風評被害と理科音痴 Ⅰ | Ta助の厨房

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料理人 Ta助が
真の「食」を求める旅録

◆若布の話題を起点に、風評被害について考えてみたい。

  


三陸の産地壊滅で、鳴門わかめ注文急増 増産困難対応苦慮


徳島新聞Web 2011/3/24 10:23 より抜粋


 東日本大震災で三陸地方のワカメ生産者が被災した影響で、徳島県特産の「鳴門わかめ」への注文が急増している。全国1、2位の生産量を誇る岩手、宮城の両県産「三陸わかめ」が流通しなくなったため、シェア3位の鳴門わかめへ目が向けられた格好だ。しかし生産量が限られているため、急な注文増には対応しきれず、収穫最盛期を迎えたワカメ生産者や漁協は困惑している。

 農林水産省の2009年農林水産統計によると、三陸地方のワカメ類の収穫量は岩手2万7千トン、宮城2万1千トンで、両県で国産ワカメの約8割を占める一大産地だ。今回の東日本大震災で、収穫前のワカメや養殖棚などが流出・破壊されるなど、壊滅的な被害を受けた。

 このため、徳島県漁業協同組合連合会(県漁連)、鳴門市内の各漁協、生産・養殖業者などで年間6千トンの収穫量を誇る「鳴門わかめ」への代替需要が高まったものとみられる。

 県漁連によると、今月11日の地震発生後、全国の水産加工業者らから注文が急増。「インターネットで調べた」などと、1日数件の新規問い合わせが続いている。一方で、従来から取引関係のある加工・卸売業者らからの注文量も増えているという。

 県魚連では種付けから収穫まで、年間600トンの生産・出荷計画を立てて養殖している関係で、急な注文増には応じられず、「余っている分は提供できるが、新規の方に回すことは難しく、お断りしている」としている。また里浦漁協や新鳴門漁協など、鳴門市内の各漁協にも1日数件の注文が入っているが、県漁連と同様に生産量が決まっていて、対応しきれないという。

 カットワカメなどを扱う県内の加工業者にも注文が急増しており、あるメーカーでは、震災直後から関東を中心とした卸売業者などからの注文が殺到。「注文の電話が常に鳴りっぱなし」といい、昨シーズンから塩蔵していた在庫がゼロになるなど、震災後の10日間ほどで半年分の商品を出荷したという。

 「どんなに高くても売ってほしい、という買い手もいる」。ある生産者は、以前から取引のある加工業者の予約分をさばき、余った分を新規注文に回しているが、商品不足は深刻な状態。「品薄の中、国産ワカメというだけで従来以上の付加価値が付くため、粗悪品が出荷され、鳴門わかめ全体の品質が落ちるかもしれない」と危惧する声も上がっている。



鳴門ワカメは、かつて2009年に産地偽装が発覚した経緯がある。

鳴門産と表示されたワカメに中国、韓国産が混入されていたことが判明し、その後の県の立ち入り調査で、偽装を行っていたのは十三社にのぼったものである。また、その影響で偽装にかかわっていない市内の加工業者も疑われ、売り場からの一時撤去や買い控えなどで、ダメージを受け、鳴門ブランドが失墜したとまで言われた。

にもかかわらず、一部流通業者は震災直後、今後品薄になるであろう懸念から、我先にと高額で買い漁ったという。掌を返したかのようなこの過剰な反応に何を思えばいいのか。



買占め、買いだめと言えば都内でも、生活必需品、食料品をはじめ、電池や懐中電灯、ガスボンベといった

防災関連商品が次々に店頭から姿を消した。首都圏の大手スーパーが震災5日後の3月16日、食料品と日用品30品目について需要と供給の状況を調べた結果、需要では飲料水が平時の31倍に上り、パスタは27倍、カップ麺は14倍、米は10倍。日用品ではボンベが30倍、乾電池が16倍だった。

一方供給では、飲料水が2・5倍、パスタが3・6倍、カップ麺が2・7倍、米が2倍など大半が平時を上回った。もし、あのとき消費者が冷静に行動していれば、品不足が起きることはなかったといえる。

震災の影響だけでなく、都内への放射線物質の影響もあり

飲料水には今も高い需要があり、依然として品不足のようであるが、産経新聞(4月10日配信)に買いだめをした

消費者の興味深いコメントが掲載されている。


「棚から持ち去られていく様子を見ていると、保存できるものは何でも買っておかなければという気になった。モノを少しでも手元に置いておきたかった」と話したという。


また今、原発事故の影響により、原発に隣接する産地の農畜産物、水産物など

出荷規制の対象外であるにもかかわらず、取引が成立しなかったり、受け入れを拒否され、

また、運送用のトラックの立ち入りも拒否される事態に陥っている。



茨城沖水産物:悔しい 風評被害に悩む漁師/茨城

 鹿島灘沖で操業した「はさき漁協」(神栖市波崎)所属の底引き網漁船「第五松丸」(15トン)が5日、千葉県銚子市の銚子漁港魚市場に水揚げを拒否された問題が浮上し、茨城沖で水揚げされた魚類に対する風評被害が広がりつつある実態が浮き彫りになった。同漁協関係者によると、銚子漁港では3月末から茨城県の漁船に対し操業海域などを明記した文書提出を求めており、事実上、茨城沖の水揚げを拒否していたという。


 第五松丸は、篠塚松彦船長(52)ら4人が鹿島灘沖合約35キロ付近で操業し、5日午前6時ごろ、ボタンエビやキンキなどを水揚げしようとしたが拒否された。同市場から入港を控えるよう電話を受けた母良子さん(83)は「50年以上も銚子の市場に水揚げしてきたのに、こんな事は初めて。せっかく取ったのに悔しい」と話した。


 同漁協所属の「大勝丸」船主、遠藤勝司さん(79)によると、3月末に水揚げした際、船舶名や操業日、同位置、同海区、同時間などを記入する紙を銚子漁港の市場関係者から手渡されたという。九十九里浜の千葉県旭市飯岡漁港から約15キロ沖合でトローリング漁をし、サワラ約40本を銚子漁港に水揚げした大勝丸の船主の長男は「せっかく燃料を使って漁をしてきたのに茨城県産の魚だと無駄になってしまう。銚子より南で操業せざるをえない」と話した。

 6月中旬から9月にかけて鹿島灘沖では、ヒラメ刺し網漁が始まる。漁師たちは「年間を通じて一番の稼ぎ時に風評被害で漁ができなければ死活問題だ」と心配した。


                                           毎日新聞 2011年4月6日



買占め、買いだめによる市場の混乱然り、買い控えもまた深刻な状況である。


マスコミはこれら事態を〝風評被害〟〝風評被害〟と毎日のように連呼しているが、

そもそも風評被害とは何なのか、なぜ風評被害は発生するのか、このメカニズムについて

的確に解説された資料があったので、今我々が今後のためにも為せる消費行動の提案と共に、明日紹介したい。