タクシーの運転手になりました。
元々はシステムエンジニアと言いましょうか、コンピューターに関わる世界でしがないエンジニアを30年も続けて参りました。
かといって大したことをやったわけでもなく、60歳にも近づいてきたので、思い切って異業種に転職しました。
どうかな・・・70歳くらいまでは現役で働けるかな・・・と思って。
巷では人工知能のAI(エーアイ)が騒がれ始めて、タクシーも近々無人運転になるぞ・・・と言われる人も出てきてはおりますが、私の試算では、『10年やそこらでは無人化は無理だろう。たとえ無人化が進んだとしても何十年もシステムの事を考えて来たわけですから、その変化には十分付いてゆけるはずだ』と考えての上で転職しました。
場所は京都営業所。
最初は自動車教習所に行き2種免許を取得し、タクシーセンターで適性試験と講習、地理試験を行い、社内研修で事故現場をとことん見せられて安全運転の意識を持たせ、マナーを教えられ、乗車時降車時のお決まり文句を憶えさせられ、会社の品格を説明されて初めてタクシーの運転を許されます。
その間速くて3週間ほど。
その後に側乗といって助手席に座りベテラン運転手の営業を見習ってから独り立ち開始。
何もかもが初めてだらけなので冬場にも関わらず汗びっしょり冷や汗もびっしょりでした。
基本的には初物は苦手な方で・・・。
独り立ちした時はもう大変。
トランクや後部ドアを開けっぱなしで走りかけたり、ウインカーなのかパーキングランプ出しているのか訳が分からなくなったり、つり銭間違えたり(必ず私が損するほうに間違える・・・例えば五千円を一万円と勘違いしてお釣り渡したり、単純な引き算間違えたり、2千円札を五千円札と見間違えたり・・・)
何より意外とうろたえるのは、
お客様「清水寺まで」
私「はい、かしこまりました」
(清水寺はもちろんわかるけれど、どこで降ろせばいいのだろう…五条坂の下かなぁ、五条坂上がっていったらタクシー降り場ってあったっけ…どこにあったっけぇ~~~、あれ五条坂には右折して入れたっけぇ----ちなみに右折では入れません。繁忙期は左折ですら入れません----)
なんてことを考えながら
(なんとかせねば、到着までになんとかせねばぁ~~~)
と必死になりながら結局
「ここから五条坂ですので歩いて登ってください」
と言って、何も知らないお客様を五条坂の真下から登らせてしまったり…(ごめんなさい🙇)
私「はい、かしこまりました」
(清水寺はもちろんわかるけれど、どこで降ろせばいいのだろう…五条坂の下かなぁ、五条坂上がっていったらタクシー降り場ってあったっけ…どこにあったっけぇ~~~、あれ五条坂には右折して入れたっけぇ----ちなみに右折では入れません。繁忙期は左折ですら入れません----)
なんてことを考えながら
(なんとかせねば、到着までになんとかせねばぁ~~~)
と必死になりながら結局
「ここから五条坂ですので歩いて登ってください」
と言って、何も知らないお客様を五条坂の真下から登らせてしまったり…(ごめんなさい🙇)
お客様「京都駅まで」
私「はい、かしこまりました。京都駅は表側ですか裏側ですか」
お客様「ん?表?うら?」
私「えっと、京都タワー側でしょうか、それとも新幹線側ですか?」
お客様「新幹線側でおねがします」
私「かしこまりました」
(新幹線側は京都駅八条口なのはわかる…けど、タクシー降り場ってどこにあったっけ~~~)
タクシー降り場は烏丸通りの突き当り付近にあるのですが、どこから入ってよいのかすらわからない。
結局
「到着しましたぁ、ここから横断歩道を渡ってください。ありがとうございます」
といってタクシー降り場ではなく烏丸八条の交差点(アバンティーの角)で降ろしてしまったり…。
私「はい、かしこまりました。京都駅は表側ですか裏側ですか」
お客様「ん?表?うら?」
私「えっと、京都タワー側でしょうか、それとも新幹線側ですか?」
お客様「新幹線側でおねがします」
私「かしこまりました」
(新幹線側は京都駅八条口なのはわかる…けど、タクシー降り場ってどこにあったっけ~~~)
タクシー降り場は烏丸通りの突き当り付近にあるのですが、どこから入ってよいのかすらわからない。
結局
「到着しましたぁ、ここから横断歩道を渡ってください。ありがとうございます」
といってタクシー降り場ではなく烏丸八条の交差点(アバンティーの角)で降ろしてしまったり…。
どこに行っても大まかにはわかりますが、細かいところがわからない。
最初は行き先を聞くたびに心臓がバクバクして
(はぁ~~~こんな毎日いややぁーーーーーーーいつまで続くやら…)
という感じ。
最初は行き先を聞くたびに心臓がバクバクして
(はぁ~~~こんな毎日いややぁーーーーーーーいつまで続くやら…)
という感じ。
挙句の果てに、夕方五条通りできれいな女性が乗ってきた。水商売風の女性。
お店に行くと精一杯の愛想を出して飲み客の相手をする前なのでしょう、タクシーではとっても無愛想。
お客様「ドングリから縄手行って新橋」
私「・・・・・・はい?」
お客様「え?わからんの?」
ますます機嫌が悪くなる。
私「すいません、新人でして・・・」
お客様「こんなとこ新人でもわかってなあかんのと違うの?」
私「申し訳ございません、勉強不足で、すいませんが・・・お、教えてください(大💦)」
むっちゃ怒られるかと委縮していたら、急に優しい声で
お客様「もうしゃないなぁ、おぼえときや」
と言って丁寧に道を教えてくださいました。
さすがは接客のプロだわ。
降車時に思わず
「1090円ですが千円丁度で結構です。勉強代ということで、気持ちですいません」
と言ってしまう。
お客様「ほんま!いやぁうれしいわぁ、ありがとう」
と言っていただき、ほっとするや、ありがとうと言われてうれしいやら、気安くまけてしまってモヤモヤが残るやら。
そんなこんなで、タクシーの独り立ちが始まりました。
続く)
(2週間に一度程度の更新になります)