る様子から「落ちる」という意の古語「雫(アユル)」から転訛した

   「アユは〈あゆる〉意なり、〈あゆる〉は落つるなり。秋に川を降るものなり」(日本釈名)

  
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  ・「アは小、ユは白。その形小にして、色白きをいいしなるべし」 ( 『東雅』 新井白石 )

   小さく白い魚の意である。 

  ・神前に餐(アエ)として供え占いに用いた。後に発音が変化し「アエ」から「アユ」に転じた。

  ・「あひ」が語源。「ア」は親しみを込めた愛称語、「ヒ(イ)」は魚名語尾ウヲ、イオの短促音。

   「アヒ」から「アイ」「アヨ」を経て「アユ」と転訛した。「アジ」同様の流れか。

   佳い魚、美しい魚を意味する。『鮎考』飯島茂

  ・愛すべき魚(可愛之魚)の意から。 『鋸屑譚』谷川士清、和訓栞

  ・「年魚」は、「春生じ、夏長じ、秋衰え、冬死す、故に年魚と名付く」 『和名類聚抄』

   一年魚であることから。


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  ・「香魚」は、アユの体内の不飽和脂肪酸が酵素によって分解された、「スイカ」や「キュウリ」に

   似た芳香があることから。また「黄瓜魚(キウリ・キュウリウオ)」とも。

   
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  ・鰓蓋後方に黄色い斑紋があることから「黄魚(キウオ)」。

  ・鱗が細かいことから「細鱗魚」とも呼ぶ。

   
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  ・アユの属名「 Plecoglossus 」 は、〝ひだになった舌〟という意味であり、

   種名 「altivelis 」 は〝高い帆〟の意味で大きな背鰭を表している。

  【 漢字表記「鮎」 】

  古く「古事記」では年魚 「日本書紀」では年魚、阿喩、細鱗魚 「万葉集」では阿由、和可由、阿由故


  「鮎」については

  ・一定の縄張りを形成することから、縄張りを占拠する「占める」から魚偏に「占」

  ・神功皇后が武運を占うために釣った魚がアユであったため、

   この故事になぞらえ「占う」の意から魚偏に「占」とした (日本書紀)  など。


  一方、中国では、「鮎」は「ナマズ」を意味し、「アユ」はかぐわしい香りがすることから

  「香魚(シャンユイ)」と呼ばれる。「あゆ」という呼び名は日本固有のものとされている。

  また漢字表記「年魚」は、音読み「鮎(デン)・(ネン)」と「年(ネン)」が同音であることから

  当てられたとも。また現在の日本語表記の「ナマズ」は「鯰」であり、「ネン」と読むため

  より複雑に感じる。

  日本の初期水墨画を代表する画僧・如拙作の「瓢鮎図(ひょうねんず)」において描かれている

  「鮎」とは「ナマズ」であり、応永20年(1413年)前後の時代においても漢字表記は影響を受けている。

  【 他の呼称 】

  遡上前の仔稚魚期には魚体が透明であることから、シラスアユ。

  漁獲が禁止されている稚鮎の隠語としてキヒラ、キンタロウイワシと呼ぶ。

 

  また、その外観と産卵、成熟期に合わせ、

  秋に性熟成し、橙と黒の独特の婚姻色へ変化した雌を「サビアユ(錆鮎)」。

  産卵のため下流域への降河を開始する産卵期の雌を「オチアユ(落ち鮎)」、もしくは「フルセ(古背)」

  本来一年魚であるが稀にいる、越年した個体を「とまりあゆ(止鮎)」などと呼ぶ。

  他に、アア、アイ、アイナゴ(幼魚・南紀)、アイノヨ、シロイオ、チョウセンバヤ(九州)、

  ハイカラ(幼魚)、ハシライオ、氷魚(滋賀・幼魚)など、地方名、成長段階による呼び分け、雅称等、

  様々な呼称が存在する。

  
   

  以下は、再掲載の機会に追記いたします。


  【 原産地および産地 】

  【 出荷のピーク 】

  【 品種と特性 】



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