◆料理をする上で、灰汁【あく】を気にする場合が必ずあろう。
料理にとって灰汁の概念は非常に重要である。
それでは、そもそも、灰汁とは何なのか?
ここから話を始めなければならない。
灰汁【あく】
②植物中に含まれる渋み、えぐみなどのある成分
広辞苑
野菜で言えば、アクを気にして処理を考えるものの代表に、
筍や独活、蕨、ぜんまいなどの山菜、ほうれん草を代表する葉物、
そして先日よりお届けしている牛蒡や里芋などの根菜がある。
これら、植物性の食材にアクがある理由は、
外敵から身を守るための生態防御物質である場合が多い。
植物も、ただ食べられるためだけに生えてはいないわけで、
植物から見れば人間もまた他の生物同様の外敵であり、防御の対象であろう。
これを成分で見ると、山菜類に多く含まれる、チアミナーゼ
(ビタミンB1を分解し生理活性を消失させてしまう酵素)や、
硝酸塩(調理によって亜硝酸塩へと変化する。摂取は避けられないが、
タンパク質に含まれる、アミン類と同時に摂取すると発がん性が高い物質へと変化する。)は
強烈なえぐみの元凶となっているだけでなく、
健康への関与も解明されてきている。
最も調理の機会が多いであろう、ほうれん草をはじめとする葉物にも
シュウ酸が含まれ、苦味やえぐみの元となっている。
また、広辞苑には上記のように解説されるが、このすべてではない。
植物 つまり野菜だけでなく肉や魚からもアクは出ることをご存知の方も多かろう。
カレーをする時、煮込み始めてまもなく液面にグレーの塊が泡状に浮かんでくる
アレを想像していただければ易い。
肉や魚を湯がいて浮かぶアクは、煮汁に溶け出した水溶性のタンパク質が
熱変性によって凝固した、アミノ酸や脂質を含む泡状の浮遊物や、血が固まったものでもある。
このように、アクの成分は食材ごとに、また量も含め違いがあり、
共通していえることは、渋みやえぐみといった、人間が口にして
不快と感じる〝味〟を持つものを総じて〝灰汁【アク】〟と呼んでいるということである。
さて、牛蒡の場合、水に溶け出すアクの正体とは何なのか?
この話題は次回としたいが、アクが一様のものではないことを
まずは知っておき、その上で、もっとも大切である
〝食材ごと〟のアクとの付き合い方を提案したいと思う。
