落としラップの妙 | Ta助の厨房

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料理人 Ta助が
真の「食」を求める旅録

日は〝落とし蓋〟の話題です。
  
  落
とし蓋の用途は…

  ∮主に煮炊き物をするときに煮汁の蒸発を抑える
  ∮浮き上がってくる食材を押さえる
  ∮材料が煮汁の対流で踊り、煮崩れるのを防ぐ

  そしていまひとつ
  ∮加熱中は煮汁が落とし蓋を伝って材料にかぶるようになり
   少ない煮汁でも全体に味が付きやすい

  これらを一度に可能にする画期的な道具が落とし蓋。
  煮炊き物でお世話になる機会は多いですね。
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  落とし蓋は木製や金属製、最近では樹脂製の物が主流のようですが、
  いま少しフィット感のある紙蓋であれば、乾燥を防ぐ用途にも使用したりも しますでしょうか。

  さて、このいずれの素材でもない理の保存によく用いるラップ紙。
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  これを落とし蓋の代わりに用いる技法が〝落としラップ〟
  食材にピッタリくっつけて使うことで、乾燥を防ぐことにも使いますが、
  落としラップの最大の利点は、液面にジャストフィット!して
〝界面張力〟が働くことでしょう。

 〝かいめんちょうりょく【界面張力】 二相の境界面で働く表面張力  広辞苑 〟

  ラップと液面が境界面で引っ張り合う結果…
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  ■先日の南蛮漬け。合わせ酢が少なくて玉葱が浸かりきっていません。(before)

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  ■落としラップをすると、液面とラップの間に張力が働いて、液面が上昇(after!!)


  ∮界面張力により漬け地のカサが増す。
 
  漬けムラが無くなる上に、だしを使う漬地なんかは、節約したいときがあったりして
  少ない液体で漬けれちゃうので、ちょっとお得。落としラップの魅力でございます。

  煮汁に対流があるときは上手く張れなかったり、物によっては熱に弱かったりもしますし、
  食材から水分が多く出るときは、少ない液体では薄まってしまう、そんな場合には
  適しませんので、case by caseで用いましょう。


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                               ■サクラマスを漬けた時にも落としラップしました。

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                                   ■幽庵漬けなど焼き魚の下地も、少ない量で漬けこめます。



  色んな調理器具が普及して、作業の雰囲気も様変わりを見せておりますが、
  ラップの登場はまさにその先駆けかと感じております。

  今さらの解説ではございますが、用語解説の一環として、掲載させていただいておきます。


  
  



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