クマを恐れず山中へ フジバカマ探索 |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

野生のフジバカマを探しに、山の中へ。
とはいっても道なき道を行くのではなく、車の轍が残る砂利道を軽自動車で進んでゆく。

対向車が来れば延々とバックをするしかない。
 
山道は時には人里近くに近づき、時にはひたすら山の奥へと進んでゆく。
行きどまりになればバックで戻るかどこかでUターン。
 
 
時々、クマを捕獲する檻も仕掛けられている。
ここは京都府綾部市の山中。
 
野生のフジバカマを探し始めて初めて分かったことだが、道端に生い茂る雑草はどこに行っても同じものばかり。

ヘラオオバコ
ヤセウツボ
ドクダミ
クマザサなど・・・
 
他にもシダやツルの雑草が生い茂る。
 
コナラの木やクヌギの木(ドングリの木)、杉の木が生い茂る森の中に歩いて入っても木陰の植物が生い茂るだけでフジバカマは生えていないと考える。

なぜなら、フジバカマは日当たりが良く水分が多い場所に生えているはずだから。
 
フジバカマと言えば平安時代以前からあって秋の七草の一つなのに、野生のフジバカマはどこにも咲いていないことには驚いた。
 
そうこう考えながら車で走っていると、廃墟のような神社のようなものがあった。

手入れがされていないのか、山道は草に覆われ、しばらく人が入った形跡もなさそう。
 
私は入り口に車を止めて歩いて中に入っていった。
 
どこかでホトトギスが縄張りを誇示するように大きな声で鳴いている。
 
空は真っ青の快晴だけれど、木陰に覆われた参道はひんやりとすら感じた。
 
ここでクマに襲われたら戦う以外にないだろうなと考える。
 
こんな昼間にいるわけがないだろう、どこかで夜になるまで寝ているに違いない。
 
そんな寝ぐらが、このような社なのかもしれない。
京都府や兵庫県では、クマ(ツキノワグマ)は条例で規制されている保護動物の為、約900頭を超えるまでは、捕まえて処分することが出来ない。
しかし、京都も兵庫もすでにクマの生息数は1000頭を超えているらしい。
それでも、子持ちのクマは処分できないことになっている。
 
人間の高齢化⇒田舎の過疎化⇒田畑を維持できなく荒れ地となる⇒野生動物が人里に現れる⇒人の生活圏に野生動物が出現する⇒トラブルが増える
 
という構図になっている。
 
互いに傷つけあわないようにするにはどうすべきか・・・この問題はなかなか難しい。
 
ふと足元を見ると、ムカデがこちらに歩いてきた。
靴の下まで来たので、あっちへ行けとばかりに蹴り飛ばした。
驚いたムカデは頭を上下に振りながら、再び私の足元へと向かってきた。

私はまた蹴り飛ばした。
そのまま草の中に隠れてしまえばいいのに、なぜかこちらに向かってきた。
頭が赤いムカデは毒を持っている。
噛まれると死にはしないが相当腫れる。
 
しかし踏みつぶして殺すつもりはなかった。

家の中で見つければ、それは住居侵入罪で「死刑」にする。

しかし、ここは森の中。

殺したくはなかったので、枝切れでムカデをすくう様にして草むらに飛ばした。
 
さすがにもう出てはこなかった。
 
私は、この古い社を調べるのが目的ではない。野生のフジバカマが生えていないかを探すのが目的なので、奥まで入らずに途中で引き返した。
もし、社にクマがいたら・・・、
逃げられないはずなので戦うしかないと思う。
 
山の中、池のほとり、川沿いなど、半日かけて野生のフジバカマを探したが見当たらなかった。
いままで山野草なんて見向きもしなかったからわからなかったけれど、何でも生えていそうで生えていないのが人里近くの山野草であることがわかった。
 
もっと人が入らない山中でないと見つけられないのかなぁ。
 
そう思いながら、家に帰った。
 
明日は葬式や家の用事で大変。

また、時間があったら探しに行こう。