「美味しんぼ」の鼻血問題
2014年4月28日発売の週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)
「福島の真実篇その22」で主人公の新聞記者・山岡が、疲労感を訴えた後に鼻血を出した。
福島県双葉町の前町長も実名で登場して「福島では同じ症状の人が大勢いる」と書いてあったことで、双葉町は5月7日、「復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害」だとして、小学館に抗議文を送りました。しかし詳しくは「以前の調査では、鼻血が出た人が若干名いたという話はあったが、現在症状を訴えてくる人はいません」ということでした。
さらに5月12日号では、昨秋まで東日本大震災の廃棄物の受け入れて焼却処分を行った大阪市でも、焼却場近くで約8割の住民が健康不調を訴えている表現を掲載しました。これに対して橋下市長や松井知事は不適切な表現として小学館に抗議しました。
但し橋下市長は「本当であれば大変な事ですよ」とも言っていましたが、皆さんはどう感じられたのでしょうか。
放射線科の専門家の話では、低線量でそのようなことは(鼻血が出るようなこと)は絶対にないと言い切っていました。
そうでしょうね。
レントゲンや放射線治療のレベルでそういった症状はほとんど出ることは無いということは、普通の人も健康診断を受けていますからわかると思います。
それに放射線治療の業界で、鼻血が出ても揉み消されるでしょう。だって放射線治療そのものが否定されることになってゆく可能性があることを考えると、揉み消しもあり得るでしょう。
ただ、現実に放射線科で働く人々から症状を聴くことがなければ問題はないのだといえるかと思います。
私も昨年、福島原発から10キロ程度の所の南相馬市小高区にある瓦礫集積場所前の線量計を見ながら写真を撮りましたが、鼻血が出るということはありませんでした。
(小高区の瓦礫前にある線量計。私は誰もいないこの町の線量計のまえで撮影しながら、毎日ここに住んでいたら累積でどれほどの被ばく線量になるかを考えていた)
しかし・・・しかしです。
原発事故があった直後の福島原発近くに住む人々は、すべてが低放射線量の被ばくだったと誰が言えるのですか?
たまに被ばくしただけではその被ばく線量は低いものでしょうが、数日または数か月も滞在していたら話は変わってくるはずです。
まして。空気中の放射能の濃度はどこも一定ではなく波のように濃い部分と薄い部分があったはずで、さらに地面に降下した汚染されたチリなどに高い放射線物質が含まれていたはずで、つまり背の低い子供は被ばく量が大人より多かった可能性があるわけです。
そう言った日々の被ばく線量の積み重ねが、マイクロシーベルトレベルならともかく、10ミリ100ミリシーベルトを超えた人がいたとしたら、話は別だしそんな状況の人々が現実にかなりいたわけで、現実には放射線治療のレベルの被ばくではなかったはずなのです。
大阪が受け入れた瓦礫だって、中には強い放射線を持った瓦礫が含まれているはずで、そこから出る細かい粉じんには時には強い放射線の縞が出来ている可能汚性の方が高いわけです。
日本では広島原爆がありました。
原爆なんていう爆弾はその時に初めて投下されて日本人は当時放射能の知識がない状態で、何が何やらわからずに、当時のお医者さんは「原爆プラプラ病」と言っていたわけで、その症状は鼻血や強い倦怠感でした。
NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」の野呂美加代表は2011年の6~8月に福島県内4か所で問診会を開いたところ、「3~4割は鼻血の症状がありました。他の症状は、口内炎や下痢などです」ということでした。
さらに、このNPOはチェルノブイリ原発被害者を日本で転地療養させている団体なのでその人たちの聞き取りでは「20年間で648人の子どもを招いていますが、彼らの症状も同じで、鼻血もよく出しました」ということだったそうです。
さらに福島県内の主婦の話では「11年夏ごろ、小学生の息子が一日に何回も鼻血を出すようになりました。寝ている間に出たり、遊びに出たら顔中真っ赤にして帰ってきたり。でも、それを大っぴらには話せない雰囲気なんです」という話もニュースに出ていました。(週刊朝日 2014年5月23日号)
国や都道府県はまず問診調査をすべき!
放射線治療の世界はまだ低放射線レベルでの安全性を主張しているだけで、実際の福島県民がみんな低被爆レベルだったと誰が言い切れるのですか?
福島原発が地下水も含めて事故の実態を隠す傾向にあること、空気中に飛散した放射線を含むチリにはムラガあったはずで人によっては相当量のチリを体内に吸い込んだ可能が高いことを考えれば「風評被害」と決めつけることの方が大問題ではないのですか?
まずは、調査すべきですよ。
国民は年に1,2回は定期検診を義務付けられているわけで、そこで事故と維持の症状を問診で聞けばいいだけの事だから一斉に調査することは可能でしょう。
それをやらないのは、やらない方に問題があると私は思います。
根拠を取り上げて、問題に対して議論・検討・対処を行わなければ何の意味もないではありませんか。
以前に原発事故で亡くなった人は一人もいない!
と豪語していた国会議員がいましたが実際は確実に二人が亡くなって(茨城県東海村原発事故)、原発従事者の中には被ばくが原因かもしれない症状で癌になって死んでいった人が数人以上はいたはずです。
参考までに、昔東海村の原発が事故を起こした時に、3人の作業員がホウ酸を手に抱えて炉心に入り、ホウ酸を注入したことによって日本の一大事を救ったという事件があったのをご存知でしょうか。この時の勇敢な3人によって、人の命と被ばく量の限界がわかりました。そしてこの3人のおかげで今の平和な日本があるわけです。しかしそのうち二人は亡くなりました。
35歳の作業員は16~20シーベルトも被ばくして、染色体破壊が激しく血液をすべて交換しましたがそれでも症状が再発して、とうとう事故から3か月弱で多臓器不全で亡くなりました。
40歳の作業員は6.0~10シーベルトの被ばくで、同じく染色体破壊がひどくつまりは白血病の状態で、血液をすべて交換しました。その後人と話せるようになりましたが7カ月を過ぎて多臓器不全で亡くなりました。
1~4.5シーベルトの被ばくを受けた54歳の作業員は一時白血球がゼロになり骨髄移植を行いました。その後回復して死ぬことは免れました。
つまり、人間が生きていられる被ばく量の限界は1~4シーベルトということになります。
勿論、シーベルトは1時間で被ばくする値で、常に被ばく時間分の合計で考えないといけません。
現在、被爆調査をやって、データを持っているのはアメリカだけだと思います。
私が言いたい・知りたいのは上の様にひどい被ばくの症状は確認できているが、弱い被ばくの症状は何ミリシーベルトの被ばくでどのような症状から始まるかという調査事実の事なのです。
鼻血の症状から始まるのではないのですか?ということです。
今まで鼻血すら出したことのない人が急に鼻血が出だしたと言うことなら、放っておいてはだめでしょうに。
まずは、現状の実態や状況を事実として把握したうえでその問題点と解決を行わなければ、真の解決は得られないですよ。
被爆の話だけに限らずです。
人間の感情や利欲を省いて解決できそうなものは中途半端にせずにしっかりとやってほしいのです。